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看護師の役職とは?階級一覧や求められる能力を詳しく解説

看護師としてのキャリアを積んだ先には、看護主任や看護師長などのポジションが待っています。
では、看護師が役職に就くためには、どのようにキャリアアップを進めるべきでしょうか。
役職ごとの役割や、必要な能力も把握しておく必要があるでしょう。

本記事では、看護師の役職の役割や求められる能力、管理職に就くための条件などを詳しく解説します。
看護師としての今後のキャリアプランを考える際の一助としてください。

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看護師の役職一覧と序列

看護師の役職一覧と序列

看護師の役職には、以下のような種類があります。

  1. 看護主任
  2. 副看護師長
  3. 看護師長
  4. 看護副部長
  5. 看護部長

看護師にも、一般的な企業と同様の階級が存在します。
所属する病院により、設置されているポジションには違いがあり、主任や看護副部長などがいないケースや、別の役職名が設定されている場合もあります。

役職のランクを下の階級から並べると、1の看護主任から看護師長(副看護師長)、看護部長(副看護部長)という順序です。
看護主任から副看護師長や看護部長に上がるにつれて責任が重くなり、専門的な業務や病院運営にも携わりを深める傾向があります。

看護師の役職の役割と平均年収

看護師には、主に看護主任・看護師長・看護部長の3つの役職があるとお伝えしました。
では、それぞれの役職には、具体的にどのような役割があるのでしょうか。
それぞれの平均年収や手当の相場とともに、詳しく見ていきましょう。

【看護師の役職】①看護主任

看護主任は、役職のない看護師の上位に位置し、一般的な企業でいうところの係長のようなポジションです。
個人差はありますが、30歳前後で就任するケースが多いです。

看護主任の役割と平均年収を、以下でご紹介します。

病院内の看護主任の役割

看護主任は、主に以下のような業務を担当しています。

  • スタッフのシフト作成や管理
  • 看護業務の監督
  • 職場の危機管理・職場環境の改善
  • 看護師の指導や相談
  • 看護師長の補佐

看護主任は管理職のなかでも現場のナースとの距離が近く、多くの看護師の監督や指導を行いながら、自らも医療行為を行います。
ほかには、個々の看護師の管理やシフトの作成、現場の声を傾聴したうえでの職場状況の改善・危機管理を行うことも業務の一環です。

さらに看護主任の主要な任務は、看護師長のサポートです。
現場の看護師と看護師長との仲介や、業務をスムーズに進めるための看護師長らとの連携も重要となります。

看護主任の平均年収・手当の相場

看護主任の平均年収は約530万円です。

日本看護協会が発表した2012年のデータによると、看護主任の基本給は32万7,143円、中間管理職の賞与は平均124万5,754円となっています。
役職手当の相場は1万円前後が目安です。

看護主任の平均年収を計算すると、以下のようになります。

(基本給+役職手当×12ヵ月)+賞与=平均年収

(32万7,143円+1万円×12ヵ月)+124万5,754円=529万1,470円

看護主任になると、役職なしの時代より夜勤の頻度が減る傾向にあり、昇進して給与が下がるケースもあります。

【看護師の役職】➁看護師長(婦長)

一般企業において中間管理職の課長にあたるポジションが、看護師長です。
看護師長の平均年齢は40歳前後となっています。

看護部長と看護主任のパイプ役を担う看護師長の役割や、平均年収は次のとおりです。

病院内の看護師長の役割

病院内における看護師長は、看護主任と同様の業務をこなしつつ、以下の役割も担います。

  • 他部門の医療スタッフとの連携や病院運営への関与
  • 病棟内の業務の円滑化
  • 看護主任を含むスタッフの総合的なマネジメント
  • 入院の管理
  • スタッフと患者さんの間に起こる問題解決

