
薬系大学で専門課程を修了したうえで、薬剤師国家試験に合格しなければなりません。
受験資格を得るまでに少なくとも6年の期間を要するうえに、国家試験の難易度もやさしいものではなく、資格取得までには多くの努力が必要です。
合格に向けて自分に合った勉強方法を見つけ、学習スケジュールを立てておくことで、モチベーションを保ちながら実力をつけていきましょう。
本記事では、薬剤師の国家試験合格のために必要な勉強時間と試験の難易度、効率的な勉強方法などを解説します。
目次
薬剤師の国家試験合格に必要な勉強時間
薬剤師の国家試験合格に必要な勉強量は、人それぞれ異なります。大事なのは勉強時間数ではなく、合格に必要な実力(知識)を身につけることです。
薬剤師の国家試験合格に必要な勉強時間(量)
薬剤師の国家試験の受験要件は、6年制薬学課程の修了です。
試験の出題範囲は幅広く、人によって学習の進め方も異なるため、必要な勉強時間は一概に何時間とはいえません。
薬剤師国家試験では、過去の試験から類似問題が出題されるケースがあります。
合格に近付くために、数年分の過去問を繰り返し解くとなれば、相応の時間をかけなければなりません。
できれば過去7年分を解くのが望ましいですが、これらの問題を解くだけでなく、苦手な問題を克服するとなるとかなりの時間をかける必要があることが予想できます。
自分に合った勉強時間や学習方法でコツコツと合格に必要な実力(知識)を身につけていきましょう。
薬剤師の国家試験合格に必要な1日の平均勉強時間
試験を目前に控えた6年生の10~12月頃は、1日平均して6~9時間ほど勉強する人もいます。
ただし、12月には薬学部の卒業試験もあり、学業と私生活の兼ね合いでなかなか6時間以上の勉強時間を取れない人も少なくありません。
必ずしも6~9時間の勉強が必須なわけではないため、無理は禁物です。
国家試験前は忙しくなることが想定されるため、早い時期から計画的に勉強を始めると良いでしょう。
薬剤師の国家試験の難易度
薬剤師国家試験の難易度を知る一つの指標に、合格率があります。
2020~2024年の合格率は、以下のとおりです。
試験回次 | 合計合格率(%) | 既卒合格率(%) |
105回(2020年) | 69.58 | 42.67 |
106回(2021年) | 68.66 | 41.29 |
107回(2022年) | 68.02 | 40.75 |
108回(2023年) | 69.00 | 44.05 |
109回(2024年) | 68.43 | 42.42 |
出典:試験回次別合格者数の推移
受験生全体の合格率は例年70%程度で推移しており、努力次第で十分に合格をめざせる難易度といえます。
2024年の受験者総数は13,585人、そのうち合格したのは9,296人でした。
ただし、薬剤師国家試験の合格点数には相対基準が適用されており、何点以上で合格となるのか受験時点ではわかりません。
3月の合格発表まで手応えを感じにくいという意味で、難しい試験ともとらえられるのでしょう。
また、薬剤師国家試験は単純な暗記問題だけでなく、複数科目の内容を組み合わせた出題もされるのが特徴です。
身につけた知識を応用する力も求められることから、試験が難しいと感じる人もいます。
薬剤師の国家試験に合格するために
薬剤師国家試験に合格するには、適切な勉強方法で効率的に学習を進めることが重要です。
また、薬学部現役生と国家試験浪人生では、学習スケジュールが変わってくるため、試験直前に焦ることがないよう計画性も意識しましょう。
薬剤師の国家試験の勉強方法
薬剤師国家試験の勉強を効率的に進めるポイントは、以下4つです。
- 参考書は辞書のように使う
- わからないところを理解して覚える
- 復習を徹底する
- 自作ノートやSNSを活用して隙間時間を最大限に活用する
順に詳しく解説します。
参考書は辞書のように使う
参考書は、過去問を解くなかでわからないことがあったとき、必要な情報を調べるための辞書のように使いましょう。
新しい参考書を購入した場合、まず一通りざっと読んでみて、全体の流れをつかみます。
最初から一つひとつの情報をすべて理解する必要はありません。
