総合トップ 情報かる・ける職種・資格について薬剤師認定薬剤師はどのような資格?研修認定薬剤師になるための条件と研修内容を解説
情報 かる・ける

認定薬剤師はどのような資格?研修認定薬剤師になるための条件と研修内容を解説

この記事の監修者
桜会ふみ子
【資格】
薬剤師

【プロフィール】
薬局を営む家庭に育ち1990年薬剤師資格取得。以降、医薬品メーカーで市販薬の製造・品質管理にたずさわる。2020年から薬剤師ライターに転身。福山大学出身。

薬剤師として働くなかで、より専門的な知識やスキルを身につけ他の薬剤師と差別化したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが、研修認定薬剤師の資格です。

研修認定薬剤師は、継続的な学習と研鑽を重ねている、高度な薬学的知識と技能を持つ薬剤師であることを示す制度です。
この資格を取得すれば、医療現場での信頼性が高まり、キャリアアップにもつながります。

本記事では、研修認定薬剤師になるための条件や研修内容について詳しく解説します。
資格取得をめざす方はもちろん、薬剤師としてのスキルアップを考えている方にも参考になる情報です。

薬剤師の求人を探す

研修認定薬剤師の新規認定に必要な条件は?

研修認定薬剤師の新規認定に必要な条件は?

研修認定薬剤師の資格を取得するには、いくつかの条件を満たさなければなりません。
ここでは、新規認定に必要な主な条件について、順を追って説明していきます。

まずはシステムへの個人登録から始まり、規定の研修受講、認定申請という流れになります。
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

PECSへの個人登録

研修認定薬剤師の資格取得をめざすうえで、最初必要なステップがPECSへの個人登録です。
PECSとは、薬剤師研修・認定電子システムの略称で、このシステムに登録しておかなければ研修を受講したと認められません。

登録の際は、生年月日、薬剤師名簿登録番号、登録年月日などの情報を入力します。
これらの情報はあとから修正できません。間違いのないように注意して、正確に入力しましょう。

PECSに登録していないと、たとえ研修を受講したとしても、正式な受講として認められません。
そのため、研修認定薬剤師をめざす方は、必ず最初に登録を済ませておく必要があります。

研修を受ける

PECSへの登録が完了したら、次は実際に研修を受講する段階に進みます。
研修認定薬剤師の資格取得には、一定数の単位の取得が必要です。

具体的には、認定申請日からさかのぼって4年以内に40単位以上を取得する必要があります。
研修の量は決して少なくありませんが、計画的に研修を受講することで達成可能な目標です。

研修の種類は多岐にわたり、後述する集合研修やe-ラーニング研修など、さまざまな形式があります。
自分のスケジュールや学習スタイルに合わせて、効率的に単位を取得していきましょう。

認定申請

必要な単位を取得したら、認定を申請します。
認定申請はPECSを通じて行うシステムです。
システム上で必要事項を入力し、取得した単位の情報を確認しながら申請を進めます。

申請の際は、すべての要件を満たしているかどうかを慎重に確認しましょう。
要件を満たしていることが認められれば、晴れて研修認定薬剤師として認められ、認定証が交付されます。

ただし、ここで終わりではありません。
資格は3年ごとに更新が必要です。
研修認定薬剤師は、継続的な学習と研鑽を重ね、常に最新の知識とスキルを維持することが求められます。

研修認定薬剤師の単位の対象となる研修認定の概要は?

