専門的知識 と技術を持って、児童の保育および児童の保護者に対して保育に関する指導を行うことを業とする、保育士。
保育士は国家資格であり、厚生労働省が指定する保育士養成施設を卒業するか、筆記試験と実技試験が課される保育士試験に合格すれば得 られます。
さらに、実際に保育士として保育園や児童福祉施設で働くためには、資格取得後に保育士登録 しなければなりません。
この記事では、保育士登録について詳しく解説していきます。
目次
保育士登録の手続き方法
保育士資格を得るためには、以下の2つのルート があります。
- 指定保育士養成施設を卒業し、卒業証明書の交付を受ける
- 保育士試験に合格し、保育士試験合格通知書の交付を受ける
しかし、資格を得ただけでは、保育士として働くことはできません。
保育士業務に従事する前に、都道府県知事に登録申請手続き をし、保育士証の交付を受けなければならないからです。
この手続きは、一般に保育士登録と呼ばれています。
本項では、保育士登録の手続き方法を詳しく解説していきます。
登録事務処理センターより「保育士登録の手引き」を取り寄せる
保育士登録手続き をするためには、登録事務処理センターより「保育士登録の手引き」を取り寄せる必要があります。
保育士登録の手引きには、保育士登録のために必要な申請書や記入例などが同封されています。
取り寄せ方法は以下のとおりです。
必要なもの
保育士登録の手引きを取り寄せるために必要なものは、以下のとおりです。
- 返信用封筒1枚:折らずにA4用紙が入る、角型2号のサイズのもの。
- 返信用封筒に貼る切手:取り寄せる保育士登録の手引きの部数分の郵便料金分。1の返信用封筒に貼っておく。
- 送信用封筒1枚:1の返信用封筒が入るサイズのもの。
- 送信用封筒に貼る切手:1と3の合計の重さに応じた郵便料金分。不明な場合は郵便局で計測すると良い。
郵送の手順
必要なものが揃ったら、以下の手順で郵送し、保育士登録の手引きを取り寄せます。
- 返信用封筒に必要事項を記載し、郵便切手を貼る:表に自分の郵便番号、住所、氏名、赤字で「保育士登録の手引き〇部」と請求部数を記載。必要金額分の郵便切手を貼る。
- 送信用封筒に必要事項を記載し、郵便切手を貼る。
- 1の返信用封筒を2の送信用封筒に入れ、封をする:返信用封筒は折って入れても問題ない。
- 郵便ポストあるいは郵便窓口から郵送する。
保育士の登録料を振り込む
登録料の振込には専用の払込用紙が必要であり、こちらは保育士登録の手引きに同封されています。
手引きが郵送されてきたら、保育士登録の登録料を振込にて支払いましょう。
支払方法は以下の とおりです。
- 専用の払込用紙に必要事項を記入する。
- 郵便局窓口で払込手続きをする:ATMは利用不可。登録料は一人あたり4,200円。払込用紙は一人一枚で、複数人分まとめて払込むことは不可。
- 振替払込請求書兼受領書と振替払込受付証明書を受け取る: 振替払込受付証明書は、このあと保育士登録申請に使用するため必ず保管しておく。振替払込請求書兼受領書は、申請や受付の不備、事故があったときに提示を求められる場合があるため、保育士証が届くまで無くさないよう保管しておく。
保育士登録申請のための必要書類を用意する
保育士登録申請のためには、保育士登録の手引きに同封されるもの以外にも、いくつか書類の用意が必要です。
それぞれ、用意の手順や注意点について説明していきます。
保育士登録申請書 ・振替払込受付証明書
保育士登録申請書は、保育士登録の手引きに同封されています。
必要事項を記入し、準備しましょう。
振替払込受付証明書は、保育士登録の手引きに同封されている専用の払込用紙の右端の部分です。
郵便局で登録料を振り込むと、日付入り受付印を押されて返されます。
受付印押印済みの振替払込受付証明書を保育士登録申請書の裏面に糊付けします。
これで保育士登録申請書の用意は完了です。
保育士となる資格を証明する書類の原本
保育士となる資格を証明する書類のうち、いずれか一つを用意する必要があります。
保育士となる資格を証明する書類には、以下のものがあります。
保育士資格取得ルートは人によって異なるため、自分が該当するものを用意しましょう。
保育士(保母 )資格証明書 | 児童福祉法改正 以前の平成15年11月28日までに保育士資格を取得した方に交付されていた証明書。 |
指定保育士養成施設卒業証明書 | 厚生労働省が指定する保育士養成施設を卒業した方が得られる証明書。通常の卒業証書とは別の書類であるため注意が必要 |
保育士試験合格通知書 | 保育士試験に合格した方に送付される通知書。都道府県知事印か、一般社団法人全国保育士養成協議会会長印が押印されている必要がある。 |
