病院や企業の臨床検査技師採用面接を受ける人が、最初に直面する壁が、履歴書の志望動機の作成です。
どのような志望動機を書いたら良いか、悩む方も多いと思います。
志望動機は、ただ入職を希望した理由を書けば良いわけではありません。
志望動機に絡めて自己アピールをし、応募先に自分を採用するメリットを伝える役割もあるのです。
今回は、臨床検査技師の志望動機の書き方を詳しく解説します。
臨床検査技師ならではの文章作成ポイントや、OK例とNG例を例文付きで紹介します。
限られた文字数のなかで自分の魅力をしっかり伝えられる志望動機を考え、採用試験に挑みましょう。
目次
臨床検査技師の志望動機作成の基本
臨床検査技師の志望動機は、仕事内容に重点を置いて書きましょう。
臨床検査技師は、直接患者さんの命に関わる重要な役割のある仕事です。
応募先は志望動機を見て、責任感を持って働けそうか、業務内容や仕事へ取り組む姿勢などがマッチしているか、といった点を見極めようとしています。
自分を採用するメリットを相手に伝えるためにも、仕事内容に関連する志望動機を作成しましょう。
応募先の業務内容に活かせる経験を書く
自分の経験の中から、応募先の業務内容で活かせる経験を書きましょう。
例えば、検体検査が主な業務の応募先へ、生理検査の実務スキルを伝えても、あまり大きなアピールポイントにはなりません。
ここでアピールするのであれば、生理検査で培ったスキルをどう検体検査の業務へ活かせるかをアピールする必要があります。
応募先のホームページや求人情報で、しっかりと業務内容を調べてから作成しましょう。
もし、応募先の業務内容が未経験だった場合は、将来的に役に立てる経験や資格、準備中の資格などを伝えるのも良いでしょう。
前職で後輩指導した経験やマニュアル作成の経験も、立場が変わったとき将来的に役に立つ経験になるため、アピールできるスキルです。
業務内容と紐づけ、魅力を感じたことを伝える
業務内容と自分のやりたいことが、マッチしていることをアピールしましょう。
応募先の業務内容に関連がある志望動機を書くことで、数ある求人から応募した理由を明確に伝えられます。
例えば応募先が急性期病院の場合は、扱える症例や取り扱っている最先端の医療機器を調べ、それに紐づけた内容にします。
ホームページや求人パンフレットで、業務内容をチェックしてみてください。
現職や前職など過去の経験が活かせる点を書く
自分の過去の経験や強みを書くときは、人柄に焦点を当てて書くと良いでしょう。
臨床検査技師は、知識や技術の向上はもちろんですが、患者さんや他職種と関わることが多いため、人柄も重要視されます。
例えば、人からよく「いつも丁寧に話を聞いてくれて安心する」と言われる人であれば、患者さんへ生理検査するときも、丁寧に対応ができる人なんだと判断してもらえるでしょう。
下記の2点から考えてみると、書きやすく説得力があります。
- 過去や前職で努力したこと
- 他人からよく言われること
前職でのチーム医療において努力したことや、学生時代の部活動での経験なども当てはまります。
まず自分の人柄がわかるエピソードを書き出してから、臨床検査技師の仕事に活かせる経験を書きましょう。
今後のビジョンについて書く
今後のビジョンを伝えることで、目標に向かって努力する姿勢をアピールできます。
臨床検査技師として、どのように仕事に取り組みたいか、どのような技師になりたいかといった今後のビジョンを書きましょう。
ただ、クリニックなど即戦力が必要な職場では、これからスキルアップしたい人よりも、すでにスキルがある人を求めています。
スキルアップについて多く書いてしまうと逆効果になってしまうことも。
志望する職場の特徴や社風に合わせた内容を書きましょう。
臨床検査技師になりたい理由のNG例
応募先に良いイメージを持ってもらえるような志望動機を書いたつもりでも、悪い印象を持たれてしまうNGワードや書き方があります。
- 条件・待遇面ばかり書いている
- 具体性がない
- 自分のスキルアップのみが目的
上記は応募先に、「やる気がない人だな」「複数受けていてどれも同じことを書いているんだな」と思われてしまう良くない書き方です。
一つずつ詳しく解説します。
条件・待遇面ばかり書いている
条件・待遇面は、応募先のメリットとして記載されていることはありますが、志望動機として書くことは避けましょう。
夜勤や残業がなかったり、給料が高かったりすることはうれしく、企業を志望する動機になるかもしれません。
しかし、条件・待遇面を書いて自分をアピールすることは難しいうえに、応募先には「条件が悪くなったらすぐに辞めてしまうのではないか」と思われ、むしろマイナスイメージになる可能性もあります。
少ない文字数のなかで、条件や待遇面のことばかり書いてしまうのは、自分をアピールできずもったいないです。
具体性がない
誰にでも当てはまることや、多くの企業や病院に当てはまることを書いても、応募先の印象に残りません。
簡潔に書くことも必要ですが、具体性がないと、選んだ理由や採用メリットが見えてきません。
例えば、「人の役に立てると思い志望しました」では理由が漠然としていて、どの企業にも当てはまってしまいます。
応募企業のどの点が人の役に立てると思ったのかに加え、自分がどのように関わることで役に立てるのかを説明する必要があります。
企業研究をし、企業と自分がマッチする部分を探し、具体的にアピールしましょう。
自分のスキルアップのみが目的
向上心が高いことは良いことですが、学びたいだけでは主体性のない人だと思われてしまいます。
応募先で学びたいと思ったのは、研修が充実している、未経験分野があるなど、魅力に感じる点があるからだと考えられます。