看護師長に昇進すると、病院運営にも関わることになります。
また、部署のリーダーとして業務の円滑化を主導することも重要です。

看護師長はスタッフと患者さんの間のトラブル対応や、他部門の医療従事者との関わりが増加し、看護主任よりも業務の範囲と責任が拡大する傾向があります。

看護師長の平均年収・手当の相場

看護師長の平均年収は、約630万円が相場です。

日本看護協会のデータでは、看護師長の平均月収が37万949円で、手当の相場は約2〜5万円となっています。
上記に中間管理職の賞与の平均124万5,754円を加算して平均年収を求めると、以下の結果になりました。

(基本給+役職手当×12ヵ月)+賞与=平均年収

(37万949円+5万円×12ヵ月)+124万5,754円=629万7,142円

看護主任の約530万円と比較すると、100万円ほど多いことがわかります。

【看護師の役職】③看護部長

看護師部門の責任者で、一般企業の部長にあたるポジションが看護部長です。
看護部長は50歳を超えてから就任する人が多い傾向です。
各病院に一人だけ配置されるハードルの高い役職で、副院長と兼任するケースもあります。

看護部長の役割や年収を、次から解説します。

病院内の看護部長の役割

看護部長の主な業務は、次のような内容です。

  • 看護部門の業務計画の作成
  • 施設運営への参与
  • 看護師の教育や研修計画の作成
  • 看護師長への計画指示
  • 経営陣と看護師や他部門のスタッフとの調整役

看護部長が看護業務を行うことはほとんどなく、病院の経営側でのマネジメントが中心となります。
計画書や資料の作成、院内の会議への参画など、デスクワークが多い傾向です。

さらに、看護師と経営陣の橋渡しの役割を果たし、お互いの意見を取り入れながら関係の調整を行います。
これにより、安定した病院運営を実現することも、看護師長の重要な任務です。

看護部長の平均年収・手当の相場

看護部長の平均年収の相場は約730万円です。

看護部長の平均基本給は42万7,573円で、手当の相場は8万円です。
中間管理職の賞与平均124万5,754円をふまえて平均年収を計算すると、次のようになります。

(基本給+役職手当×12ヵ月)+賞与=平均年収

(42万7,573円+8万円×12ヵ月)+124万5,754円=7337万6,630円

看護師長の平均年収約630万円を、100万円程度上回る結果となりました。

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役職名別|管理職に就く看護師に求められる能力

役職名別|管理職に就く看護師に求められる能力

役職に就く看護師には、看護のスキル以外にも多くの能力が求められます。
管理職は医療スタッフや院外の関係者との関わりが多く、コミュニケーション能力は不可欠です。

また、それぞれの立場で院内のスタッフを引っ張るリーダーシップも求められるでしょう。
これら2つの能力に加え、どのようなスキルが必要とされるのかを、以下でご紹介します。

主任看護師に求められる能力

主任看護師になるためには、主に以下の能力が必要です。

  • 忍耐力
  • 広い視野
  • マネジメント能力

主任看護師の業務は、普段の看護業務から現場スタッフの管理、職場環境の把握・改善など多岐に渡ります。
現場で何らかの作業を行っているときでも、同時並行して主任としての任務をこなすこともあるでしょう。
そのため、精神的なタフさや、物事を多角的にとらえられる広い視野が必要です。

また、スタッフナースとの距離が近く、管理や指導をするケースも多いことから、マネジメント能力も求められるでしょう。

看護師長に求められる能力

看護師長に求められる能力には、次のような内容が挙げられます。

  • 問題解決力
  • 冷静で適切な判断力
  • 長所や適性を見いだす能力
  • 豊富な知識と経験

看護師長は、人間関係や職場環境などの問題を解決する役割を担っています。
トラブルが発生した際には、冷静に原因を分析し、瞬時に適切な判断を下すことが必要です。

スタッフ間の関係を良好に保ち、病院内の業務を円滑に進めるためには、職場環境を改善する必要があります。
また、各スタッフの適性や長所を見抜いて最適なポジションに配置し、個々の強みを引き出す能力も求められるでしょう。

