保育士を辞める理由は人それぞれですが、退職を決めたらその意思を勤務先にきちんと伝える必要があります。
しかし、退職を決めた人のなかには、「どのように保育園に退職を伝えれば良いのだろう?」「退職を引き止められないか不安。」と感じる方もいるのではないでしょうか?
今回の記事では、保育士の退職事情、退職を伝える際のポイントについて、例文とともに紹介していきます。
目次
保育士が辞める理由と離職現状は?
保育士の退職理由は、どのようなものが多いのでしょうか?
保育士の離職率とともに紹介していきます。
労働環境による退職が多い
保育士の退職理由として大多数を占めるのが、労働環境によるものです。
以下のグラフを見てみましょう。
最も多い理由として、職場の人間関係(33.5%)、次いで給料が安い(29.2%)、仕事量が多い(27.7%)、労働時間が長い(24.9%)と続きます。
保育士の人間関係は「園長」「同僚」「子供の親」などから成り立っています。
そのため、「園長の考え方と自分の保育に対する考え方や方針が合わない」「自分の意見をいえない」「セクハラ・パワハラがある」「同じ保育園で働く同僚と気が合わない」「先輩保育士の指導が厳しい」などと感じることがあるでしょう。
また、保育士の平均給料は382万2千円となっており、一般的な平均年収である461万円と比較して低い傾向となっています。
一方で、給与を男女別で見ると、女性の平均給与は280万円であるため、女性の平均給与と比較すると高い傾向です。
保育士の離職率は9.3%
平成29年度時点では、保育士の離職率は9.3%となっています。
そのうち、市区町村が運営の主体である公営の保育園では5.9%と保育士の離職率と比較して低い傾向です。
一方で、社会福祉法人や民間団体が運営する私営の保育園では10.7%と公営の保育園と比較して約2倍と高めの傾向となっています。
また、退職した保育士のうち、約過半数(53.1%)は、保育業界で転職を行っていることから、自分にとってより良い労働条件や環境で働ける職場を見つけたいと考え、転職をする保育士がいることがわかるでしょう。
保育士が退職理由を円満に伝えて辞める方法
保育士の人数配置は、国によって定められているため必要な人員を確保しなければいけません。
しかし、令和2年5月の保育士の有効求人倍率を見ると、2.18倍と高い数値になっていることから、退職者が出た際の人員確保は難しい場合があります。
そのため、できる限り保育士に辞めて欲しくないと考えている保育園もあるため、引き止められないように退職理由を伝えなければいけません。
ここでは、引き止められないための退職理由の伝え方とその例文を紹介していきます。
退職理由を伝えるポイント
退職理由を伝える際は、お互いが気持ちよく退職に向かうことができるよう、話し方を考慮する、タイミングを見計らうなど、最大限の配慮をしましょう。
また、退職理由についてのポイントは以下になります。
- 現職場の不満を伝えない
- キャリアアップなどのポジティブな理由を伝える
それぞれ順番に見ていきましょう。
現職場の不満を伝えない
保育士として退職を考えている方のなかには、現在の職場環境に不満がある方も多いでしょう。
しかし、職場の不満を退職理由にすると、その不満を解消できるように改善することを提案され、退職の引き止めにあってしまうかもしれません。
不満を相手にぶつけたいと考える方もいるかもしれませんが、その職場環境の改善を求めているわけではなく、「退職を心に決めている」「転職先が決まっている」など、必ず退職したい場合には、職場の不満をぶつけることはやめましょう。
保育園は狭い世界であるため、その話が同僚の耳に入ってしまう可能性もあり、さらに働きにくくなるリスクがあります。
キャリアアップなどポジティブな理由を伝える
では保育士の退職にあたって、どのような理由を伝えれば良いのでしょうか?
おすすめの退職理由として、「キャリアアップしたい」「別の保育園で働いて自分自身を成長させたい」など、ポジティブな理由が挙げられます。
退職を考え始めた理由は職場環境だったとしても、転職活動を行ったりするうちに「次の職場でどのようなことをやりたいか?」「自分自身の目標は何か?」など、自分の将来を前向きに考えることがあるはずです。
それらを退職の理由として伝えることで、お互いが気持ちよく話すことができるでしょう。
【ケース別】退職理由の例文
ここでは退職理由別に、相手に退職を伝える際の例文を紹介していきます。
退職理由を伝えるポイントがわかっても、実際にどのように話せば良いのかわからない場合は、ぜひ参考にしてください。
体調不良による退職を伝える場合
私事で大変恐縮ですが、最近慢性的な疲労感が溜まってしまい、体調を崩すことが多くなってしまいました。
先日も、急遽お休みをいただきありがとうございました。
大変感謝しております。
そこで、自分自身のなかで今後のことについてもじっくり考えた結果、一度退職させていただき、自分自身の体とゆっくり向き合うことにいたしました。
今後も保育士として活躍していきたいと考えておりますが、そのためには私自身の体調をもとに戻すことが優先事項であると考えております。
大変お手数をおかけいたしますが、退職までの手続きを教えていただけますでしょうか?
家庭の事情による退職を伝える場合
私事で大変恐縮ですが、このたび、結婚を機に引越しをすることになりました。
引越し先がここから少し遠く、通勤に2時間近くかかってしまうため、仕事を続けることが難しくなってしまいました。
職場環境も良く続けたい思いはありますが、通勤が困難なため、退職をさせていただくことにしました。
引越しが○月になりますので、それまでに退職したいと考えております。
急な話で申し訳ありませんが、退職の手続きを教えていただけますでしょうか?
スキルアップによる退職を伝える場合
私事で大変恐縮ですが、保育士として他の現場も見てきたいと感じるようになりました。
この保育園に勤めてから、先輩保育士のご指導のおかげで、一人前の保育士として働けるようになり、近年は後輩の保育士の教育などもさせてもらい、自分自身の成長を感じることができております。
私は、学生時代から障害を持った子供の保育にも関心があり、次はその分野での専門性を高めていきたいと考えております。
そのスキルアップのため、○月で退職することにしました。
保育士の仕事を辞めるときは理由の伝え方に配慮しよう
退職をする際には、きちんとその意思表示を勤務先に行うことが必要です。
その際に勤務先に伝える退職理由は事前に考えておき、円満に退職できるように配慮しましょう。
退職をうまく切り出せるよう、今回紹介した退職理由やポイントを参考にしてください。