「看護師は月にどれくらい残業してるの?」
「看護師の残業が発生している理由が知りたい」
現役の看護師や、これから看護師をめざす人にとって、看護師の残業時間がどの程度なのかは気になるポイントでしょう。
今回の記事では、看護師の月の残業時間を勤務形態別に解説しています。
看護師の残業が発生する理由や、残業が多い傾向にある科、少ない傾向にある科についても紹介しているので、転職活動や就職活動の参考にしてください。
目次
看護師の残業時間は月平均でどれくらい?
2017年に日本医療労働組合連合会が行った調査によると、残業をしている看護師の割合は90%にのぼります。
残業の内訳は以下のとおりです。
残業時間 割合 なし 10.0% 5時間未満 22.2% 10~20時間未満 25.0% 20~30時間未満 18.7% 30~40時間未満 11.7% 40~50時間未満 4.7% 50~60時間未満 2.1% 60~70時間未満 1.0% 70時間以上 0.4% 無回答 3.8%
看護師の残業時間【勤務形態別】
ここでは、勤務形態別での残業時間を見ていきましょう。
紹介する勤務形態は以下の4種類です。
- 日勤
- 準夜勤務
- 深夜勤務
- 2交替夜勤
看護師の日勤の残業時間
日勤帯での時間外労働の割合はこちらです。
時間外労働(日勤) 始業時間「前」 始業時間「後」 ①なし 20.2% 12.1% ②約15分 26.7% 14.0% ③約30分 33.9% 21.8% ④約45分 10.4% 8.1% ⑤約60分 7.2% 21.3% ⑥約90分 1.2% 13.2% ⑦約120分 0.5% 9.5%
上表から最も多い時間外労働は約30分で、始業時間前に時間外労働をしていることがわかります。
定時を過ぎたあとの残業では、約30分と約60分がほぼ同数となっています。
日勤帯で時間外労働をしないと答えたのは始業前で約20%、終業後では約12%しかいませんでした。
看護師の準夜勤務の残業時間
準夜勤務帯での時間外労働の割合はこちらです。
時間外労働(準夜勤務) 始業時間「前」 始業時間「後」 ①なし 21.9% 25.3% ②約15分 17.8% 18.1% ③約30分 33.6% 27.7% ④約45分 11.2% 7.0% ⑤約60分 12.4% 14.7% ⑥約90分 2.7% 5.4% ⑦約120分 0.5% 1.8%
準夜勤務帯の時間外労働では、日勤と同様に始業時間前に約30分労働している方が多いです。
終業時間後の残業は約30分が最も多くなり、次いで約15分が多いです。
日勤と比較すると、準夜勤務の終業時間後に残業している方の割合が約13%ほど少なくなっています。
看護師の深夜勤務の残業時間
深夜勤帯での時間外労働の割合はこちらです。
時間外労働(深夜) 始業時間「前」 始業時間「後」 ①なし 23.5% 20.3% ②約15分 21.9% 15.9% ③約30分 35.3% 29.1% ④約45分 8.9% 9.4% ⑤約60分 8.8% 17.3% ⑥約90分 1.4% 6.1% ⑦約120分 0.3% 1.8%
深夜勤務での始業前の時間外労働は、日勤・準夜勤同様約30分が最も多いです。
一方、始業前に約45分以上時間外労働をしている方の割合は他の勤務時間に比べ少なくなっています。
終業時間後も約30分残業している方が多いです。
2交替夜勤の看護師の残業時間
2交替夜勤帯での時間外労働の割合はこちらです。
時間外労働(2交代夜勤) 始業時間「前」 始業時間「後」 ①なし 28.6% 27.8% ②約15分 13.0% 13.6% ③約30分 26.2% 24.3% ④約45分 12.2% 7.8% ⑤約60分 14.7% 16.6% ⑥約90分 4.5% 7.0% ⑦約120分 0.9% 2.9%
2交替夜勤の時間外労働における労働時間は、始業前・終業後で約30分が最も多く他の労働時間帯と同様の結果でした。
