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医療事務として働くうえで必須となる資格はありませんが、レセプト(診療報酬明細書)業務などの専門的な知識が求められるため、さまざまな団体が医療事務の資格試験を開催しています。
そのなかでも医療事務管理士は、日本で初めての医療事務系の民間資格であり、医療事務として働くために必要な知識を持っているという証明になります。
この記事では、医療事務管理士の資格取得を目指している方に向けて、資格の概要や合格率、勉強法などを紹介します。
目次
医療事務管理士とは?
医療事務管理士は、技能認定振興協会(JSMA)が実施する医療事務管理士技能認定試験に合格すると取得できる資格です。
資格試験では、保険制度や医療に関する基礎知識から、医療費の算定・請求に関する知識まで、幅広い知識が求められます。
医療事務管理士の資格は、医療事務の現場で即戦力として働くためのスキルを持っているという証明になります。
医療事務管理士 技能認定試験とは?
医療事務管理士になるには、技能認定試験に合格する必要があります。
まずは、医療事務管理士の資格試験について基本的な知識を身につけましょう。
医療事務管理士になるための試験
医療事務管理士の技能認定試験は、医科と歯科に分かれており、等級などはありません。
医療事務の仕事をするうえで必要となる保険制度に関する法律や、医療費の算定・請求の知識、医療に関する基礎知識が問われます。
また、医療事務の即戦力として十分な能力があるかどうかを証明する資格でもあるため、実技試験も課せられます。
実技試験は、レセプト(診療報酬明細書)の間違いを探し出し、それを正しく修正するレセプト点検問題のほか、実際の医療行為を例としたレセプト作成も出題されます。
試験は医科と歯科の2種類
医療事務管理士の試験は、医科・歯科に分かれています。
医科、歯科とも、在宅試験は年間6回あり、奇数月第4土曜日の翌日に行われています。
医科はインターネットと在宅で受験が可能で、歯科は在宅試験のみ実施されています。
試験は「JSMA」技能認定振興協会ホームページ内の技能認定試験のページから申し込みが可能です。
インターネット試験はいつでも申し込み・受験可能で、在宅試験に関しては試験日の1ヵ月~2ヵ月ほど前から申し込みが開始されます。
医科のインターネット試験ページでは、インターネット試験を体験できるようになっているため、受験前に一度試してみると良いでしょう。
医療事務管理士ってどんな資格?
医療事務系の資格には、医療事務管理士技能認定試験、診療報酬請求事務能力認定試験などがあり、日本で最初の医療事務の資格となったのが医療事務管理士です。
医療事務管理士は国家資格ではない
医療系の資格には国家資格が多いため、医療事務管理士も国家資格だと思っている人もいますが、医療事務管理士は国家資格ではなく民間資格です。
資格を持っていなくても医療事務として働くことができますが、資格があることによって面接で有利になるなどのメリットがあります。
どんな仕事に携われる?
医療事務管理士は医療事務の専門家といえる資格です。
この資格を取得することで、病院やクリニック、健診センターのほか、歯科の資格を取得していれば歯科医院でも活躍できます。
また、病院以外にも調剤薬局など、医療事務管理士の活躍の場は増えています。
レセプトの内容を把握し点検や作成ができる医療事務管理士は、保険請求審査代行機関でも活躍できるでしょう。
医療事務管理士の資格を持っていることで、医療機関以外にも転職、就職できる可能性が広がります。
医療事務管理士と医療事務の違い
医療事務管理士は資格の名称ですが、医療事務はあくまでも医療関係の事務職の総称であり、「医療事務」という資格が存在するわけではありません。
つまり、医療事務に関連する資格の一つが医療事務管理士、ということです。
医療事務に関する資格は、医療事務管理士にも次のようなものがあります。
- 医療事務認定実務者
- 診療報酬請求事務能力認定試験
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
医療事務系の資格はすべて民間資格であり、医師や看護師のような国家資格ではありません。
医療事務認定実務者との違い
医療事務認定実務者も医療事務管理士も、医療事務系の資格です。
違いについては、以下のようになっています。
医療事務認定実務者 | 医療事務管理士 | |
主催団体 | 全国医療福祉教育協会 | JSMA技能認定振興協会 |
受験方法 | 在宅試験 会場受験 |
在宅試験 IBT試験(インターネット経由での試験) |
試験の実施頻度 | 在宅試験は毎月 会場受験は実施認定機関により決定 |
在宅試験は年6回 奇数月の第4土曜日翌日 IBT試験は好きな時に受験可能 |
医療事務認定実務者の試験と医療事務管理士の試験を比較すると、試験内容にも違いがあります。
医療事務管理士の試験は実技試験だけでも180分あり、レセプトの作成・点検を重視しているため、医療事務認定実務者の試験と比較するとより難易度の高い試験です。
レセプト点検問題以外にも、外来・入院のレセプトを実際に作成しますので、レセプトについて深い理解が必要となります。
医療事務管理士技能認定試験の合格率や難易度は?
