
「介護士と介護福祉士の違いは?」
「仕事内容や給料はどれくらい違うの?」
介護士や介護福祉士をめざすうえで、上記のような疑問を抱く方も多いでしょう。
本記事では、介護士と介護福祉士の違いについて、必要な資格や仕事内容、収入面などの違いを紹介していきます。
混同されやすい他の職種についても触れていくため、参考にしてください。
目次
介護士と介護福祉士の3つの違い
介護士と介護福祉士は、名称は似ていますが意味が異なります。
介護士は介護に関わるスタッフの総称ですが、介護福祉士は資格名です。
2つの名称の違いを資格、仕事内容、給料にわけて解説します。
しっかり理解して、介護の仕事に就く場合の参考にしましょう。
資格の違い
介護士と介護福祉士の、資格面での違いを解説します。
介護に関する資格はたくさんあり混乱しやすいので、しっかり理解しましょう。
介護士は資格不問
介護士とは、介護を実践しているスタッフの総称です。
介護士という名前も資格はなく、未資格者も介護士を名乗ることができます。
介護士に関する資格は以下のようなものがあります。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
上記の資格取得者から無資格者まで、仕事で介護を行う人すべてを介護士と呼びます。
もちろん、働く場所によっての違いはありません。
在宅介護に赴くホームヘルパーや施設で働く介護スタッフも介護士と呼びます。
介護福祉士は国家資格が必要
介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格です。
資格を取得するには、所定の学校を卒業したり、実務経験を積んだりすることで受験資格を得て、その後国家試験に合格しなければなりません。
介護福祉士は、資格を取得した人しか名乗ることができない、名称独占の資格です。
また、前述のとおり、介護福祉士も介護士のなかに含まれます。
介護福祉士の受験資格などの詳細は、別記事で紹介していますので参考にしてください。
>>介護福祉士の受験資格は?介護福祉士になる方法や必要な資格を解説
仕事内容の違い
介護福祉士の資格を取得した介護士は、取得する前と比べてどのように仕事内容が変化するのでしょうか。
ここでは、介護士と介護福祉士の仕事内容をそれぞれ解説します。
介護士の仕事内容
介護士は介護業務全般を行います。
具体的には以下のような仕事があります。
- 入浴介助
- 排泄介助
- 食事介助
- レクリエーション
また、介護士の業務は職場ごとにも異なります。
例えば、訪問介護では調理や清掃といった生活支援、通所事業所では送迎業務を行うこともあるでしょう。
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士の基本的な仕事内容は、資格を持たない介護士と変わりません。
しかし、介護福祉士は国家資格ですので、介護における専門的な知識やスキルを持ったスタッフとして、国から認められたスタッフです。
そのため、介護業務を行うだけでなく介護現場のリーダーとして、ほかの介護スタッフのまとめ役や、後進スタッフの育成など、責任のあるポジションを任せられることも多いでしょう。
介護スタッフの教育係として、人材の育成を担うこともあるでしょう。
また、サービス担当責任者の要件にも、介護福祉士の資格が含まれています。
>>介護福祉士の仕事内容を具体的に解説!どんな仕事なのか理解を深めよう
給料・待遇の違い
ここでは、介護士と介護福祉士の、給与や待遇についてそれぞれ見ていきましょう。
介護士の給料・待遇
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると介護福祉士以外の介護士の平均給与額(月額)は以下のとおりです。
資格 | 平均給与額(月額) |
---|---|
実務者研修 | 307,330円 |
介護職員初任者研修 | 300,510円 |
保有資格なし | 271,260円 |
介護士でも無資格の場合は、介護初任者研修や実務者研修の修了者と比べると、3万円程度月給が低くなってしまいます。
また、資格保有者には基本給だけでなく資格手当があるため、上記の表以上に待遇の差が出るでしょう。
介護福祉士の給料・待遇
介護福祉士の平均給与額(月額)は、「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、328,720円です。
つまり、無資格者やほかの資格保有者との差は以下のようになります。
資格 | 介護福祉士との平均給与額(月額)との差 |
---|---|
実務者研修 | 328,720円-307,330円=21,390円 |
介護職員初任者研修 | 328,720円-300,510円=28,210円 |
無資格 | 328,720円-271,260円=57,460円 |
以上のように、無資格の介護士と介護福祉士とでは、月額の平均給与額において5万円以上の差があります。
介護士よりも介護福祉士を取得するメリット3つ
国家資格である介護福祉士を取得すると、給料や資格手当、キャリアアップなど、さまざまなメリットがあります。
紹介する内容を参考にして、資格取得を検討する材料にしましょう。
待遇が良い
先ほど紹介したように、介護福祉士は介護士のなかでも給料が良く、資格手当もつきます。
また、資格を取得することで、責任をともなう仕事や重要な役割を担うことが多くなるでしょう。
キャリアアップの可能性が広がる
介護福祉士は介護現場において、リーダーや教育係を担うことが求められます。
そのため管理的な役職がつきやすく、キャリアアップの可能性がほかの介護士よりも高いです。
また、介護福祉士として5年間働く(従事した日数が900日以上)と、介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格を満たすことができます。
介護士としてはもちろん、ほかの専門職として、さらなるキャリアアップをめざせます。
転職がしやすい
介護サービス事業者は、できるかぎり良質な人材を確保したいと考えます。
介護福祉士の国家資格があれば、介護士としての知識や技術を客観的に証明できるため、事業者も安心して採用することができ、転職の際に有利に働きます。
また事業者は、施設における介護福祉士の割合を高めることで、サービス提供体制強化加算を受けることが可能です。
このことも、介護福祉士の需要を高める要因の 一つになっています。
介護士・介護福祉士以外の混同しやすい職種とその違い
介護士や介護福祉士と混同しやすい言葉として以下があります。
- ヘルパー
- 介護職員
- 社会福祉士
「ヘルパー」や「介護職員」は、介護士とほぼ同じ意味の言葉です。
一方で社会福祉士は資格の名称であり、介護を必要とする人の相談に乗り、解決方法を導き出す役割があります。
介護福祉士が介護の専門家であるのに対し、社会福祉士は相談援助の専門家といえます。
介護士と介護福祉士の違いを知って介護現場でどのように働くかを検討しよう
介護士と介護福祉士は混同されやすいですが、介護士が介護に関わる仕事の総称であるのに対し、介護福祉士は国家資格の名称で、根本的に意味が異なります。
現在無資格で働いている介護士が介護福祉士の資格を取得すると、給与アップやキャリアアップ、有利な条件での転職など、さまざまなメリットが期待できるでしょう。
自身のキャリアプランとも照らし合わせながら、ぜひ資格取得を検討してください。