研修認定薬剤師の資格取得には、さまざまな形式の研修を通じて単位を取得しなければなりません。
ここでは、単位の対象となる主な研修の種類とその概要について、詳しく解説していきます。

それぞれの研修には特徴があり、取得できる単位数や制限なども異なります。
自分に合った研修方法を選びながら、効率的に単位を積み重ねていきましょう。

集合研修

集合研修は、従来から行われている最も基本的な研修形式です。
参加者が一つの会場に集まり、講師の指導のもとで学習を進めます。
座学だけでなく実習も組み合わせて、より実践的な知識やスキルを身につけることができます。

また、最近では他の会場との生中継を行うことも可能になっており、より多くの参加者が同時に学べます。
集合研修で付与される単位は90分で1単位です。
ただし、時間の端数は切り捨てられます。

1日あたりの単位数は最大4単位までですが、年間の単位数に制限はありません。
そのため、集中的に受講すれば短期間で多くの単位を取得することも可能です。

学術集会

学術集会は、特定の学術的テーマに基づいて行われる研修です。
講演や研究成果の発表、参加者同士の討論などで、最新の学術情報を得ます。

通常学術集会は、会場を定めて実施されます。参加者には要旨集を配布されることが望ましいとされ、この要旨集は、復習にも役立つ資料です。

学術集会への参加で取得できる単位には、上限があります。
1日の参加につき最大4単位まで、午前と午後にそれぞれ2単位ずつ。また、一つの学術集会で取得できる単位数は最大9単位までです。

e-ラーニング研修

e-ラーニング研修は、インターネットを通じて受講できる便利な研修形式です。
録画された音声や画像を視聴するので、時間や場所の制約を受けずに学習を進められます。

e-ラーニング研修は主に講義形式です。テキストが用意されていることが望ましいとされ、開始時刻と終了時刻を記録します。

e-ラーニング研修は、1講座90分で1単位です。
1日あたりの取得単位数は最大4単位までですが、年間の単位数に制限はありません。
ただし、同じ講座を受講しても、で単位にはなりませんので注意が必要です。

ウエブ利用研修(集合研修即時配信)

ウエブ利用研修(集合研修即時配信)では、集合研修の内容をリアルタイムでインターネット配信します。
生配信される音声や画像を視聴することで、会場ではない場所でも研修に参加可能です。

この研修形式では、単なる見学は含まれません。座学と実習を組み合わせた内容が提供され、講義形式で行われます。テキストが用意されていることが望ましいとされます。

e-ラーニング研修と同様に開始時刻と終了時刻の記録が必要です。
単位の計算方法もe-ラーニング研修と同じです。1講座90分で1単位、1日あたり最大4単位まで取得できます
ウエブ利用研修では、年間の単位数に上限の制限はありません。

ウエブ利用研修(学術集会)

ウエブ利用研修(学術集会)は、実際に開催されている学術集会の映像や音声をインターネット経由で受講する形式です。
会場に足を運ばずとも、最新の学術情報に触れることができます。

ただし、この研修形式ではすべての内容を録画で視聴することは認められていません。
またリアルタイムでの参加が原則となるため、申請時にその旨を記載する必要があります。

受講記録は、他のウエブ利用研修と同様に開始時刻と終了時刻が必要です。
単位は1日あたり最大4単位まで。1学術集会につき9単位まで取得可能です。

自己研修

自己研修は、教材を使用して個人または複数人で行う学習会形式の研修です。
この形式では、参加者同士で議論を交わしながら理解を深めます。

使用する教材には、薬学、薬事、薬剤師業務に関する書籍、DVDまたは学会誌などが含まれます。
ただし、他の研修形式で使用されるテキストや要旨集は含まれません。

自己研修を行ったあとは、報告書を提出しますが、報告書には使用した教材の名称とその発行者の記載が必要です。
単位の計算は1報告書につき1単位で、年間で最大5単位まで取得できます。

仲間と一緒に学び合うと、モチベーション維持にも効果的です。
定期的に自己研修の機会を設けていれば、着実に単位を積み重ねていくことができるでしょう。

学術集会等発表

学術集会等発表は、自らが研究成果を発表し単位を取得する形式です。
公益財団法人日本薬剤師研修センターが指定した学術大会での発表者、または30分以上の集合研修の講師を務めることが条件となります。

単位を取得するには、発表や講師を務めたあとに、証明書類を添付した報告書の発行が必要です。
単位の計算は1報告書につき1単位で、年間で最大3単位まで取得できます。

学術集会等発表は、自身の研究や知識を他者に伝える貴重な機会です。
ただし、学術集会等発表には年間の単位数に制限があります。他の研修形式と組み合わせて計画的に単位を取得しましょう。

