
看護師のなかには、さまざまな理由で現場を離れている潜在看護師が多くいます。
復職したくても、「自分につとまるかな」「周りに迷惑ばかりかけちゃわないかな」と、心配になってしまう人が多いことでしょう。
今回は、このようにブランクがあって復職を考えている看護師に向けて、復職までの流れや勉強法、事前準備、職場の選び方を詳しく解説します。
復職を検討している人の不安解消につながれば幸いです。
目次
ブランクがある看護師が復職に際して抱える不安とは
はじめに、ブランクを抱える看護師が復職に際してどのような不安を抱くかをまとめます。
知識・技術面の不安
復職したとしても、以前と同じ仕事に就けるとは限りません。
新しい部署で新たな業務に取り組むと考えれば、誰でも少なからず不安になるでしょう。
また、医療は専門性の高い分野であり、日々進化しています。
仮に以前と同じ分野の部署で働くとしても、自分の休職中に進歩を遂げた医療技術に対応できるか、不安を抱く人も少なくないでしょう。
体力面の不安
ブランクがあると、年齢的な面からも体力がもつか不安になるでしょう。
新しい環境で働くというだけでも気疲れするなか、看護師の場合は夜勤を含む変則勤務が求められることも多く、体力の消耗は覚悟しなければなりません。
人間関係への不安
人間関係への不安は、ブランクのある看護師にとって心配な要因の一つです。
同じ部署のスタッフの年齢層が自分と離れていないか、すでにできあがっている組織のなかに上手に入り込んでいけるかなどと、不安になることがあります。
育児・家事との両立への不安
結婚や出産、育児を機に職場から離れていた場合、育児や家事と仕事を両立させられるか、どうしても不安になるものです。
「仕事をすることで子育てがおろそかにならないか」「子どもが急に体調を崩したらどうしよう」「家事の分担はどうしよう」などと、さまざまな不安が尽きないことでしょう。
ブランクがある看護師の復職までの流れ
ここからは、休職中の看護師が復職するまでの流れを解説します。
看護師の技術・スキルを復習する
看護師への復職を考えはじめた時点からしておきたいのが、看護技術やスキルの復習です。
看護師として働く際、どの病院や施設、部署へ行っても必要となるのが、基礎看護技術。
数年現場を離れているだけでも忘れてしまっていることがあるはずです。
一つひとつ丁寧に復習しておきましょう。
また、医療や看護に関する知識をアップデートしておくこともおすすめです。
ニュースなどで話題になっている医療情報は、ひととおり勉強しておきましょう。
働き方を考える
復職を決めたら、勤務形態や病院、部署など、働き方を具体的に考えてみましょう。
不安が大きい場合は、時短勤務やパート・アルバイトから開始し、徐々に慣らしていく方法もあります。
病院や部署、診療科を選ぶ前に、これまでの経験を活かせる場所にしたいのか、それとも心機一転新しいことを学びたいのかをあらためて考えてみましょう。
求人を探す・求人サイトに登録する
復職後の働き方がある程度定まったら、いよいよ職場探しを開始します。
看護師求人サイトに登録し、自分の希望条件に合った職場を探しましょう。
不安があれば、都道府県ナースセンターへ相談してみることもおすすめです。
ブランクがある看護師の復職に向けた勉強法
ここからは、ブランクがある看護師の復職に向けたおすすめの勉強法を解説します。
きちんと準備し、不安を少しでも軽減できるよう努めましょう。
セミナー・研修を受講する
ブランクのある看護師の復職を支援するためのセミナーや、研修を活用するのも一つの手です。
日本看護協会や都道府県ナースセンターによる就業支援、民間企業によるセミナーなど、数多く開催されていて、なかには無料のものもあります。
自分に合ったものを探して受講してみましょう。
復職のための勉強を効率的に進められるため、忙しい人にもおすすめです。
通信制講座を受講する
研修会やセミナーに足を運ぶのが難しい場合は、空いた時間に自分のペースで学習できる通信制講座の活用がおすすめです。
自宅にいながら専門的な勉強ができるので、ブランクのある看護師の強い味方となるでしょう。
アプリを活用する
最近では、看護の知識や技術を学べるアプリも開発されています。
基礎的な内容を学ぶには十分ですので、アプリを利用しすきま時間で勉強するのもおすすめです。
ただし、アプリ自体が信頼できるものであるかどうかは見極める必要があります。
ブランクありの看護師が復職する際の注意点
ブランクを空けて看護師として復職する際は、いくつか注意したい点があります。
これまでと環境が変わる点は意識しましょう。
家族の理解を得る
復職するには家族の理解が必要です。
看護師の仕事は心身ともにハードであることが多く、少なからず家族の協力が必要になります。
復職を決める前に、勤務形態や勤務時間、家庭内での役割をどうするかをきちんと話し合う時間を設けましょう。
家族との相互理解ができていないと、復職後に思わぬトラブルが発生してしまう可能性があります。
