
認定薬剤師の資格を維持するためには、定期的な更新が必要不可欠です。
しかし、忙しい日々のなかで更新に必要な単位取得を忘れてしまうこともあるでしょう。
本記事では、認定薬剤師の更新要件や、単位取得を忘れた場合の対処法について詳しく解説します。
また、やむを得ない理由がある場合の特例措置についても触れています。
認定薬剤師の方々にとって、資格維持の重要性を再確認する機会となれば幸いです。
目次
認定薬剤師更新には毎年5単位以上の取得が必要
認定薬剤師制度は、薬剤師の継続的な学習と専門性の向上が目的です。
日本にはさまざまな認定団体が存在し、それぞれが独自の認定制度を設けており、更新条件を定めています。
ここでは、日本薬剤師研修センターが認定している「研修認定薬剤師」を例に挙げて説明していきます。
他の認定薬剤師制度もほぼ同様の仕組みを採用していますので、参考になるでしょう。
それでは、研修認定薬剤師の更新要件について詳しく見ていきましょう。
研修認定薬剤師の更新要件
研修認定薬剤師の資格を維持するためには、以下の更新要件を満たす必要があります。
まず、認定開始日から1年ごとに5単位以上を取得することが求められます。
さらに、3年間の認定期間中に合計30単位以上を取得しなければなりません。
これにより、継続的な学習と研鑽が促されているのです。
ただし、単位の取得方法には一部制限があります。
自己研修、学術集会等での発表、学術雑誌への論文掲載による取得単位は、算入できる単位数に上限が設けられています。
また、他のプロバイダー(薬剤師認定制度実施機関)が発行する単位については、15単位まで算入可能です。
これらの制限は、バランスの取れた学習を促すためのものです。
研修認定薬剤師の更新対象になる研修会
研修認定薬剤師の更新に必要な単位を取得するためには、認定された研修会に参加する必要があります。
更新対象となる研修会は、新規申請の場合と同じです。
以下の表に、対象となる研修会と取得可能な単位数をまとめました。
研修会の種類 | 取得可能な単位数 |
---|---|
集合研修 | 講義90分1単位、1日4単位まで。年間の単位数制限なし。 |
学術集会 | 参加1日につき最大4単位(午前の場合2単位、午後の場合2単位)まで。1学術集会9単位まで。 |
e-ラーニング研修 | 1講座1単位とする。(令和7年4月1日改正「受講日1日につき最大4単位まで」追加) |
ウエブ利用研修(集合研修即時配信) | 講義90分1単位、1日4単位まで。年間の単位数制限なし。 |
ウエブ利用研修(集合研修アーカイブ配信) | 1日4単位まで、年間の単位制限なし。 |
ウエブ利用研修(学術集会) | 参加1日につき最大4単位(午前の場合2単位、午後の場合2単位)まで。1学術集会9単位まで。 |
自己研修 | 自己研修等報告書を提出し、自己研修等審査の結果、合格と判断されると単位発行。 1報告書1単位とし、年間5単位まで。ただし、類似の内容の報告書はまとめて1単位とする。学習会の場合も、自己研修等報告書は各自が提出する。 |
学術集会等発表 | 自己研修等報告書を提出し、自己研修等審査の結果、合格と判断されると単位発行。1報告書1単位とし、年間3単位まで。ただし類似の内容の報告書はまとめて1単位とする。 |
学術雑誌論文掲載 | 自己研修等報告書を提出し、自己研修等審査の結果、合格とされれば単位発行。1報告1単位で、年間3単位まで。 |
これらの研修会に参加することで、最新の医療情報や薬学知識を習得できます。
また、他の薬剤師との情報交換の場としても有効活用できるでしょう。
研修会参加のほか、自己研修や学術集会での発表、論文掲載なども単位取得の対象となります。
ただし、これらの方法で取得できる単位数には上限があるので注意が必要です。
研修認定薬剤師の更新方法
研修認定薬剤師の更新手続きは、以下の流れで行います。
まず、認定期限の2ヵ月前になると、薬剤師研修・認定電子システム(PECS)から自動的に更新のお知らせメールが配信されます。
このメールを受け取ったら、速やかに更新の準備を始めましょう。
更新申請はPECSを通じて、オンラインで必要事項を入力します。
申請にあたっては、審査料として税込11,000円が必要です。
更新申請の際は、入力ミスや必要書類の不備がないよう十分に注意しましょう。
万が一、不備があった場合は更新が認められない可能性があります。
申請内容を十分に確認してから送信してください。
認定薬剤師が5単位の取得を忘れた場合どうなる?
