看護師を40代からめざすとなると、年齢的に不安になる方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、40代からでも十分めざすことはできます。
看護師免許取得には年齢制限はないからです。
実際に40代から看護師になっている方も年々増加しています。
この記事では看護師をめざす方法、メリット・デメリット、注意点などを解説します。
40代から看護師をめざそうかと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
看護師を40代からでもめざす方法は?
看護師になるには、まず大学か短大、看護師養成所(専門学校など)のいずれかへ入学し、学習をする必要があります。
決められた学習課程を修了すると看護師国家試験の受験資格が得られ、国家試験に合格してはじめて看護師として働くことができるのです。
40代は仕事をしていたり、それに加えて子育てや介護といったケアをしていたりするため、学校選びに悩む方もいるのではないでしょうか。
大学や短大、専門学校の概要を解説するので、自分の生活環境と照らし合わせて、自分に合った看護師のめざし方を見つけましょう。
看護大学
看護大学では4年教育を受ける方法があります。
大学でも短い期間で学習をしたいと考えている方には、大学3年目から入学できる編入学制度がおすすめです。
大学への編入学は、法令上の要件があるので該当する場合のみとなります。
要件は簡単にまとめると以下のとおりです。
- 短期大学を卒業した人
- 高等専門学校を卒業した人
- 専修学校の専門課程を修了した人
- 修業年限が2年以上、その他の文部科学大臣が定める基準を満たす高等学校専攻科を修了した人
ただし、編入学制度を行っているかは大学によって異なるので、希望大学へ問い合わせて確認しましょう。
看護専門学校
次に看護専門学校で3年教育を受ける方法があります。
大学よりも短期間で学ぶために学習スケジュールが集中し、スケジュールが過密になっています。
大学に比べ一般教養の授業が少なく、看護技術の内容がメインとなっているので、短期間で集中的に学びたい方におすすめです。
看護短期大学
看護短期大学も専門学校と同じく3年教育を受ける必要があります。
看護専門学校との違いとして、大学と短期大学は一般教養を身につけるための一般科目の授業が多いです。
看護短期大学は全国に14校程しかないため、自宅や職場近くには短期大学がない可能性があります。
40代から看護師に転職するメリット・デメリット
40代から看護師に転職すると考えると、デメリットが先に浮かんでくる方もいるのではないでしょうか。
もちろん、デメリットも想定されますが、40代までの社会人経験がプラスに働き、メリットもあります。
メリット
まずは、40代から看護師をめざすメリットを考えてみましょう。
社会人としての経験を役立てられる
看護師は看護技術だけでなく、患者さんの気持ちに寄り添うことや、スムーズに医療行為を提供するために、医師をはじめとするスタッフの間で意思疎通をすることが重要です。
このようなコミュニケーションでは、今まで培った社会人経験を存分に活かすことができるでしょう。
また、近年は電子カルテを取り入れている医療機関も増加傾向にあります。
電子カルテの扱いではパソコンに触れる機会も多くあるので、仕事でパソコンを使ったことがあれば、看護師になっても役に立つでしょう。
収入がアップする可能性がある
看護師は高収入と耳にしたことはあるのではないでしょうか。
本当に高収入なのか、データを調べたところ、厚生労働省の産業別統計グラフから、他職種と比較して看護師(医療・福祉)は高収入といえます。
そして、グラフでは年齢による極端な傾きがないことから、その収入は生涯を通して比較的安定していることも見てとれます。
この統計データから看護師に転職することで、収入がアップする可能性があるといえるでしょう。
転職・再就職の際に有利
看護師の資格は国家資格なので、一度取得すればいつでも看護師として働くことが可能です。
高齢化社会を迎えるにあたり、適切で良質な医療提供をできるよう、国は看護師の確保に力を入れているのです。
実際に、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づいた、ナースセンターが都道府県ごとに設置されています。
ナースセンターは看護師の確保のため、求人案内や就業相談といった施策を行っています。
他にもさまざまなサービスを受けられるので、転職や再就職の際はナースセンターへ登録するのがおすすめです。
やりがいがある
看護師に転職を考えた理由として、やりがいを求めている方もいるのではないでしょうか。
患者さんの健康を支える手伝いができる看護師の仕事は、なくてはならない仕事であり、やりがいのある仕事です。
また、高齢化社会で看護師の活躍の場はどんどん広がっています。
患者さんは何かしらの不安を抱えて来院されます。
40代までの社会人経験者は、コミュニケーション力もある程度培ってきているので、看護技術のみならず心のケアにもこれまでの経験が活き、やりがいを持って看護の仕事にあたれるでしょう。
