
障がい児施設などで働く児童発達支援管理責任者になるには資格が必要なため「児童発達支援管理責任者になるのは難しいのでは」と思う人もいるかもしれません。
たしかに児童発達支援管理責任者になるには、さまざまな要件を満たす必要があります。
本記事では児童発達支援管理責任者のなり方、仕事内容、やりがいや将来性などについて詳しく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
児童発達支援管理責任者とは?
児童発達支援管理責任者は児発管とも呼ばれており、福祉施設を使用する障がい児に福祉サービスを提供するスペシャリストです。
児童発達支援管理責任者は、障がい児一人ひとりに合わせた個別支援計画書を作成します。
個別支援計画書には、保護者や児童に寄り添った支援内容が盛り込まれており、個別支援を深めるための指針としても大切な書類です。
児童発達支援管理責任者には、個別支援計画書の作成に加えてサービス開始後の管理や、職員へ技術指導などを行う役割もあります。
また、児童発達支援管理責任者は、障がい者の支援施設に1名以上の配置が義務付けられています。
児童発達支援管理責任者になるには
児童発達支援管理責任者になるには、実務経験の要件を満たし研修を終了する必要があります。
ここでは、以下のステップに分けて、児童発達支援管理責任者になるための手順を見ていきましょう。
- 必要な実務経験を満たす
- 児童発達支援管理責任者研修を受講する
必要な実務経験を満たす
児童発達支援管理責任者になるには、実務経験を満たさなければなりません。
実務経験には、相談支援業務と直接支援業務があります。
また、まったくの無資格者と特定の資格を有している者では、実務経験の必要年数が異なります。
相談支援業務
児童発達支援管理責任者の相談支援業務とは、自立の相談に対応し、助言や指導を行ってサポートをすることです。
障がい児の相談に限らず、以下の相談業務が該当します。
- 包括支援センターを含む施設などでの相談支援
- 医療機関での相談支援(要資格)
- 勤労支援の相談支援
- 学校での進路・教育相談支援
- 乳児院・児童養護施設・児童自立支援施設での従事
- 上記の業務に準ずると都道府県が認めた業務
児童発達支援管理責任者になるための、相談支援業務での実務経験の必要年数は5年以上です。
直接支援業務
児童発達支援管理責任者の直接支援業務とは、入浴や排泄、食事などの直接的な介護を行ってサポートをすることです。
業務内容は以下のとおりです。
- 医療機関や施設などで介護業務に従事
- 障がい者を雇用している施設で就業支援に従事
- 学校で支援業務に従事
- 児童福祉などの施設や事業所で支援業務に従事
- 上記の業務に準ずると都道府県が認めた業務に従事
児童発達管理責任者になるための、実務経験の必要年数は平成31年度より8年となっています。
有資格者等
児童発達支援管理責任者をめざす人が国家資格等の有資格者である場合、必要な実務経験年数が異なります。
当てはまる国家資格は以下のとおりです。
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 視能訓練士
- 義肢装具士
- 歯科衛生士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
- 柔道整復師
- 栄養士(管理栄養士を含む)
- 精神保健福祉士
相談支援業務と直接支援業務に従事する者で、有資格による業務に5年以上従事している場合は、老人福祉施設や医療機関など以外での実務経験が3年以上必要です。
また、直接支援業務に従事する者で、以下に該当する場合は、5年以上かつ老人福祉施設や医療機関など以外での実務経験が3年以上必要です。
- 社会福祉主事任用資格保有者
- 介護職員初任者研修(訪問介護職2級以上)に相当する研修を修了
- 保育士
- 児童指導員任用資格者
児童発達支援管理責任者研修を受講する
児童発達支援管理責任者研修では、基礎研修と実践研修を受けなければなりません。
基礎研修では、相談支援従事者初任者研修として講義部分の一部を11.5時間、基礎研修の講義・演習を15時間受講します。
その後、実践研修を14.5時間受講する必要があり、受講時間は合計で41時間になります。
研修後は児童発達支援管理責任者として正式に配置されますが、5年ごとに更新研修があるため、忘れずに受講しましょう。
児童発達支援管理責任者の研修について詳しく知りたい方は、以下を参考にしてください。
>>児童発達支援管理責任者の研修をわかりやすく解説!