参考書の内容が大まかに頭に入ったら、過去問を解いてみてください。
過去問でわからない問題があれば、参考書で調べて関連知識とともに学習し、再び過去問に取り組むという使い方がおすすめです。
わからないところを理解して覚える
過去問を解くなかで回答を間違えるのは、決して悪いことではなく、むしろ自分の苦手な問題に気付ける良いチャンスです。
参考書を活用したり、先生や友人に確認したりして正しい知識を定着させましょう。
間違えたこと、苦手なポイントなどをその場で付箋などにメモし、部屋の目につく場所や学習ノートに貼っておくのも効果的です。
復習を徹底する
過去問を繰り返し解いて、徹底的に復習しましょう。
間違えた問題は二度と間違えないように、きちんと理解できるまで復習します。
もし二度目も間違えてしまう問題があったら、解説や参考書をじっくりと読んで、集中的に対策してみてください。
過去問は、悩みながら時間をかけて解くのではなく「回答に迷った時点で理解が十分ではない」と考え、スピーディに解き進めるようにしましょう。
自分が理解できていること、わかっていないことを明らかにしたうえで復習を繰り返し、記憶を定着させていきます。
自作ノートやSNSを活用して隙間時間を最大限に活用する
通学時間や休み時間などの隙間時間も、試験勉強に有効活用しましょう。
苦手な問題を自分でまとめた自作ノートや暗記カードなどは、手軽に見返しやすく、反復学習によって知識を定着させやすくなります。
また、薬剤師国家試験の合格者のなかには、自分なりの勉強方法をSNSで公開したり、過去問の解説をブログにまとめたりしている人も少なくありません。
出先にいても、スマートフォンなどで簡単に閲覧できるのがメリットですが、あくまでも個人の経験や知識に基づいた情報となるため、参考程度に留めておきましょう。
薬剤師国家試験勉強の年間スケジュール
薬剤師国家試験は、毎年2月に行われます。
6年生の4月から本格的に勉強時間を確保する場合、試験日を見据えた計画的な学習スケジュールを立てましょう。
薬学部現役生と国家試験浪人生、それぞれの年間学習スケジュール例を紹介します。
薬学部現役生
薬学部に通う現役生の場合、6年生の4月から国家試験が行われる2月までの学習スケジュール例は、以下のとおりです。
- 4~6月:基礎科目の学習開始、過去問演習(必須問題メイン)
- 7~9月:模擬受験、専門科目の学習開始、過去問演習(理論問題メイン)
- 10~12月:過去問演習強化(実践問題)、弱点克服
- 1~2月:模試受験、過去問演習、直前対策
6年制の4月から試験対策を始めても、実際には卒論発表や就活、卒業試験などで慌ただしく、思ったように勉強時間を確保できない可能性もあります。
いつまでに何を学んでおくべきかを整理し、計画に沿って効率的に学習を進めましょう。
薬剤師国家試験浪人生
薬剤師国家試験の浪人生の場合、受験日までの年間学習スケジュールは、以下のようになります。
- 4~6月:基礎科目と専門科目の復習、過去問演習(必須問題メイン)
- 7~9月:模試受験、過去問演習(理論問題・実践問題)
- 10~12月:過去問演習強化、弱点克服
- 1~2月:模擬受験、過去問演習、直前対策
浪人生は、すでに過去問を繰り返し解き、一定の知識を身につけていることから、現役生と比べると4月からしっかりと試験対策ができます。
より早い段階から実践問題にも手をつけ、苦手な問題を着実に克服していきましょう。
勉強時間を確保して薬剤師国家試験に合格しよう
薬剤師国家試験では、幅広い知識と応用力が求められることから、しっかりと勉強時間を確保して、実力をつけていかなければなりません。
講義や参考書でインプットした知識は、過去問を繰り返し解いたり、自作のノートにまとめたりしてアウトプットすることが大切です。
実際の試験には時間制限があるため、過去問はだらだらと取り組むのではく、スピーディに解いて復習の回数を増やしましょう。
2月の薬剤師国家試験当日に向けて、まずは自分にとって無理のない学習スケジュールを立ててみてください。
隙間時間も上手に活用しながら効率的に学習を進め、薬剤師国家試験合格をめざしましょう。