残業なしと答えた方の割合は2交替夜勤が一番多く始業前28.6%、終業後27.8%です。
看護師の残業が多い理由
看護師の残業が多くなる理由には以下のものがあります。
- 人手不足
- 勉強会・研修会への参加
- 急変対応
- 看護記録の作成
- 後進育成
順番に説明していきます。
人手不足
看護協会が運営するナースセンターでは、令和元年度時点で全都道府県の求人倍率が1.0以上となっており、人手が足りていない状態です。
国は人手不足対策として看護職員確保対策を行っており、人手不足解消に向け取り組んでいます。
看護師の人手不足に関してはこちらの記事でも記載しています。
勉強会・研修会への参加
看護師は、常に最新の医療技術や看護知識を習得するため、勉強会や研修会に参加しなければなりません。
業務に関わる勉強会や研修会は、業務の一部とみなされるため業務時間内に行われるべきですが、勤務時間内に実施するのは難しいのが現実です。
そのため、勤務後に行われることが多く終業時間後の残業になりやすいです。
また、勉強会や院内研修は残業時間にカウントされていないケースが多いことも問題視されています。
2019年病院看護実態調査によると「勤務時間外に院内で開催する研修への参加を時間外勤務として扱っているか」の問いに対する解答で、残業として扱っていると答えたのは21.8%にとどまり、「残業として取り扱っていない」や「一部の勉強会のみ取り扱っている」と答えた病院がほとんどでした。
急変対応
緊急を要する患者さんに対応している間は、日常業務が滞りがちです。
そのため、救急車の受け入れや、重症の患者さんが多い病院は残業が多くなりやすい傾向にあります。
看護記録の作成
看護師は、自分の勤務時間内に担当患者さんへ行った処置、医師から受けた指示、今後の治療方針など、さまざまな事柄を看護記録に残さなければなりません。
担当する患者数が多ければ、その分看護記録にも時間がかかり、残業が発生しやすくなります。
申し送り
看護師は勤務交代時に、次の担当看護師に申し送りを行います。
申し送りでは、自分の勤務中に患者さんに起こった内容を細かく伝えるため、ある程度の時間が必要です。
病院によっては申し送りのために、始業時間より早く出勤する前残業が求められるケースもあります。
看護師の残業が多い科・少ない科
看護師が働く職場では、科によっても残業時間の傾向が異なります。
残業が多くなりがちな科、少くなりがちな科をそれぞれ見ていきましょう。
残業が多い傾向にある科
残業が多い傾向にある科は以下のとおりです。
- 循環器科
- 産婦人科
- 手術室
- 脳神経外科
- 急性期病棟
循環器科と急性期病棟は、患者さんが急変することが多く、急変時には残業になることが多いでしょう。
手術室、脳神経外科は、手術に時間がかかり予定どおり終わらない場合に残業が発生しやすくなります。
産婦人科で残業になりやすいのは、分娩が難航したり分娩が予定外に重なったときです。
残業が少ない傾向にある科
残業が少ない傾向にある職場は以下のとおりです。
- 回復期リハビリテーション病院
- 慢性期病棟
- 透析内科
- 皮膚科
- 精神科
- 検診センター
回復期リハビリテーション病院や慢性期病棟は、病態が安定している患者さんが多いため、急変による残業が起こりにくいです。
透析内科も透析治療が4時間や5時間と決まっているため、治療時間延長による残業が少ない科です。
皮膚科、精神科についても、患者さんの急変や救急患者が少ないため、業務時間内に仕事を終わらせやすいでしょう。
健診センターは予約制で、1日の業務量が決まっているため、残業はあまりありません。
看護師の残業は勤務形態や職場によって異なる
看護師の残業は勤務形態でばらつきがあり、働く病院や部署によっても変わります。
残業がある部署であれば日勤帯の終業後に残業している看護師が最も多く、夜勤帯になると残業時間は少なくなる傾向です。
残業をしたくない看護師は、残業が少ない科や職場で働くのがおすすめです。