医療事務管理士技能認定試験は、より実践に近い認定試験となるため、レセプトについてしっかり勉強する必要があります。
では、医療事務管理士技能認定試験の合格率はどの程度なのでしょうか。
合格率は約5割
医療事務管理士技能認定試験の合格率は、合格率は以下のとおりです。
- 医科医療事務管理士:40~70%程度
- 歯科医療事務管理士:50~80%程度
月によって合格率には差がありますが、歯科医療事務管理士に比べると医科医療事務管理士の方が合格率が低く、難易度は高めです。
独学での取得できるので難易度は低め
医療事務の仕事について基本をしっかりとおさえた勉強ができれば、独学での取得も可能といわれています。
先述したとおり、合格率は40~80%ですので、医科・歯科ともきちんと対策を考えて挑むことで、十分合格できる難易度です。
これまで医療事務に携わったことがなく、医療事務系の資格試験を初めて受ける方は、通信講座などを利用しても良いでしょう。
医療事務管理士の資格難易度については以下の記事をご参照ください。
医療事務管理士技能認定試験の受験方法
医療事務管理士技能認定試験にチャレンジする方へ、会場試験とインターネット試験の受験方法をお伝えします。
どのような流れで試験を受けるのかよく確認しておきましょう。
会場試験(在宅試験)
現在、新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、会場試験は在宅試験として行われていますので、在宅試験の受け方について紹介します。
試験はJSMA 技能認定振興協会ホームページから申し込み可能です。
合格基準
- 実技試験・・・点検・作成問題ごと60%以上の得点、かつ3問の合計で85%以上
- 学科試験・・・85点以上
試験結果の合否は試験実施から1ヵ月以内に文書で通知されます。
インターネット試験
インターネット試験は「IBT」(Internet Based Testing)と呼ばれるもので、インターネットによって試験を受けることができます。
コンピューターに問題が表示されますので、マウス、キーボードを使い解答する試験です。
民間資格以外に、国家試験などもインターネットでの試験が行われるようになっているため、非常に便利になりました。
パソコンさえあれば、好きな場所からいつでも医療事務管理士の試験にチャレンジできます。
インターネット試験で合格するためには、70%以上の得点が必要です。
合否の結果は、受験終了後、受験結果画面ですぐにわかります。
この結果はログイン可能期間であればいつでも参照可能です。
医療事務管理士技能認定試験の勉強方法
医療事務管理士の資格試験は、一般的に独学では無理といわれているような難解な試験ではありません。
医療事務として働くという意思を持ち、計画的に勉強すれば合格への道が見えてきます。
ここでは、医療事務管理士の試験に向けた具体的な勉強方法を紹介します。
参考書を使う
専門学校などに通って医療事務管理士を目指す場合、学校で教科書、問題集などが用意されますが、独学で試験に挑む方は参考書選びも重要です。
しかし、医療事務管理士の資格については公式の参考書がないため、教材探しに苦労している方もいるかもしれません。
独学で勉強する際には、以下などを参考にすると良いでしょう。
- 医療事務管理士の過去問(インターネットなどでも過去問サイトがあります)
- 薬価点数や法改正についてはインターネットで最新情報を調べ勉強する
- 技能認定振興協会の医科・歯科試験問題集
また、技能認定振興協会では試験問題見本を掲載しているので、問題形式の参考にできます。
問題集を解く
過去問、問題集などをそろえたら、学習計画を作り、計画的に勉強します。
思うように勉強が進まないことも想定して予備日を設け、無理のないスケジュールを立てるのがポイントです。
1日のうち最低でも1時間はテキストを読み込む、問題集を5問解くなど、具体的な目標を立てて、確実にこなしていきましょう。
専門学校に通う
独学でコツコツ勉強する自信がない方は、思い切って専門学校に通ってみるのもおすすめです。
医療、介護系の専門学校は各地にあり、医療事務管理士のほか、さまざまな資格の取得を考えることができます。
医療系学科では医療事務のほか、コンピューターの操作方法なども学び、就職につながる知識、技術を身につけられます。
通信講座に申し込む
通信講座は独学と同じように、強い意志を持っていないと継続が難しい勉強方法ですが、学校に通った場合と比べて費用をおさえながら資格の取得を目指すことも可能です。
働きながら資格取得を目指したいけれど、独学は自信がないという方は、通学と独学のいいとこ取りができる通信講座の利用を検討してみましょう。
多くの通信講座には、わからない部分を専門家に質問できるシステムがあるので、独学に比べて挫折しづらいという利点もあります。
医療事務管理士を目指すならしっかり学んで試験に合格しよう
医療事務管理士の試験は国家資格ではありませんが、実践的な内容が重視されるため、しっかりと対策をする必要があります。
医療事務に必要な専門用語を覚えるのはもちろんのこと、レセプトの実技試験は緻密さと正確さが求められるため、繰り返し練習してスキルアップを目指しましょう。
医療事務管理士の資格は、就職・転職・再就職にも有利です。医療事務として働くうえで取得しておいて損はない資格なので、受験を検討してはいかがでしょうか。