入職前に「日勤と夜勤ではどういう違いがある?」と、疑問を抱える新卒看護師は多いのではないでしょうか。
看護師の仕事内容や一日の流れは、職場や時間帯によって異なります。
そこで今回は、日勤・夜勤の2交代制となる病棟や、外来、新人看護師など、各ケースごとに、具体的なスケジュールの例を紹介していきます。
目次
病棟看護師の一日の流れ
病棟看護師の勤務形態は、大きく分けて2交代制と3交代制です。
病院や病棟により勤務形態はさまざまですが、日本看護協会の看護職員実態調査によると、3交代制が12.5%、日勤のみが30.1%であるのに対し、2交代制の看護師は全体の41.5%と最も多い結果となっています。
ここでは、多くの看護師が働く2交代制の場合を例に、日勤・夜勤それぞれのスケジュールの例を紹介します。
なお、病院の規模によって受け持つ患者数や業務量は異なりますが、基本的な流れは同じです。
日勤看護師の一日の流れ
日勤の一般的な勤務時間は、8:00〜9:00始業、17:00〜18:00終業です。
以下、筆者の実体験を交えて紹介します。
時間 | 項目 | ポイント |
8:00 | 出勤・着替え(情報収集・点滴の確認) | 更衣室で白衣に着替える 情報収集は申し送りのあとに行う場合も |
8:30〜8:45 | 申し送り | 患者さんの状況を夜勤・日勤看護師の全員で共有 |
9:00 | ラウンド・環境整備 | 患者さんへの挨拶 下膳や口腔ケアの後片付け |
10:00 | 清潔ケア・検温・処置 転棟・転入・入退院対応など |
おむつ交換と保清 褥瘡や創傷処置、体位交換 検温と状態観察 電子カルテの入力 点滴処置 手術や検査があれば送り出す |
11:00 | リーダーへ報告 | 変化がある患者さんの状態をリーダーへ報告 必要時は医師の指示を仰ぐ |
11:30 | 経管栄養・血糖チェック・昼食準備 | 血糖測定・経管栄養 車椅子への移乗、ベッドアップ、昼食前のテーブルセッティングなど |
12:00 | 食前薬与薬・配膳・配薬 | |
11:30〜13:30 昼食休憩(交代で) | ||
(ポイント)看護師の休憩は1時間ずつ交代でとります。 | ||
12:30 | 昼食介助・下膳・口腔ケア | 食事介助 適宜、病棟内のラウンドをする 下膳をしながら、口腔ケア |
13:30 | カンファレンス | 患者さんの情報共有や問題点の相談 インシデントカンファレンスなど |
14:00 | ラウンド・検温・処置 転棟・転入・手術のお迎えなど |
午前中に回りきれなかった処置 |
15:00 | 記録・看護計画の評価など | 入力しきれなかった記録や看護計画の評価 |
16:00 | リーダーへ報告 翌日検査・手術の準備・退院準備など |
患者さんの状態をリーダーへ報告 |
16:30 | 申し送り | 日勤から夜勤看護師への情報を共有 |
17:00 | 勤務終了 |
夜勤看護師の一日の流れ
夜勤の一般的な勤務時間は、16:00〜16:30始業、翌朝8:30〜9:00終業です。
仮眠時間は病院によって異なりますが、労働基準法では8時間を超える勤務の場合、少なくとも1時間の休憩を取らなければならないと定められています。
ただし、夜間に急変などがあった場合は、十分な休憩が取れないこともあります。
時間 | 項目 | ポイント |
15:30〜16:30 | 出勤・着替え・情報収集 内服・点滴準備など |
夜勤は日勤より受け持ち患者さんが増える場合が多い |
16:30 | 申し送り | 日勤リーダーから夜勤看護師への情報共有 |
17:00 | ラウンド・検温・手術・検査のお迎えなど | 患者さんへの挨拶 検温と状態観察 日勤で終わらなかった、手術や検査のお迎え |
17:30 | 血糖チェック・夕食準備 | 血糖測定、スライディングスケールがあればインスリン注射 車椅子への移乗、ベッドアップ、夕食前のテーブルセッティング |
18:00 | 食前薬与薬・配膳・配薬・食事介助 | 食事介助 適宜、病棟内のラウンドをする |
18:30 | 下膳・口腔ケア | 下膳をしながら、口腔ケア |
19:00〜 | 検温・点滴・排泄介助・就前薬与薬 | 必要な患者さんの検温、トイレ介助など、消灯の準備 |
〜21:00 交代で夕食休憩 | ||
21:00 | 消灯 | |
消灯後、交代で仮眠休憩 | ||
(ポイント)休憩中も急変があれば対応が必要 | ||
〜6:00 | ラウンド・記録 ナースコール対応 おむつ交換・体位交換・排泄介助など |