スキルアップに関して書きたい場合は、前述の「応募先の魅力的に感じた点を書く」の項目を参考にして書いてみてください。
応募先の魅力である自分がスキルアップできる環境であることのほか、貢献できることや、主体性を持って経験したい姿勢を伝えられる文章を作りましょう。
臨床検査技師の志望動機を履歴書に書く場合の例文
ここまで、履歴書に書くべき内容やNGワードについて解説してきました。
それらを踏まえて、志望動機の例文を紹介します。
新卒採用と中途採用に分けて、良い例文と悪い例文を1例ずつ紹介し、良い部分と悪い部分を解説します。
また、志望動機を書くうえでの、基本的な言葉遣いも確認しておきましょう。
臨床検査技師の志望動機で注意すべき言葉遣い
基本はすべて敬語です。
語尾は統一して、ですます調ですべての文章が終わるようにしましょう。
である調は、場合によって失礼にあたってしまうことがあるため、使わないほうが無難です。
応募先には貴社か貴院と書きます。
一般的には、病院やクリニックなど医療法人には貴院、企業や会社には貴社と書きます。
応募先を表す言葉に、御社・御院という言葉がありますが、口頭で使う言葉のため、面接などで使いましょう。
文章の文字数は、150〜250字程度が一般的です。
臨床検査技師の志望動機の例文(新卒採用)
新卒では臨床経験がないため、就職後も主体的に学び続けてスキルアップしていく姿勢や、臨床検査技師に適した自分の性格を書くと良い印象を与えられるでしょう。
また、臨床検査技師の仕事や応募先への理解度も加えて書いてみてください。
良い例
実際に大学で学び始めて、臨床検査技師の検査結果が、疾患の診断に大きく貢献していることがわかり、働くうえでの責任の重さを痛感しました。
学生時代には陸上部に所属し、リーダーとして向上心を持って活動していた経験があります。
この経験を活かして、症例数が多い貴院で知識や技術の向上に努めたいです。そして、貴院の一員として、地域の人たちを支えられるよう貢献していきたいです。
- めざしたエピソードにより、臨床検査技師になりたい意思の強さがわかる
- 仕事内容を理解し、責任を持って仕事をする姿勢が伝わる
- 向上心やコミュニケーション能力があることがわかる
- 応募先の特徴をとらえている
悪い例
実際に大学で学び始めて、臨床検査技師の仕事はいろいろな働き方があり、長く続けられる魅力的な仕事だとわかりました。
貴院は、研修が充実しており症例数も多く、学べる環境が揃っているため志望いたしました。
今後は臨床検査技師として長く働いていけるよう、知識や技術の向上に努めたいです。
- めざした理由が安定したいことしか伝わらず、アピールになっていない
- 自分にとってのメリットしか書いておらず、採用するメリットを感じられない
- 応募先へ貢献したい気持ちがない
- 今までの経験がないため、人柄がみえない
臨床検査技師の志望動機の例文(中途採用)
中途採用では、今までの経験を踏まえて、より専門性を高めたいことを伝えましょう。
企業研究をし、企業の理念や大事にしていることと、自分の経験や考えがマッチしている部分を書くとアピールできます。
良い例
そのなかで、患者様が検査に対して不安にならないようなコミュニケーションを心がけてきました。
貴院のホームページを拝見し、地域に密着したクリニックとして患者様とのコミュニケーションを大事していると知り、強く共感し志望いたしました。
4年間の臨床経験で得た幅広い知識を活かして、正確で丁寧な検査を実施し、貴院に貢献していきたいです。そして、患者様に安心していただけるような検査ができるよう努めていきたいです。
- 応募先と自分がマッチしていて、地域医療に携わりたい気持ちが伝わる
- 4年間の臨床経験で、即戦力になることがわかる
- 数ある病院のなかで、選んだ理由が明確にわかる
- ですます調で統一されている
悪い例
貴院では、夜勤がなく日勤のみの勤務のため、生活リズムが整った働き方ができることに魅力を感じ志望。
また、最先端の機器を扱っており、臨床検査技師としてスキルアップできると感じました。
正確な検査が行えるよう、貴院で学んでいきたいです。
- 退職理由がうしろ向きであり、アピールができていない
- 条件のメリットが書かれており、業務に前向きな姿勢が感じられない
- 自分のスキルアップしか考えておらず、採用するメリットを感じられない
- ですます調で統一されていない
臨床検査技師の採用面接での志望動機のポイント
履歴書に志望動機を書いていても、あらためて面接時にも志望動機を聞かれます。
面接時に、履歴書に記載した志望動機と矛盾しないように、面接用のセリフを用意しておくと良いでしょう。
また、志望動機の内容を深掘りした質問をされることが多いため、質問内容を予想して、あらかじめ回答を考えておく必要があります。
応募先に求められているスキルや理念を調べ、いくつか質問を考えて答えられるようにしておくと安心です。
注意したいポイントは、待遇面や前職の人間関係については、自ら触れないことです。
もし聞かれたときには、ポジティブな内容で伝えましょう。
志望動機は明確にしっかりとアピールしよう
応募先は、数ある求人から選んでくれた理由やマッチする人材かどうか、などを見ています。
志望動機には、責任感があることや、応募先と自分がマッチしているかをアピールできるような文章作成が必要です。
また、志望動機を書くうえで自分の魅力を伝えることが重要ですが、自己アピールが思い浮かばない人もいるでしょう。
自分をアピールできる志望動機を書いて、自信を持って採用面接に挑んでください。