児童発達支援管理責任者が行うこと
ここからは、児童発達支援管理責任者についてより詳しく知るために、以下の3つについて紹介します。
- 児童発達支援管理責任者 業務内容
- 児童発達支援管理責任者の職場
- 児童発達支援管理責任者の給与
児童発達支援管理責任者 業務内容
児童発達支援管理責任者の業務は多岐にわたりますが、以下が代表的な業務内容となります。
順番に詳しく見ていきましょう。
- アセスメント・モニタリング
- 個別支援計画の作成
- その他
アセスメント・モニタリング
児童発達支援管理責任者が支援の計画を立てるためには、アセスメントが欠かせません。
アセスメントとは、障がい児や保護者と直接面接を行い、情報を集めてサポートに必要なニーズを判断することです。
おもに、家庭や学校などでの生活や病歴などについてヒアリングをします。
モニタリングとは、支援開始後に正しいサービスが提供できているか、適切な効果を発揮しているかを定期的に確認することです。
基本的に6ヵ月に1回以上行われ、モニタリングの結果によっては支援内容を変更することもあります。
個別支援計画の作成
アセスメントのあとは、個別支援計画の作成を行います。
個別支援計画とは、障がい児の状態に合わせて必要な支援を判断して作成されるもので、支援の軸となるものです。
順序としては、最初に発育状態と心理状態、保護者の意見を参考にしながら具体的な計画を立て、担当会議の意見をもとに修正を加えます。
その後、障がい児とご家族に説明をして同意を得られたら、ご家族に書面を渡します。
その他
児童発達支援管理責任者の仕事は、アセスメントとモニタリング、個別支援計画の作成だけではありません。
本人やご家族の相談支援や指導員への指導はもちろん、事務作業や雑務などを行うこともあります。
また、放課後等デイサービスなどの通所施設の場合は、送迎サービス担当として運転することもあるでしょう。
資格者としての役割以外にも多岐にわたる仕事があるのです。
児童発達支援管理責任者の職場
児童発達支援管理責任者の職場はさまざまですが、おもな就労場所は障がい児通所支援施設と障がい児入所支援施設の2つです。
障がい児通所支援施設には以下のようなものがあります。
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 医療型児童発達支援
- 保育所等訪問支援
障がい児入所支援施設には以下のようなものがあります。
- 知的障がい児施設
- 第一種・第二種自閉症児施設
- ろうあ児施設
- 盲児施設
- 肢体不自由児施設
- 重度心身障がい児施設
児童発達支援管理責任者の給与
児童発達支援管理責任者の給与は常勤か非常勤か、勤続年収、役職などによって異なりますが、他の職種と比べると高い傾向です。
求人募集では月収30万円以上のものも見受けられます。
児童発達支援管理責任者の給与が高いのは、各施設に必ず一人は配置しなければならないと決まっていることや、責任がある仕事を任されるためと考えられるでしょう。
児童発達支援管理責任者のやりがい
児童発達支援管理責任者は働く施設によっては仕事量が多くなる可能性がありますが、それを補うほどのやりがいがあります。
児童発達支援管理責任者は、サービスを提供する子どもとしっかりと向き合う必要があります。
一人ひとりのことをよく知り理解し、さまざまな成長を感じられるのが魅力です。
子どもが喜んでくれたり、安心した生活をしたりしている姿を見ることにやりがいを感じる人もいるでしょう。
また、児童発達支援管理責任者として働くうちに得た知識を活かしたり、自分の専門スキルでより良い支援計画を立てるなど、専門性を活かしながら働けるのもやりがいにつながるポイントです。
児童発達支援管理責任者の将来性
児童発達支援管理責任者は比較的新しい資格であるため、知らない人も多いかもしれません。
しかし、障がい児支援施設の数が年々増加していることもあり、今後も児童発達支援管理責任者の需要は高まると考えられるでしょう。
児童発達支援管理責任者は施設に必ず1名以上の配置が必要とされ、施設の増加とともに児童発達支援管理責任者の人数も必要になってくるからです。
児童発達支援管理責任者の将来性について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
>>児童発達支援管理責任者の将来性は?これまでの傾向と今後の予測
要件をしっかり確認して児童発達支援管理責任者をめざそう
児童発達支援管理責任者になるには、実務経験を満たし、研修を受ける必要があります。
要件を満たすには長い期間がかかるため、まずは今回紹介した児童発達支援管理責任者の仕事内容ややりがいなどを参考にして、将来をしっかりと見据えるのがおすすめです。
将来の方向性が決まった場合は、しっかりと要件を確認して児童発達支援管理責任者をめざしましょう。