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介護福祉士とは?業務内容や資格取得方法まで解説

「介護福祉士ってどうやったらなれるの?」
「介護福祉士の仕事内容はなに?」

将来介護福祉士として働きたいけど仕事内容や資格の取り方がわからない方もいるのではないでしょうか?
介護福祉士は介護業界で唯一の国家資格であり、資格取得方法にはいくつかのルートに分かれています。

今回は介護福祉士の概要や仕事内容、資格の取り方を詳しく解説しています。
将来介護福祉士として働きたい方や、介護福祉士になろうか迷っている方は参考にしてください。

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介護福祉士は介護職で唯一の国家資格

介護福祉士は介護職で唯一の国家資格

介護福祉士は1987年に誕生した、介護職で唯一の国家資格です。
国家資格には以下のような種類があり、介護福祉士は名称独占資格に分類されています。

業務独占資格 医師、看護師、薬剤師、弁護士、公認会計士など
名称独占資格 介護福祉士、社会福祉士、保育士など
設置義務資格 衛生管理者、放射線取扱主任者など

名称独占資格とは、有資格者以外が資格の名称を用いて業務を行えない資格のことです。
有資格者以外の者に対してこのような措置を取ることで、有資格者が提供する業務の質を担保しています。

介護福祉士は社会福祉士および介護福祉士法の第一章 第二条 二項により、以下のように定義されています。

「介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう

出典元:社会福祉士及び介護福祉士法

介護福祉士の仕事について

 

介護福祉士の仕事について

介護福祉士の仕事内容や就職先について解説します。
解説する内容は以下の3つです。

  • 介護福祉士の仕事内容
  • 介護福祉士の就職先
  • 介護福祉士の勤務形態

順番に説明していきます。

介護福祉士の仕事内容

介護福祉士の業務には、身体介護や生活援助などがあります。
また、介護分野のスペシャリストとしてマネジメント業務も任され、リーダー職に就く機会も出てきます。

身体介護

介護をする際に直接身体に触れる介助をすることを、身体介護といいます。
仕事内容は、食事介助、入浴介助、清拭、更衣介助、排泄介助、体位変換、移動介助などです。

身体に直接触れませんが、要介護者の自立した日常生活を支援するために、声かけなどをしながら見守る行為も身体介護の一部になります。

要介護者が自分でできない部分をサポートするため、要介護度により介護する頻度が変わります。

介護施設内で利用者にサービスを提供するときは、資格がなくても身体介護を行えます。
一方、利用者のご自宅でサービスを提供する訪問介護事業の場合は、介護職員初任者研修修了者の資格が必要です。

生活援助

生活援助は、日常生活を送るために必要な家事などを代行します。
仕事内容は、食事の支度、掃除、洗濯、生活用品の買物、薬の受け取りなどです。
本人に直接触れたりしないため、特別な資格はいりません。

介護者が自身の生活を不自由なく送るために援助するサービスなので、ペットの世話など本人に関わらない家事は、援助の対象外になります。

マネジメント業務

介護福祉士は、介護の仕事に対して一定の経験や知識を備えた資格者です。
そのため、介護者に対する仕事だけでなく、施設内のマネジメント業務も行います。

介護職員の指導や育成、業務管理など、施設全体の仕事内容の質を向上させ、より良いサービスを提供できるように、介護職員のチームリーダーとしての役割も担います。

介護福祉士の仕事内容の詳細は、以下の記事を参考にしてください。

介護福祉士の就職先

介護福祉士の主な就職先は以下のとおりです。

  • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
  • 介護老人保健施設
  • グループホーム
  • 介護付き有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • デイサービス(通所介護)
  • デイケア(通所リハビリテーション)
  • 訪問介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 障害者支援施設
  • 病院

病院や介護施設といった医療・介護の現場が多い傾向です。

介護福祉士が各就職先でどのような仕事を任されているのかは、こちらの記事で紹介しています。
興味のある方はご覧ください。

また、介護福祉士は介護施設や病院以外にも、以下のような場所でも活躍できます。

  • 介護福祉士養成施設の教員
  • 福祉用具専門相談員
  • 介護用品の営業職

介護福祉士の知識とスキルを活かし、上記のような医療・介護以外の現場で働きたいと考えている方は、以下の記事をご参照ください。
上記以外の職場や介護福祉士の上級職、介護職以外の職業を紹介しています。

介護福祉士の勤務形態

介護福祉士の勤務形態は、勤務先施設が「入所型」か「通所型」かによって異なります。

「入所型」の場合、介護を受ける方が施設に入居しているので、24時間施設に人がいなければなりません。
そのため勤務形態は2交代制、3交代制、4交代制で夜勤が必要です。

