
薬剤師をめざしているけれど、仕事に関わる勤務時間が気になる人もいるでしょう。
医療系の仕事は、時間が長くてハードなイメージがあるかもしれません。
では、薬剤師はそれに当てはまるのでしょうか。
今回は、薬剤師の勤務時間について、職場や勤務体系による違いなどを紹介します。
残業時間や休日事情も詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
職場別|薬剤師の勤務時間
薬剤師の労働時間には、他の労働者と同じく法定労働時間が定められています。
原則として、労働者は1週間に40時間、1日に8時間を超えて労働してはなりません。
では、薬剤師は法定労働時間内でどのように勤務しているのでしょうか。
職場別に詳しく見ていきましょう。
調剤薬局で働く薬剤師の勤務時間
まずは、調剤薬局に勤務する薬剤師の勤務時間を見ていきます。
多くの調剤薬局は、近隣の病院やクリニックの診察日と診察時間に合わせて、平日の日中を中心に営業しています。
そのため、薬剤師の勤務時間も9時頃から18時頃までが一般的です。
ただし、病院の営業時間よりも長く、20時くらいまで開局している場合もあります。
また、夜間対応している病院の近くの場合、夕方以降にも営業する調剤薬局もあります。
医療機関が混雑している時期には、残業が発生することもあるでしょう。
調剤薬局勤務でも、夜間・休日、在宅医療に対応するかかりつけ薬剤師の場合は、24時間体制で業務にあたらなければならないケースもあります。
病院で働く薬剤師の勤務時間
次に、病院に勤務する薬剤師の勤務時間を見ていきましょう。
外来診療のみの病院の場合、薬剤師の勤務時間は病院の診察時間に合わせて設定されます。
そのため、平日の9時頃から18時頃までの勤務が一般的です。
夜間対応や入院施設のある病院で働く場合は、24時間体制で対応するため、夜間の勤務も発生します。
勤務体制も固定制ではなく、二交代制や三交代制などのシフト制をとるところが多い傾向です。
しかし、働き方の多様化により、夜勤のないパートや、夜勤のみのアルバイトで働く薬剤師もおり、勤務時間の選択肢は増えています。
病院で働く薬剤師の残業は、診療の混雑具合や配置される職員の人数によっても異なります。
ドラッグストアで働く薬剤師の勤務時間
続いて、ドラッグストアに勤務する薬剤師の勤務時間を見ていきます。
ドラッグストアは調剤薬局に比べて営業時間が長いところが多いです。
21時頃まで営業する店舗や、なかには24時間営業の店舗もあります。
薬剤師は調剤薬局に常駐している必要があるため、夕方や夜の早い時間帯に窓口が閉まる調剤薬局の専任担当でない限り、早番や遅番で交代して勤務する可能性があります。
ドラッグストアのスタッフとしてレジや品出し、接客する場合は、残業が発生することもあるでしょう。
ただし、ドラッグストアに併設されている調剤薬局を専任で担当する場合は、9時頃から19時頃までの勤務が多い傾向です。
薬剤師の勤務時間は、勤務先のドラッグストアや担当によって大きく異なるといえるでしょう。
企業で働く薬剤師の勤務時間
最後に、企業に勤務する薬剤師の勤務時間を紹介します。
企業では、基本的に他の社員と同じ勤務時間帯で働きます。
ただし、薬剤管理、MR(医薬情報担当者)、研究職など、仕事内容によっては勤務時間や残業時間が異なるでしょう。
例えば、製薬会社の薬剤師がMRの仕事をする場合、勤務時間は9時頃から18時頃が原則ですが、営業職のため残業が発生する可能性があります。
一方で、医薬品の開発などの研究職の場合、フレックス制を導入しているケースもあります。
病院やドラッグストアとは違い、企業勤務の場合には夜勤はほとんどないでしょう。
薬剤師の勤務体系の種類
ここからは薬剤師の勤務体系の種類として、以下の4つを紹介します。
- 固定制
- シフト制
- 変形労働時間制
- フレックス制
固定制
固定制とは、勤務する曜日と時間帯が決まっている働き方です。
