
「ワークライフバランスを保ちたい」「勤務時間を調整したい」などの理由で、非常勤看護師の働き方を検討する人もいるでしょう。
入職後もギャップを感じることなく安心して働き続けるためにも、働き方を決める際には、その働き方の特徴を正確に知ることが大切です。
今回の記事では、非常勤看護師の定義や常勤看護師との違い、メリット・デメリットについて幅広く紹介していきます。
目次
非常勤看護師とは
非常勤看護師とは、1週間の勤務時間が40時間未満で働く看護師のことです。
育児や子育てなどの個人のライフスタイルによって、フルタイムで働くことが難しく勤務時間を調整したい場合に、非常勤看護師として働くことを検討する人もいるでしょう。
注意点として、「非常勤」と似た言葉に「非正規雇用」「正規雇用」という言葉があります。
これらは、勤務時間ではなく、雇用期間によって分けられている雇用形態を指す言葉なので混同しないようにしましょう。
非常勤看護師と常勤看護師の違い
転職活動をする際に、「非常勤看護師と常勤看護師のどちらの働き方にしたら良いのか」と悩む方もいるでしょう。
非常勤看護師と常勤看護師は、以下の点が異なります。
- 勤務時間
- 待遇(給与・福利厚生)
- 社会保険
それぞれ見ていきましょう。
勤務時間
非常勤看護師と常勤看護師は、勤務時間が異なります。
先述したように、非常勤看護師は、1週間の勤務時間が40時間未満です。
一方で常勤看護師は、1週間に40時間(1日8時間、週に5日)働くことが基本であり、一般的に「フルタイム」と表現されている働き方をしています。
勤務時間は非常勤看護師と常勤看護師で異なりますが、通常の仕事内容に差が出ることはありません。
待遇(給与・福利厚生)
非常勤看護師と常勤看護師では、給与や福利厚生などの待遇が異なります。
給与の面では常勤看護師は固定給(月給制や年棒制)が一般的です。
一方で、非常勤看護師の給料は時給や日給によって決まるため、働いた時間や日数によって貰える給料が変わってきます。
また、福利厚生の面でも非常勤看護師と常勤看護師で異なる場合があるので注意しましょう。
勤務先によって福利厚生の制度や対象はさまざまですが、例えば、住宅手当制度については非常勤看護師は対象外となっていることもあります。
社会保険
非常勤看護師は、常勤看護師と違い社会保険や雇用保険に加入できない場合があります。
健康保険や厚生年金保険、雇用保険は加入条件が決められており、条件を満たさなければ加入できません。
そのため、勤務条件によっては、常勤看護師とは加入する社会保険が異なることがあります。
それぞれの加入条件は以下です。
<健康保険・厚生年金保険>
- 所定労働時間が正社員(常勤看護師)の4分の3以上
- 所定労働時間が正社員(常勤看護師)の4分の3以下であるが、以下の条件を満たしている場合
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・1ヵ月の給料が8.8万円以上
・学生ではない
・2ヵ月を超える雇用見込みがある
<雇用保険>
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
非常勤看護師のメリット・デメリット
非常勤看護師として働く前に、非常勤看護師のメリット・デメリットを知っておくことで、入職後に感じるギャップが少なく、満足した働き方を実現できます。
ここからは、非常勤看護師のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
メリット
非常勤看護師のメリットは以下の2つです。
- プライベートと両立しやすい
- 精神的な負担が少ない
プライベートと両立しやすい
非常勤看護師はフルタイム勤務ではないため、自分の都合に合わせて勤務日程や勤務時間を調整することができます。
そのため、家事や育児、介護など、仕事とプライベートの時間を両立させやすいでしょう。
また、非常勤看護師は基本的に残業が少ないことも魅力の一つです。
やむを得ないときに残業する場合でも、勤務時間に対して時給換算で給料が支払われるため、サービス残業になることはありません。
精神的な負担が少ない
非常勤看護師は常勤看護師に比べて他の従業員や上司と関わる機会が少ないため、人間関係のストレスを抑えやすくなります。
職場の人間関係は看護師の退職理由のなかでも上位を占めていますが、フルタイム勤務ではない非常勤看護師だからこそ、対人のトラブルに巻き込まれることが少なくなります。
また、リーダーに任命されたり、責任の重い仕事を行う機会も少ないため、精神的な負担が少なく仕事が行えるでしょう。