「通所型」では介護を受ける方が施設に通うため、日勤のみで時間を前後にずらしたシフトを組みます。
以下に勤務体系の例を紹介します。

<入所型の場合>

  • 2交代制の例
    日勤:8:00~17:00(8時間勤務、1時間休憩)
    夜勤:16:00~翌10:00(16時間勤務、2時間休憩)
  • 3交代制の例
    日勤:6:00~14:00(7時間勤務、1時間休憩)
    遅番:14:00~22:00(7時間勤務、1時間休憩)
    夜勤:22:00~翌6:00(7時間勤務、1時間休憩)
  • 4交代制の例
    早番:7:00~16:00(8時間勤務、1時間休憩)
    日勤:9:00~18:00(8時間勤務、1時間休憩)
    遅番:11:00~20:00(8時間勤務、1時間休憩)
    夜勤:16:00~翌10:00(16時間勤務、2時間休憩)

<通所型の場合>

  • 8:30~17:30(8時間勤務、1時間休憩)
  • 9:00~18:00(8時間勤務、1時間休憩)

ただし、施設によってシフトは異なるため、今回紹介したケース以外の勤務体型も存在します。

介護福祉士になるメリットとは

介護福祉士になるメリットを3つ紹介します。

  • やりがいを感じやすい
  • 就職や転職にプラスになる
  • キャリアアップにつながる

順番に説明していきます。

やりがいを感じやすい

介護福祉士の仕事は、利用者やご家族から「ありがとう」などの感謝の気持ちを直接聞けることも多く、やりがいを感じやすいでしょう。
他にも、前よりも元気になったり、自分でできることが増えたりなど、利用者の回復を近くで感じられることもやりがいの一つです。

やりがいを多く感じられると前向きな気持ちや頑張る気持ちになれ、今日の仕事も頑張ろうと思えます。

就職や転職にプラスになる

介護福祉士は介護業界のなかで唯一の国家資格であるため、就職・転職する際に雇用者側から評価を得やすいです。
介護福祉士の資格を持っているだけで一定の知識と技術の証明になり、介護業界で仕事に困ることはないでしょう。

介護業界は今後ますます需要が高まり、介護福祉士としてスキルを磨いていけば、より良い条件で働けます。
次項で介護福祉士のキャリアアップについて説明するので、確認してください。

キャリアアップにつながる

介護福祉士の資格を持っていれば、さまざまな形でキャリアアップできます。
介護業界のなかで上位資格を取得したい方におすすめなのが、以下の3つです。

  • ケアマネジャー(介護支援相談員)
  • 社会福祉主事
  • 社会福祉士

上記の資格を取得するためには、いずれも厳しい条件があります。
介護福祉士の経験を十分に積んだ方で介護・福祉系にさらに貢献できる仕事に就きたい方は、チャレンジしてみると良いでしょう。

介護福祉士としてもっと知識と技術を深めたい方は、「認定介護福祉士」の取得がおすすめです。
資格取得後も、自分の興味がある分野へのキャリアアップが可能です。

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介護福祉士として働くにはどうしたら良い?

介護福祉士として働くにはどうしたら良い?

介護福祉士の資格取得のルートは、4つあります。

  • 実務経験ルート
  • 養成施設ルート
  • 福祉系高校ルート
  • 経済連携協定(EPA)ルート

働きながらめざす場合(実務経験ルート)

働きながら介護福祉士をめざす場合は、実務経験ルートが一般的です。
実務経験ルートの条件として、以下のどちらかを選択する必要があります。

  • 実務経験3年以上で介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を受講
  • 実務経験3年以上で実務者研修(EPA介護福祉士候補者以外※1)を受講
    ※1 EPA介護福祉士候補者はEPAルートでの受験です。

働きながら介護福祉士をめざす方は、実務経験だけでは受験資格を得られないので注意しましょう。

以下の記事では、実務経験ルートで介護福祉士をめざす方向けに、実務経験ルートの詳細や注意点、実務経験として認められる条件を解説しています。
実務経験ルートでの受験を考えている方はご覧ください。

学校に通ってめざす場合(養成施設・福祉系高校・経済連携協定(EPA)ルート)

学校に通って介護福祉士をめざす場合は、以下の3つのルートがあります。

  1. 養成施設ルート
  2. 福祉系高校ルート
  3. 経済連携協定(EPA)ルート

それぞれの条件は以下のとおりです。

<養成施設ルート>

  • 指定を受けた養成施設で2年以上学ぶ
  • 福祉系大学や社会福祉士養成施設、保育士養成施設などを卒業後、介護福祉士養成施設で1年以上学ぶ

<福祉系高校ルート>

  • 福祉系高校を卒業する(平成21年度以降入学者)
  • 特例高校等に入学し、実務経験を9ヵ月以上積む。介護技術講習または介護過程・介護過程Ⅲを受講。受講しない場合は実技試験を受ける
  • 平成20年度以前に福祉系高校に入学し、卒業。介護技術講習または介護過程・介護過程Ⅲを受講。受講しない場合は実技試験を受ける

<経済連携協定(EPA)ルート>

  • EPA介護福祉士候補者が3年以上の実務経験を積む。介護技術講習、介護過程・介護過程Ⅲ、実務者研修(EPA介護福祉候補者のみ)のいずれかを受講。受講しない場合は実務試験を受ける

介護福祉士の試験は難しい?