保育士養成課程修了証明書 | 指定保育士養成施設を卒業後に科目等履修をし、保育士養成課程を修了した方が得られる証明書。 |
保育士試験一部科目合格証明書または通知書 | 平成17年度までに保育士試験を受験していた場合、連続した3年間で全科目合格していることを証明する書類。 |
書類はすべて原本での提出が必要で、コピーでは受理されないので注意しましょう。
現在の戸籍抄本
保育士となる資格を証明する書類に記載された氏名と保育士登録をする際の氏名が、婚姻などにより異なる場合には、戸籍抄本の提出も求められます。
戸籍抄本上で、書類に記載されている氏名から現在の氏名へと変わった経緯が確認できる必要があります。
戸籍抄本だけでは経緯がわからない場合には、改製原戸籍や除籍抄本など追加の書類が必要になる場合もあるため、しっかりと確認しましょう。
自治体などから取り寄せた原本を提出する必要があり、コピーしたものや、発行してから申請書を送付するまでに6ヵ月以上経過しているもの、ホッチキス留めの跡があるものでは受付できません。
不備がないか、注意が必要です。
保育士登録の申請書類を提出 する
書類がすべて揃ったら、封筒に入れて郵送します。
大切な書類であるため、郵便局の窓口で簡易書留 の手続きをしたうえで郵送しましょう。
郵便物に補償がつき厳重に取り扱われることに加え、無事に宛先に到着するまで配達状況を記録、追跡できます。
保育士登録完了・保育士証の交付
書類提出後は申請先都道府県による審査・決定を経て保育士登録が完了し、おおよそ2ヵ月程度で保育士証が交付されます。
登録事務処理センターから自宅の住所に簡易書留で郵送される ので、確実に受け取りましょう。
これで保育士登録の一連の手続きは完了です。
保育士登録完了後は、正規の保育士として保育所などの児童福祉施設で働くことができます。
保育士の登録申請に関してよくある質問
前項で解説した保育士登録手続き方法に関連して、よくある質問・疑問点について説明していきます。
試験に合格後、保育士登録までの期限 はある?
保育士試験に合格、あるいは指定保育士養成施設を卒業して保健師資格を取得したあと、保育士登録を済ませなければならない期限は設けられていません。
登録のための申請はいつでもできます。
登録しなかったからといって保育士となる資格を失うこともないので、心配は不要です。
しかし、保育士登録をして保育士証が交付されなければ、保育士として働くことは認められません。
保育士として業務に就く前には必ず保育士登録をしましょう。
保育士登録申請に必要な書類を紛失 した場合どうする?
保育士登録のためには、保育士資格を証明する書類が必須です。
紛失した場合には、発行元に再発行を申請しなければなりません。
指定保育士養成施設の卒業証明書であれば直接学校へ、保育士試験合格通知書であれば保育士試験事務センター へ問い合わせをし、所定の手続きをすれば書類の再発行が可能です。
また、保育士登録申請書の裏面に貼り付ける振替払込受付証明書を紛失した場合には、保育士登録の手引きを取り寄せた登録事務処理センター に連絡し、払込手続きをした郵便局名と日付を伝えましょう。
保育士登録する都道府県 は決まっている?
保育士登録の手続きを行っている登録事務処理センターは、都道府県の委託を受けた機関であり、実際の保育士登録は各都道府県が行っています 。
指定保育士養成施設を卒業した方は、登録手続きをした時点で住民票のある都道府県、保育士試験に合格した方は、保育士試験合格地の都道府県に、それぞれ保育士として登録されることになります。
ひとたび保育士証の交付を受ければ、全国の都道府県で保育士としての業務につくことが可能です。
結婚 などで本籍地や氏名が変わった場合には再度登録手続きが必要 であるため、あらためて保育士登録の手引きを取り寄せましょう。
申請から保育士証の交付までどれくらい かかる?
登録事務処理センターに郵送された保育士登録のための書類は、申請先の都道府県により審査されます。
その後、名簿への登録と保育士証の交付が決定され、申請者のところに届くまでには、不備がない場合でおおよそ2ヵ月程度の期間がかかります。
もし2ヵ月を過ぎ、3ヵ月以上経過しても登録事務処理センターから保育士証が郵送されてこない場合には、登録事務処理センターまで問い合わせ、登録状況を確認すると良いでしょう。
保育士登録を行い、保育士として働く準備をしよう
この記事では、保育士登録の方法・手順を解説しました。
保育士として業務に就くまでには、保育士となる資格を得たあとにもやるべきことが多くあり、煩雑だと感じる方もいるでしょう。
しかし保育士登録は保育士として働くために必要な手続きです。
確実に済ませ、保育士として働く準備をしていきましょう。