デメリット
続いて、40代から看護師をめざすデメリットも確認しておきましょう。
人間関係に悩むことがある
社会人として今まで培ってきたコミュニケーション能力やビジネススキルなどに嫉妬されてしまうことがあるかもしれません。
また、看護師という女性が多い環境ならではの人間関係の難しさに悩む方もいるようです。
体力的な負担が大きい
看護師の仕事は、基本は立ち仕事です。
患者さんの介助などでは、力仕事も求められます。
また、患者さんと同じ高さの目線でコミュニケーションをとる際には、立ったりしゃがんだりという場面もあり、常に身体の動きをともなう仕事です。
体力的な負担が大きいと感じることも多いのが現実です。
40代から看護師をめざすには、体力もしっかりつけておくのが望ましいでしょう。
若手新人よりも風当たりが強いことがある
社会人経験を持つ40代であることから、さまざまな知識や経験があると周囲から見られ、仕事に対するハードルを上げられてしまうことがあるかもしれません。
「なぜこの程度のことができないのか?」などと責められ、ストレスを溜め込まないよう気を付けましょう。
家庭との両立が大変
40代で育児や家事がある方は、看護学校の学習や就職後の仕事との両立に悩むこともあるでしょう。
すべてを一人でこなすのは精神的、体力的にも大変なので、ご家族や周囲の理解と協力が必要です。
奨学金返済のために、辞めたくても辞められない
奨学金制度を利用した場合、返済不要な奨学金もありますが、卒業後に就職して働きながら返済することが必要です。
まとまった金額が必要となるため、この期間は仕事がつらくても、奨学金を返すまでは辞めたくても辞められない状況となる可能性があります。
40代から看護師をめざす際の注意点
40代から看護師をめざすためには、どのようなことに注意したら良いのかを解説します。
看護師になるには国家試験の合格が必要であり、簡単なことではありません。
しっかりと注意点を抑えて進んでいきましょう。
看護師になるという強い意志を持つ
看護師になるという目標を実現するためには、強い意志を持つことが必要です。
実際に学習や実習、試験勉強は想像以上に困難なこともあり、挫折しそうになるかもしれません。
なぜ自分は看護師になりたいのか、何のために看護師をめざしているのかという目的を振り返り、その信念を貫くという強い意志を持ちましょう。
本来の目標を振り返ることは、学ぶ過程に限らず看護師になってからも役に立ちます。
学費・時間がかかることを覚悟する
看護師をめざすには、まとまった学費と時間が必要になります。
奨学金制度で一時的にお金を借りることはできますが、それでも入学金や学費は学校に納めなければなりません。
看護学校に基本は3〜4年通う必要があり、資格取得までは長い道のりです。
40代は仕事、家事、子育て、介護など、日常生活でやるべきことがたくさんある方も多いでしょう。
すぐには受験資格を得ることはできないので、学費と時間はそれぞれかかることを覚悟しておく必要があります。
40代の新人看護師が円滑に働くためのポイント
新卒看護師と同じく、40代の社会人経験者も看護師としては新人に変わりありません。
ここでは、特に40代の新人看護師が円滑に働くためのポイントを紹介します。
社会人経験が豊富な40代であれば、このポイントを意識すると気持ちよく働けるでしょう。
良い人間関係を築く努力をする
医療の現場では、個々の働きかけがそれぞれの患者さんにより良い医療を提供することにつながります。
もしも困ったことや気がかりがあれば、40代だからといって遠慮することなく、同僚や上司に相談すると問題の解決や心の安定につながります。
自分からも小さなことで良いので、仕事において周囲の役に立つために、できることを積極的にやるよう心がけましょう。
年下の看護師への接し方に注意する
特に年下の先輩看護師へは、敬意を持って接するよう心がけましょう。
年下とはいえ、看護の先輩や同期から学べることは多くあるからです。
世代が違うからこそ、違った観点の自分にはない新たな発見ができることもあります。
余計なプライドは捨てる
新卒の看護師に比べると、40代の社会人経験のある新人看護師は、経験値では自分が上だと思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
余計なプライドがときに無意識下で職務態度に現れ、トラブルを引き起こす可能性もあります。
極力プライドは捨て、謙虚な気持ちで職務についた方が良いでしょう。
看護師は40代からでもめざせる
看護師は40代からでもめざせます。
まずは看護の教育を受ける必要があるので、自分の生活環境にあった学校を選び、看護国家試験に向けてしっかりと学習しましょう。
家庭や育児がある方は、周囲から協力を得て学習に取り組む工夫をしてください。
看護師には医療行為だけでなく、患者さんはもちろん、医師や他のスタッフとのコミュニケーション能力も求められます。
看護技術のみならず、社会人経験を活かしながら、周囲への敬意を忘れずに看護師の仕事に取り組むことが必要です。