職場の理解を得る
仕事に復帰したら、職場でも理解を得られるよう努力することが必要です。
育児や介護などに理解のある職場で働けるのが最善ですが、日頃から上司や他のスタッフに、事情を理解してもらえるような姿勢を示すことを忘れてはなりません。
こちらの事情に合わせるのが当然と考えるのではなく、感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
また、環境の整備も重要事項です。
育児をしながら復職する場合は、託児所のある職場を選ぶか、勤務先の近くに子どもの預け先を確保します。
感覚を取り戻すには時間がかかることを意識しておく
ブランク後に復職する場合、看護技術の細かな点などを忘れてしまっていることは想定内です。
焦ったり自分を責めたりせず、感覚を取り戻すにはある程度の時間を要するものと、現実を受け入れてみましょう。
ブランクがある看護師におすすめの復職先
最後に、ブランクのある看護師におすすめの復職先をいくつか紹介します。
職場選びの参考にしてみてください。
クリニック・診療所
クリニックや診療所は、大きな病院などと比較すると、難しい医療行為や緊急性の高い処置は少なくなります。
そのため、自分の知識や技術を一つひとつ確認しながら再習得できる可能性が高く、ブランクのある看護師にはおすすめです。
基本的には変則勤務や夜勤がないため、家事の妨げとならない点でも、ブランクのある看護師に適しているでしょう。
健診・検診センター
健診センターや検診センターにおいては、中心となる業務が一定の手順の繰り返しとなるため、ブランクがあっても働きやすいでしょう。
また、夜勤がなく残業も少ないため、ブランクのある看護師に向いています。
血圧測定や採血、身体計測といった基本的な看護技術ができれば十分に対応できるため、無理なく働ける一方で、積極的にスキルアップやキャリアアップしていきたい人には、物足りなく感じる可能性があります。
介護施設(デイサービス)
介護施設における看護業務で専門性の高い医療行為を求められる機会は、それほど多くありません。
バイタルサイン測定や利用者の移動介助が業務のメインとなるため、休職前の知識や技術を活かして、比較的穏やかに働けるでしょう。
特に、デイサービスは夜勤がないため、家庭と仕事を両立させたい看護師におすすめです。
慢性期病棟・療養型病棟
ブランクがあっても病院で働きたいと考える看護師には、慢性期病棟や療養型病棟がおすすめです。
慢性期病棟や療養型病棟の患者さんは、急性期病棟の患者さんと比較すると容態が安定していて、スピードを求められる業務や処置は多くありません。
一方、急性期病棟は患者さんの急変への対応も求められる職場です。
ブランクを理由に適切な対応ができないようでは、患者さんに迷惑がかかってしまう可能性があります。
また、そのような部署では職場の雰囲気や人間関係もどうしても緊張してしまい、心身ともにストレスを感じます。
ブランクがあることに不安を感じている場合は、急性期病棟よりも一つひとつの業務を丁寧に振り返りながら進められる、慢性期病棟や療養型病棟を選ぶのが良いでしょう。
保育園
保育園に勤める看護師には、子どもたちの見守りやケガ・病気の際の応急処置、健康管理が求められます。
有事がない限りは専門的な処置を施すことはなく、保育士の補助として比較的余裕を持って働けます。
子育て経験を活かせる点でも、働きがいがあるでしょう。
しかし、保育園では看護師を一人しか配置していないことが多い点には注意が必要です。
いざというときにサポートしてくれる他の看護師がいないため、負担に感じることがあるかもしれません。
訪問看護
訪問看護ステーションは、新しいことへの挑戦を望む看護師におすすめしたい職場です。
訪問看護は幅広い年代の利用者を対象とし、さまざまな疾患や障害のケアが求められるため、大変な仕事というイメージを抱く人も多いはずです。
しかし、在宅で行うケアはある程度限られており、毎回の訪問で提供する看護もある程度流れが決まっています。
そして、一人ひとりの利用者やご家族と深く関われる点や、今後ますます需要が高まるであろう在宅医療の分野を学べる点で、スキルアップにもつながります。
また、夜勤がないため、ワークライフバランスを重視する場合は理想的な職場です。
ただし、ステーションによってはオンコール業務を任されることもあるため、確認が必要です。
看護師はブランクがあっても復帰できる!万全な対策で備えよう
今回は、ブランクがある看護師を対象に、仕事に復帰するまでの流れや準備、注意点、おすすめの職場を紹介しました。
看護師はつねに売り手市場で、資格さえあればいつでも復職できる魅力的な職業です。
ブランクがあっても、事前の準備を整えたうえで自分に合った復職先を選べば、楽しく仕事ができるはずです。
復職するまでの期間と復職後は、しばらく不安でいっぱいかもしれません。
少しでも不安を軽減するために、万全な対策で備えましょう。