認定薬剤師の資格維持には、毎年の単位取得が欠かせません。
しかし、業務の忙しさや個人的な事情により、単位取得を忘れてしまうこともあるかもしれません。
では、実際に5単位の取得を忘れてしまった場合、どのような影響があるのでしょうか。
また、やむを得ない理由がある場合の特例措置はあるのでしょうか。
以下で詳しく説明していきます。
認定薬剤師の更新はできない
残念ながら、更新要件を満たすことができなかった場合、認定薬剤師の更新はできません。
更新認定申請を行って不許可になった場合も同様です。
更新できなかった場合、認定薬剤師の新規申請は認定期限が切れてから3ヵ月以降でなければ行えません。
この新規申請は、文字どおり「新規」の扱いとなるため、それまでの更新回数は引き継がれません。
つまり、長年維持してきた認定歴がリセットされてしまうのです。
更新認定申請を行ったにも関わらず不許可になる理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 研修受講シールの未貼付
- 必要事項の記載漏れ
- 認定期間外の単位が含まれている
これらの理由で更新が認められないケースが多いため、申請の際は細心の注意を払いましょう。
やむを得ない理由の場合は認定期間の延長ができるかもしれない
しかし、すべての場合において更新が不可能というわけではありません。
やむを得ない事情により研修単位の取得が困難になった場合、届出を提出することで研修単位の取得条件が一部緩和されることがあります。
具体的には、妊娠・育児、疾病、災害などの理由が該当します。
ただし、この特例措置は自動的に適用されるわけではありません。
適切な手続きを踏む必要があるため、次のセクションで詳しく説明していきます。
認定薬剤師がやむを得ない理由で5単位の取得ができない場合の対処法
やむを得ない理由で5単位の取得が困難になった場合、以下の手順で対処できます。
まず、「やむをえない事情により研修が困難になったことに関する届出」を提出する必要があります。
この届出は、認定期間の終了日の2ヵ月前までに行わなければなりません。
期限を過ぎてしまうと、届出自体が受け付けられなくなってしまうので注意が必要です。
届出には、やむを得ない事情の詳細や、その期間、影響の程度などを記載するほか、証明書類の添付が求められる場合もあります。
提出された届出は審査にかけられ、その結果によって措置が決定されます。
ただし、審査の結果、措置が認められない場合もあることを念頭に置いておきましょう。
認められた場合、認定期間の延長や単位取得要件の緩和などの措置が取られます。
これにより、一時的に研修が困難になった状況を乗り越え、認定薬剤師の資格を維持する機会が得られます。
認定薬剤師は毎年忘れず5単位以上取得して更新しよう
認定薬剤師の資格維持には、継続的な学習と定期的な更新が欠かせません。
毎年5単位以上、3年間で30単位以上の取得が必要となりますが、決して難しい目標ではありません。
計画的に研修会に参加し、自己研鑽に励むことで、十分に達成可能です。
更新の際は、PECSを通じて手続きを行います。
申請時には、入力ミスや書類の不備がないよう十分注意しましょう。
やむを得ない理由で単位取得が困難になった場合は、早めに届出を提出することで対応の余地があります。
認定薬剤師の資格は、自身の専門性を証明するだけでなく、患者さんへのより良い医療サービス提供にもつながります。
定期的な更新を忘れず、常に最新の知識と技能を維持することで、薬剤師としての価値を高めていきましょう。