介護福祉士試験の難易度について、合格率と国家試験の試験内容を紹介します。

介護福祉士の合格率

介護福祉士の合格率は直近5回の平均で約74.2%です。
過去5回の合格率の推移はこちらです。

第31回 第32回 第33回 第34回 第35回
73.7% 69.9% 71% 72.3% 84.3%

年々合格率は上がってきており、前回の第35回では84.3%まで上昇しています。
しっかりと勉強していれば、合格できる難易度といえるでしょう。

さらにさかのぼった合格率の推移や合否のボーダーラインは、こちらの記事をご覧ください。

介護福祉士国家試験の試験内容

介護福祉士国家資格は、筆記試験と実技試験の2つに分かれています。
筆記試験の試験内容は以下のとおりです。

領域 科目名
人間と社会 人間の尊厳と自立
人間関係とコミュニケーション
社会の理解
こころとからだのしくみ こころとからだのしくみ
発達と老化の理解
認知症の理解
障害の理解
医療的ケア 医療的ケア
介護 介護の基本
コミュニケーション技術
生活支援技術
介護過程
総合問題 総合問題

養成施設や実務経験ルートなど、条件を満たすことで実技試験が免除される場合もあります。
実技試験は体位交換など実際の介護の現場を想定したテストが行われます。

試験内容についての詳細はこちらの記事を参考にしてください。

介護福祉士に関してよくある質問

介護福祉士に関するよくある質問を3つ紹介します。

  • 介護士との違いは何?
  • 介護福祉士の給料はどれくらい?
  • 資格の取得費用はどれくらい?

順番に説明していきます。

介護士との違いは何?

介護福祉士と介護士の違いは資格や役割などではなく、言葉の意味の違いです。
介護福祉士は国家試験に合格した人の名称で、介護士は介護職で働く従事者全般に向けて使用される言葉です。

介護士として働くこと自体は、無資格の状態からでも可能です。
ただし、介護業務の内容により資格が必要になります。

利用者の自宅でサービスを提供する訪問介護事業の場合、食事介助や着替え介助、入浴介助、排泄介助など、直接身体に触れる介護をするには、介護職員初任者研修の資格が必要です。

介護職員初任者研修の資格の上に介護福祉士実務者研修があり、その上に介護福祉士の資格があります。

介護福祉士の給料はどれくらい?

介護福祉士の平均年収や手取りは以下のとおりです。

介護福祉士の平均年収

厚生労働省の令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、常勤の介護福祉士の平均月収は328,720円です。
この平均月収は手当と賞与も含まれた額であり、平均月収×12ヵ月で平均年収は約394万円と計算できます。

その他の介護従事者と比較すると、以下のとおりです。

職種 平均年収
介護福祉士 約394万円
社会福祉士 約436万円
介護支援専門員 約435万円
実務者研修 約369万円
介護職員初任者研修 約361万円

ただし、勤務している施設や勤続年数、勤務地(都会か地方)により平均年収は変動します。
参考程度にご参照ください。

介護福祉士の手取り

一般的に、手取りは月収の75~85%といわれています。
通常、月収から以下の税金や保険料が引かれます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 介護保険
  • 健康保険

住民税は前年度の所得に対して課税されるため、社会人1年目にはかかりません。
介護保険は40歳以上になると強制的に加入となり、保険料が引かれ始めます。

上記の税金・保険料は扶養家族の有無により多少異なるため、正確な手取り金額の計算は難しいですが、目安として平均年収約394万円であれば手取りは約296~335万円です。
月額にすると約25~28万円となります。

また、令和4年度介護報酬改定による給料の増額や、介護従事者の人材不足によって、今後は給料が上がっていくと考えられます。

資格の取得費用はどれくらい?

介護福祉士の資格を取得するためには、受験資格取得ルートにより以下の費用が発生します。

  • 実務経験ルート:約14~20万円
  • 養成施設ルート:約400万円
  • 福祉系高校ルート:約200万円

学校に通う養成施設ルートが最高の約400万円必要で、実務経験ルートは研修費用のみなので費用も低めです。

また、資格取得には上記の費用の他に受験手数料18,380円と登録手数料3,320円が必要です。
資格取得に必要な詳しい情報や試験の申し込みに関する情報が知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

介護福祉士についてよく理解して資格取得を検討してみよう

介護福祉士は、介護業界のなかで唯一の国家資格です。
資格を持っていれば、介護に関して一定の知識と技術を有していると証明できます。
介護福祉士は介護の現場で働く方が多いですが、現場以外で働くことも可能です。

国家試験の受験資格を得るためには以下の4通りのルートがあり、どのような方でも受験しやすくなっています。

  • 実務経験ルート
  • 養成施設ルート
  • 福祉系高校ルート
  • 経済連携協定(EPA)ルート

各ルートで資格取得に必要な費用も異なるので、自分の状況に合った資格取得方法を検討してください。

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