学術雑誌論文掲載

学術雑誌論文掲載は、自身の研究成果を論文として発表した際に単位を取得できる形式です。
公益財団法人日本薬剤師研修センターが指定した学会誌に、筆頭執筆者として論文を掲載することが条件となります。

論文掲載後は、証明書を添付した報告書の提出が必要です。
単位の計算は1報告書につき1単位で、年間最大3単位まで取得できます。

年間の単位数に制限があるため、他の研修形式と併用しながら計画的に単位を積み重ねていくことが大切です。

薬剤師認定制度実施機関が発行する単位の利用

研修認定薬剤師の資格取得の際には、他の認定制度で取得した単位を活用することも可能です。
具体的には、薬剤師認定制度認証機構により認証された認定制度で交付された単位を、必要な単位数の半分まで算入することが認められています。
例えば、40単位が必要な場合、最大20単位まで他の認定制度の単位を使用できます。

この仕組みは、すでに他の認定資格を持っている薬剤師にとって非常に有利でしょう。
これまでの学習成果を無駄にすることなく、効率的に研修認定薬剤師の資格取得をめざすことができます。
ただし半分は研修認定薬剤師制度の枠組みのなかで単位を取得する必要があります。

薬剤師の求人を探す

研修認定薬剤師の更新は3年ごと

研修認定薬剤師は、3年ごとに更新が必要な資格です。薬剤師が常に最新の知識とスキルを維持するために継続的な学習と研鑽が求められます。

医療の進歩は日々めざましく、新しい薬剤や治療法が次々と登場します。
そのような環境のなかで、患者さんに最適な薬物療法を提供し続けるためには、継続的な学習が欠かせません。

具体的には、1年ごとに5単位以上、3年間で合計30単位以上を取得する必要があります。
これらの単位は、資格を新規取得する際と同様にさまざまな研修形式で取得できます。

更新時期が近づいたら、PECSを通じて更新の申請を行います。
申請の際は、取得した単位数や研修内容を正確に報告してください。
要件を満たしていると認められれば、研修認定薬剤師としてさらに3年間認定されます。

認定薬剤師を取得して差別化をはかろう

研修認定薬剤師の資格は、薬剤師としてのキャリアアップの最初のステップともいえる認定制度です。

資格取得のプロセスは、PECSへの個人登録から始まり、さまざまな形式の研修を通じて必要な単位を取得し、最終的に認定申請を行うという流れです。
集合研修、e-ラーニング、学術集会への参加など、多様な学習機会が用意されているため、自分のペースやスタイルに合わせて、効率的に単位を積み重ねられます。

さらに、3年ごとに更新すれば、常に最新の知識とスキルを維持できます。ぜひ、この資格取得にチャレンジし、薬剤師としての価値を高めていきましょう。

薬剤師の求人を探す

執筆者について

情報かる・けるは、医療・介護従事者として働いている方や、これから目指す方の「知りたい」に応えるメディア。 全国80,000件以上の求人を扱う弊社スタッフが、編集部として情報発信! “いい仕事が見つかる・いい仕事を見つける”ための、有益なコンテンツをお届けします。 https://x.com/karu_keru

いいねと思ったらシェア
見つかる・見つける かる・けるとは?

かる・けるは、医療介護の仕事を探せる求人情報サイト。あなたに合った医療介護求人が見つかります。すべてのお仕事情報は、勤務地、年収や月収などの給与、正社員、契約社員、パート・アルバイト、業務委託などの雇用形態、施設のサービス形態といった条件で検索でき、希望に合う求人を簡単に探しやすいのが魅力です。就きたいお仕事が見つかったら、そのまま応募も可能。応募はダイレクトに求人掲載事業者に届くので、スピーディかつスムーズに進みます。医療介護分野での就職はもちろん、転職、復職の際にも活躍するサイトです。