デメリット
非常勤看護師のデメリットは以下の2つです。
- キャリアアップしにくい
- 給料の安定性に欠ける
それぞれについて解説します。
キャリアアップしにくい
非常勤看護師は昇進ができないため、役職に就くなどのキャリアアップをめざすことは難しいです。
常勤看護師と比べて仕事内容の違いはほとんどありませんが、常勤看護師向けの研修や勉強会には参加できないことが多く、スキルアップはしにくくなります。
また、仕事のなかで実務経験は積めても、責任ある仕事を任せられにくい立場という点でも、キャリアアップは実現しにくいでしょう。
給料の安定性に欠ける
非常勤看護師は常勤看護師に比べて、給料面での待遇が劣る傾向があります。
非常勤看護師の給与は日給や時給で計算されて支払われますが、勤務日数や時間が少なく、残業もほとんどないことから、給料は少なくなりがちです。
また、先述したように役職に就くなどのキャリアアップが実現しにくいことからも、将来的に給料が増えていくことを望むのは難しいでしょう。
保険や福利厚生においても、常勤看護師に比べて手厚くない職場が多いこともデメリットといえるでしょう。
非常勤看護師が活躍できる職場
非常勤看護師が多く働いている職場として、以下のような勤務先があります。
- 総合病院・大学病院の外来
休日が固定されていることや外来時間が決まっており残業が少ないことから、ワークライフバランスを保ちたいと考えている場合におすすめの職場です。
病棟と比較して、清潔ケアや体位変換などの身体を使うケアも少なく、体力的にも負担が少ないでしょう。 - 介護施設
入居している利用者さんの健康管理を行います。
外来と同様に残業が少ない傾向にあり、ワークライフバランスを保ちやすい点が特徴です。介護施設の利用者さんとは長期にわたって関わることになるため、コミュニケーションを取ることが好きな人や信頼関係を作ることが得意な人に向いているでしょう。
- クリニック
勤務するクリニックの診療科によって業務内容は異なりますが、少人数のスタッフで仕事を行うため、アットホームな職場で働きたいと考えている場合は検討してみると良いでしょう。
看護師の仕事だけでなく、電話対応や清掃など他業務も実施しなければいけないこともあります。 - 検診センター
検診センターは、健康診断の採血や血圧測定などの検査業務が中心です。
1日に多くの人の検診を行うため、テキパキと仕事ができる人やルーティンワークが得意な人、採血に自信がある人などにおすすめです。
非常勤看護師が向いている人
非常勤看護師は、主に以下に当てはまる方が向いています。
- プライベートを充実させたい人
- 看護師としてブランクがある人
- キャリアアップの勉強に集中したい人
それぞれ見ていきましょう。
プライベートを充実させたい人
育児や介護などのプライベートと仕事を両立したい場合や、仕事よりもプライベートの時間を優先したいと考えている方に、非常勤看護師の働き方は向いています。
勤務日数や時間が少なく、残業もほとんどないため、常勤看護師と比べて自分の時間を作りやすいでしょう。
看護師としてブランクがある人
看護師としてブランクがある人であれば、少しずつ仕事に慣れていく方法として、非常勤看護師で復職する方法もおすすめです。
仕事内容で常勤看護師と大きな違いはないため、徐々に慣れるとともに、勤務日数や時間が短いことから、自分のペースで負担が少なく仕事を行えます。
仕事に慣れてきて、時間的な余裕も出てきた場合は、あらためて常勤看護師としての働き方を検討しても良いでしょう。
キャリアアップの勉強に集中したい人
転職など、キャリアアップとして資格やスキルアップの勉強をしている人にも、非常勤看護師の働き方は推奨できます。
難しい資格であればあるほど、勉強のためにまとまった時間が必要になり、仕事の時間が比較的長い常勤看護師では勉強時間が取りにくくなることもあるでしょう。
非常勤看護師であれば、収入を途絶えさせることなく勤務時間を抑えながら仕事ができるため、勉強に充てる時間を作りたい人に向いているといえます。
非常勤看護師の特徴を知って自分に合った働き方を選ぼう
非常勤看護師は、常勤看護師に比べてプライベートの時間を作りやすく、精神的にも安定した状態で働きやすいメリットがあります。
そのため、育児や介護、資格への勉強などに時間を充てたい方や、看護師としてブランクがあり復職したい方は、非常勤看護師としての働き方を検討するのもおすすめです。
一方、キャリアアップのしにくさや給料が安定しないなどのデメリットもあるため、現状のライフスタイルとめざす姿を踏まえて、自分に合った働き方を選んでいきましょう。