例えば、平日9時から17時30分に勤務し、土日が休みという勤務体制などは固定制です。
法定労働時間を超過して働いた場合は時間外労働として、休日に働いた場合は休日労働として扱われるため、残業代が発生します。
固定制は調剤薬局や企業に多い勤務体系です。
シフト制
シフト制は勤務時間や休日が決まっていない働き方で、二交代制や三交代制などが含まれます。
早番や遅番と呼ばれるシステムがあるのもシフト制です。
例えば、8時から17時の早番と、12時から21時の遅番などが混在している勤務体系はシフト制です。
シフト制でも法定労働時間を超過した場合には、時間外労働として残業代が発生します。
シフト制はドラッグストアや病院勤務に多い勤務体系です。
変形労働時間制
変形労働時間制とは、繁忙期や閑散期など、時期によって労働時間を変える勤務体系です。
変形労働時間制には1ヵ月単位、1年単位、1週間単位などがあり、その枠内で働く時間を定めて勤務時間を調整できます。
1週間単位の変形労働時間制の場合は、法定労働時間の範囲内で働くように調整しなければなりません。
1ヵ月単位と1年単位の場合は、期間終了時に週あたり40時間を超える分が時間外労働になります。
変形労働時間制は、時期によって業務量が異なる勤務先で使われることが多い勤務体系です。
フレックス制
フレックス制とは、労働者が始業や終業時間を決める働き方です。
特定のコアタイムや総労働時間をあらかじめ定め、その枠内で働きますが、期間終了時に週あたり40時間を超える勤務分は法定時間外労働になります。
フレックス制は、自由な時間に働いても業務に支障がない研究職などで採用されやすい傾向です。
総労働時間さえ守れば、ライフワークバランスを大切にできるのが魅力でしょう。
薬剤師の平均残業時間
厚生労働省の2019年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の1ヵ月の超過実労働時間数は平均11時間という結果でした。
医師は15時間と多いですが、歯科医師は2時間、看護師は7時間という結果のため、薬剤師の残業は医療系のなかでも多いほうといえるでしょう。
また、所定内実労働時間数は平均160時間であるため、薬剤師の1ヵ月の勤務時間数は合計で171時間程度となります。
薬剤師の残業時間は勤務先や業種によっても大きく異なるため、平均残業時間が11時間であることは一つの目安として覚えておくと良いでしょう。
薬剤師の休日事情
薬剤師の休日事情は、勤務先や勤務体系によって大きく異なります。
製薬会社などの企業や病院近隣にある調剤薬局は、土日休みのことも多いです。
ただし、土曜日の午前中に診察が行われる医療機関に近い調剤薬局勤務の場合は、土曜午前の勤務が求められることもあるでしょう。
シフト制の病院やドラッグストアなどでは、土日祝日が勤務日で平日が休みのケースもあります。
正社員ではなく、パート・アルバイトの場合は、他のスタッフと調整することで、自分のライフスタイルに合わせて休みを選びやすいでしょう。
年次有給休暇や特別休暇、育児休業や時短制度などは、企業によって制度が異なるため、休日についてもしっかりと確認しておくことが大切です。
病院などに勤務している場合は、入院患者への対応のために予め定められた日に休日出勤をすることがありますが、休日に急に呼び出しが入ることは多くありません。
また、学会や会議、勉強会などが入ることもあります。
薬剤師の勤務時間を知ってライフスタイルに合う職場を選ぼう
薬剤師の働く時間は勤務先や業種によって異なりますが、多くが朝から夕方までの日中です。
薬剤師の勤務時間は他の労働者と同じく法律で守られているため、法外な長時間労働になることは少ないと考えられます。
この記事では、薬剤師の勤務時間や休日、残業時間、勤務体系などを解説しました。
薬剤師として、自身のライフスタイルに合う働き方のできる勤務先を選ぶと良いでしょう。