これらの能力を発揮するためには、看護師としての豊富な知識や経験が不可欠です。
常にスキルを磨き続け、後輩たちから尊敬される看護師長をめざす姿勢が重要です。

看護部長に求められる能力

看護部長には、以下のようなスキルが求められます。

  • 高いマネジメント能力
  • 財務や会計の知識
  • 幅広い人脈と交渉力

前にも述べたとおり、看護部長は主にマネジメントが中心で、看護業務はほとんど行いません。
病院内の課題を分析し改善策を講じるほか、院内のスタッフ間の調整や交渉を行うなど、幅広い分野での管理能力が求められます。

看護部長は業務範囲が幅広く、他のスタッフに仕事を任せることも大切で、豊富な人脈や高度なマネジメント能力が不可欠です。
病院の運営にも深く関わることから、財務や会計の知識も欠かせません。

このように、看護部長は高度な看護師のスキルに加えて、多岐にわたる業務を行います。
病院内の看護師全体を統括する筋の通った信念と、さらなる知識の習得に対する向上心が必須といえるでしょう。

看護師が役職に就くための条件・資格

看護師がそれぞれの役職に就く際に必要とされる条件や資格に関して、以下でご紹介します。

経験年数の目安

看護主任になるためには、通常は看護師としての経験が10年以上必要です。
ただし、規模の小さな施設の場合には、10年未満で昇格する場合もあります。

看護師長には、看護主任を経験してから昇格するケースがほとんどです。
看護主任の実績に加えて、臨床経験が10年〜20年ほど必要とされることがあります。

看護部長へ昇進する場合、看護師長を5年~10年以上経験しておくことが不可欠です。
さらに、25年以上の臨床経験を積んでおく必要があります。

保有しておくべき資格

看護師の管理職になる際、病院によっては認定看護管理者の資格が必要なケースもあるため、取得しておくと良いでしょう。
認定看護管理者の資格を取得する場合には、以下の条件を満たしておく必要があります。

  • 看護師の実務経験が通算5年以上ある
  • 管理職経験3年以上
  • 認定看護管理者教育課程180時間を修了している
  • 看護管理に関連する領域の修士以上の学位を取得している

認定審査は、毎年1回実施されています。
なお、この資格には有効期限があり、5年経過すると更新が必要です。

看護師の役職に関するよくある質問

ここからは、看護師の役職に関する2つの質問にお答えしていきます。

看護師が役職に就くメリットは?

看護師が管理職に就くと、以下のメリットがあります。

  • 夜勤が減少する
  • 収入がアップする
  • 社会的な評価が向上する

看護師が役職に昇進すると、夜勤の頻度が減って規則正しいシフトで勤務できるため、身体への負担が軽減されます。

管理職になった場合、基本給だけでなく賞与も増加する傾向です。
役職手当が加算されることが多く、役職なしの看護師時代より収入アップが見込めます。
また、すべてのナースが看護主任や看護師長、看護部長になれるわけではないため、管理職の肩書きにより社会的な信用を得やすいといえるでしょう。

役職なしの看護師を続けるメリットは?

役職なしの看護師を続けるメリットには、以下の内容が挙げられます。

  • 人間関係で板挟みになることが少ない
  • 比較的ストレスレベルが軽い
  • 医療現場での業務に専念できる

看護師が役職に就くと、院内外の関係者の調整役を担うため、板挟みになる可能性があります。
管理職の責任が重くのしかかり、スタッフナース時代より強くストレスを感じるかもしれません。

また、役職なしのスタッフで、患者さんの近くで看護業務に専念できる場合は、管理職ほどのプレッシャーを感じにくくやりがいも感じやすいでしょう。

看護師が役職をめざすなら着実なステップアップを

看護師には、主に看護主任・看護師長・看護部長の役職があります。
上記のポジションは、病棟や部署内の多くのナースを統括し、病院の運営や医療サービスを円滑に進めるうえで不可欠です。

看護師が管理職に就くと、夜勤の減少や給与のアップなど多くのメリットがあります。
一方で、ステップアップには豊富な臨床経験や看護師経験が求められ、また管理職のポジションは限られているため、容易な道ではありません。

役職をめざす場合には、医療現場で確かなステップアップを図りながら、必要であれば資格も取得するなど、着実にキャリアアップしていきましょう。

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執筆者について

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