適宜、病棟内のラウンドし患者さんの状態観察 転倒・転落、不審者の有無など、異常がないか確認 点滴が正確に投与されているかチェック |
6:00〜7:30 | 採血・検温・記録・ナースコール対応 | 採血・採尿などの検査 |
7:30〜 | 血糖チェック・朝食準備 | |
8:00 | 食前薬与薬・配膳 | |
8:00〜8:30 | 配薬・食事介助・下膳・口腔ケア | |
8:30〜 | 申し送り | 夜勤看護師から日勤看護師全員への情報共有 |
9:00 | 終業 |
外来看護師の一日の流れ
外来の一般的な勤務時間は、8:00〜9:00始業、17:00〜18:00終業です。
外来といえど、総合病院の外来から小規模のクリニックまで、さまざまな職場がありますが、基本的な一日の流れは同じです。
ここでは病院内の外来を例に、外来看護師の一日のスケジュールを紹介します。
時間 | 項目 | ポイント |
8:15〜 | 出勤・着替え | |
8:30 | 始業 診察室・処置室の準備 |
外来の予約状況を確認 診察室の準備 |
9:00 | 午前の診療介助 採血・検査案内など 病棟へ入院患者の申し送り |
医師の診察の介助 採血・採尿などの検査案内 病棟患者さんの検査受け 病院によっては看護師が採血を行う |
12:00 | 休憩 | 1時間ずつ交代 もしくは診療が終わり次第、スタッフ全員で休憩 |
14:00 | 午後の診療介助 採血・検査案内など |
診察の介助や検査案内 入院や手術が必要な患者さんへのオリエンテーション |
17:00 | 片付け・終業 |
新人看護師の一日の流れ
新人看護師は、先輩とペアを組んで業務を進める場合がほとんどです。
初めて行うことはダブルチェックをし、先輩と確認しながら業務を進めていきます。
新人ならではの注意点もふまえて、新人看護師の一日のスケジュールを紹介します。
時間 | 項目 | ポイント |
8:00 | 出勤・着替え・情報収集 | 情報収集 受け持ち患者さんの疾患について理解しておく |
8:30〜8:45 | 申し送り | 先輩と行動をともにする |
9:00 | ラウンド・環境整備 | |
10:00 | 清潔ケア・検温・処置 | 初めて行うケアは予習しておくことなどが重要 ケアや処置は、入職後から見学・見守り・独り立ちと段階的に自立できるように指導してもらう |
11:30 | 昼食準備・配膳・配薬・食事介助 | |
11:30〜13:30 昼食休憩(交代で) | ||
(ポイント)休憩前に情報共有するべき内容を申し送る | ||
13:30 | カンファレンス | 患者さんの状態を把握 |
14:00 | ラウンド・検温・処置 | 先輩と一緒に患者さんのケア |
15:00 | 記録 | 実施した内容を記録し、先輩にチェックを受ける |
16:30 | 申し送り | |
17:00 | 終業 | 先輩看護師と一日をふり返り、アドバイスをもらう |
看護師のその他の業務内容
これまで述べてきた一日のスケジュールの合間に、病棟看護師は状況に合わせて以下の業務にも対応しなければなりません。
- ナースコール
- 不穏患者さんの対応(センサーコールなど)
- 緊急検査・処置など
- 急変対応
- 予定外の注射・点滴など
急性期病棟では急変や緊急検査・手術など、予想外のイベントが起こるケースもあるため、臨機応変に対応できるスキルが必要です。
また、大学病院など規模の大きい病院では、2人の看護師がペアを組んで業務を行うPNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)を導入しているケースがあります。
PNSとは、看護師がペアになり対等な立場でお互いの特性や能力を活かしながら業務を行う看護方式です。
例えば、一人が検温をし、もう一人が電子カルテに入力するといった具合に業務を進めます。
働く環境によって看護師の業務内容はさまざまです。
看護師の仕事内容については以下の記事も参考にしてみてください。
看護師の一日の流れは仕事の優先順位を決めることでスムーズになる
今回ご紹介してきたスケジュールはあくまで一例です。
受け持ち患者さんの病態や緊急対応などによって、日々の仕事内容は異なりますが、時間が決まっている業務や緊急を要する業務などを中心に、優先順位を考え計画を立てることで、安全、かつスムーズに看護業務が進められます。
慣れないうちは苦労することも多いですが、経験を積むことで優先順位の付け方が判断できるようになり、業務時間の短縮や患者さんに合った看護の提供ができるようになるでしょう。