
臨床検査技師は、医療の現場で欠かせない存在です。
臨床検査技師が割り出した検査結果は、患者さんの病気の診断や治療方針を決める重要な指標となります。
そのため、臨床検査技師には高い専門性と責任感が求められます。
では、どのような人が臨床検査技師に向いているのでしょうか。
逆に、どのような人は臨床検査技師に向いていないのでしょうか。
本記事では、臨床検査技師に向いている人・向いていない人の特徴について解説します。
目次
臨床検査技師に向いている人の特徴
臨床検査技師は、医療の現場で重要な役割を担っています。
正確さが求められる立場であり、向いている人には特徴があります。
ここでは、臨床検査技師に向いている人の特徴を詳しく見ていきましょう。
手先が器用な人
手先が器用な人は、臨床検査技師に向いています。
機械化が進む医療現場においても、臨床検査技師の業務には、まだまだ人の手を使って行う検査が多いです。
例えば、血液標本や病理標本の作成、ピペットの操作、採血などは非常に繊細で細かな作業です。
また、血液や尿、髄液などの検体は、患者さんから限られた量しか採取することができない場合も多いです。ゆえに、検査は一発勝負で、失敗は許されません。
上記のような細かい作業を苦とせず、地道に継続できる人は、臨床検査技師に向いているといえるでしょう。
知的好奇心が旺盛で、向上心がある人
臨床検査技師は、知的好奇心が旺盛で、向上心がある人に向いています。
臨床検査技師の主な業務は検査ですが、一口に検査といっても、生理学的検査、生化学検査、病理検査、血液検査、微生物検査など、非常に多岐にわたります。
そのため、これらすべての分野において広く関心を持てる人が望ましいでしょう。
また、臨床検査技師はつねに勉強し続ける向上心も求められます。
医学・科学の分野は日進月歩です。「国家資格があるからもう勉強は必要ない」と慢心するのではなく、日々新発見や新しい技術が開発されるなかで常に新たな知識を貪欲に求め続けられる人でなければ、臨床検査技師として働き続けるのは難しいでしょう。
コミュニケーション力や協調性がある人
臨床検査技師には、コミュニケーション力や協調性も求められます。
まず、生理機能検査や採血においては患者さんと直接やり取りをしながら検査を進めるため、コミュニケーション能力は必須です。
また、検体検査は一人黙々と作業するものもありますが、同じ検査部のスタッフと協力し、より精度の高い検査結果の報告をする場面も多くあります。
また、近年はチーム医療に取り組む病院が多くなっています。
検査部のスタッフだけでなく、医師や看護師といった別職種の医療スタッフと連携しながら患者さんの治療にあたる場面も増えてきているため、協調性も必要になります。
責任感のある人
責任感は臨床検査技師として働くうえで最も必要な資質といえます。
臨床検査技師が扱うのは、患者さんの検体や診断に関わる重要な情報です。そのため、自分の業務が一人の患者さんの命に直結しているのだという責任感と使命感を常に持ち続ける必要があります。
感染対策を徹底できる人
感染対策を徹底できるかどうかも、臨床検査技師に向いているか判断する重要な指針になります。
臨床検査技師は、血液や尿、便などの細菌やウイルスに汚染されている可能性がある検体を扱います。したがって、少しでも手技を誤るだけで自分だけでなく、周りにいるスタッフも感染するリスクに晒されます。
よって、感染症のリスクを甘く見ず、日々感染対策を徹底できるかどうかも不可欠な資質といえるでしょう。
注意力があり、観察に長けている人
注意力があり、観察に長けている人も臨床検査技師に向いています。
病気や異常を正しく診断できるように、観察力や判断力、慎重さを持って検査に臨まなければならないためです。
臨床検査技師が働く検査部には、日々何百、何千といった検体が届けられ、それらすべてをチェックします。
万が一、注意力を欠いて異常を見落としてしまっては、不正確な結果が医師に届けられ、患者さんに大きな影響を及ぼす危険性があります。
そのため、臨床検査技師には集中力に加え、わずかな異変も見落とさず、検査に反映して正しい検査を実行する観察力が求められます。
臨床検査技師の業務内容については、以下の記事も参照してください。
臨床検査技師に向いていない人の特徴
臨床検査技師は重要な役割を担っていますが、誰にでも向いている仕事ではありません。
ここでは、臨床検査技師に向いていない人の特徴について見ていきましょう。
責任感が欠如している人
臨床検査技師は、責任感が欠如している人には向かない仕事です。
臨床検査技師は、見ただけではわからない体の内部の異変を、検査を通して見つけるのが仕事です。ゆえにときとして、医師よりも早く病気を発見する場合もあります。
もし検査を大雑把に行うと、正確な結果が出ず、重篤な疾患を見逃すおそれがあります。
臨床検査技師は、自分が出した検査結果によって患者さんの治療方針が決まることを意識し、つねに責任感を持って仕事をする必要があります。
複数の作業を同時に行うことが苦手な人
複数の作業を同時に行う、いわゆる「マルチタスク」が苦手な人も臨床検査技師には向かないでしょう。
臨床検査技師の業務は、検体の受付から実施、データの報告までを基本的にはすべて一人で担います。
しかも、大きな病院では次々に検査依頼がくるため、複数の検体を同時進行で検査していくことも大変多いです。
おまけに、通常の検体に加え、緊急で検査を差し込まれる場合もあるので、どの検体を優先的に検査するか、常に優先順位を考えて作業を進めていく必要があります。
ゆえに、マルチタスクが苦手な人は、複数の作業を同時に処理することができず、ミスをしたり、タスクの優先順位がごちゃごちゃになってしまう可能性があるため、臨床検査技師に向いているとはいえないでしょう。
ストレスに弱い人
ストレスに弱い人は、臨床検査技師に向かないといえます。
臨床検査技師の仕事は、重い責任感から高いストレスをともなう場合もあります。
例えば、今まさに瀕死の状態の患者さんの検体を扱う場合や、輸血にともなう検査を行う場合など、少しでもミスをすれば患者さんの命に関わる緊迫した場面で仕事をすることも多いです。
ゆえに、その際にかかるストレスに耐えられる人材でなければ仕事を続けるのは難しいでしょう。
また、臨床検査技師の仕事はときに、孤独との戦いでもあります。
大きな病院では当直勤務といって、夜間や休日に臨床検査技師が一人で勤務することも多いです。
当然、一人なのでその際に起こったトラブルや緊急事態には基本的に自分自身で対応しなければなりません。
「どのようなことがあっても自分だけで対処しなければならない」という責任感とそれにともなう孤独は、非常に大きなストレスとなるでしょう。
臨床検査技師は、上記のようなストレスにも対応できるタフさも必要になるのです。
向いている人の特徴を理解して臨床検査技師をめざそう
本記事では、臨床検査技師に向いている人・向いていない人の特徴について解説しました。
臨床検査技師に向いているのは、以下のような人です。
- 手先が器用
- 知的好奇心が旺盛で向上心がある
- コミュニケーション力や協調性がある
- 責任感がある
- 感染対策を徹底できる人
- 注意力があり観察に長けている
一方、臨床検査技師に向いていない人の特徴としては、以下のようなものがあります。
- 責任感が欠如している
- 複数の作業を同時に行うことが苦手
- ストレスに弱い
臨床検査技師は、医療現場で重要な役割を担っています。
もし、あなたが臨床検査技師になりたいと考えているなら、本記事を参考にして、臨床検査技師をめざしてみてはいかがでしょうか。