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学校薬剤師とは?仕事内容やなり方を紹介

この記事の監修者
牧野泰尚
牧野泰尚
【資格】
薬剤師
【プロフィール】
製薬企業で約20年勤務。営業・本社勤務・支援スタッフの経験あり。
2024年4月からフリーライターとして医療系記事を執筆。

学校で子どもたちの健康を守る専門職・学校薬剤師をご存じですか?
学校薬剤師は、環境衛生検査や医薬品管理、保健教育など、幅広い職務を担います。
その役割は、子どもたちの健やかな成長を支えるうえで欠かせないものです。

本記事では、学校薬剤師の仕事内容や必要性、なり方を詳しく解説します。
子どもたちの未来を守るやりがいに満ちた仕事に、あなたもチャレンジしてみませんか。

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学校薬剤師とは?

学校薬剤師とは?

学校薬剤師とは、学校における保健管理に関する専門的な職務を担う薬剤師のことを指します。
学校で子どもたちの健康を守るためには、薬剤師の専門的な知識と技術が必要不可欠です。
ここでは、学校薬剤師の設置目的や役割、必要性が高まった背景について詳しく解説していきます。

学校薬剤師を設置する目的や役割

学校薬剤師は、学校保健安全法に基づいて設置が義務付けられている専門職です。
主な役割は、学校における環境衛生の維持管理、医薬品などの適正管理、保健指導などを行うことです。

具体的には、飲料水やプールの水質検査、教室内の採光や照度の検査といった環境衛生検査を定期的に実施し、適切な環境が保たれているかを確認します。
また、保健室や理科室で使用する医薬品や化学物質の管理も、学校薬剤師の重要な仕事の一つです。

さらに、子どもたちの健康相談に乗ることや保健指導を行うことも、学校薬剤師の役割として求められます。
学校薬剤師は、子どもたちの快適な教育環境を守ったり、健やかな成長を支えたりする重要な存在です。

学校薬剤師が必要になった背景

では、なぜ学校に薬剤師が必要になったのでしょうか。
背景には、1930年に小樽市の小学校で起きた痛ましい事故がありました。
風邪をひいた児童に解熱剤の「アスピリン」を与えるつもりが、誤って毒薬の「塩化第二水銀」を服用させてしまったのです。
この事故をきっかけに、学校における医薬品の管理の重要性が認識されるようになりました。

その後、1958年に学校保健法が公布され、学校には学校医、学校歯科医とともに、学校薬剤師を置くことが規定されました。
現在では、学校保健安全法により、認定子ども園や幼稚園から高等学校まで、大学以外のすべての学校に学校薬剤師の設置が義務付けられています。
子どもたちの健康を守るために、学校薬剤師の存在は欠かせません。

学校薬剤師の仕事内容

学校薬剤師は、学校における保健管理に関する専門的な職務を幅広く担っています。
ここでは、学校薬剤師の主な仕事内容を具体的に見ていきましょう。

環境衛生検査

学校薬剤師の重要な仕事の一つが、学校の環境衛生検査です。
法律で定められた検査項目に従って、定期的に学校の環境衛生状態を確認し、問題があれば改善するよう学校に助言します。

検査項目 検査の内容
水質検査 ・水道やプールの水質、残留塩素の濃度が適正範囲内であることを確認
・大腸菌などの細菌に汚染されていないかを確認
・消毒を行う設備に問題がないかを確認
空気検査 ・教室内の温度や湿度、二酸化炭素濃度を測定
・トルエンやホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物が含まれていないかを確認
照度検査 ・教室内の照明の明るさを計測し、明るさが基準値の範囲内であることを確認
騒音検査 ・教室内に聞こえてくる教室外からの音が騒音に該当していないことを確認
給食施設内検査 ・給食室や給食センター、食堂など給食施設の食材や調理器具、調理器具の保管場所などの衛生状態、給食施設内の水道水に異常がないことを確認

このように、学校薬剤師は環境衛生の専門家として、子どもたちが安全かつ快適な環境で学校生活を送れるよう、細やかな検査を行っています。

薬品の検査や管理

学校には、保健室の常備薬から理科室の実験試薬まで、さまざまな薬品が存在します。
これらの薬品を適切に管理するのも、学校薬剤師の重要な仕事です。

保健室や理科室に保管されている薬品に関しては、使用期限切れのものがないか、適切な保管状態が保たれているかを定期的に確認します。
不要になった薬品があれば、学校の担当者に適切な処分方法の助言や指導が必要です。

子どもたちの安全を守るために、薬品の適正な管理も欠かせません。

薬や保健に関する教育

学校薬剤師は、子どもたちに対する保健教育も重要な役割の一つです。
喫煙、飲酒、シンナーなどの薬物乱用が健康に与える影響や、医薬品の正しい使用方法を、子どもたちにわかりやすく説明します。
また、感染症予防やアレルギー対策など、子どもたちの健康に関する幅広い内容の教育も行います。

教育内容は、児童・生徒の学年に合わせた工夫が必要です。
低学年の児童に対しては、うがいや手洗いの大切さなど、基本的な感染症予防を中心に教育します。
一方、高学年の児童や生徒に対しては、喫煙や薬物乱用の怖さについて、専門的な知識を交えて説明します。
薬の専門家として、子どもたちの健康教育に幅広く携わっているのです。

学校保健計画・学校安全計画の立案に参与

学校薬剤師の職務は、学校保健安全法で定められています。
そのなかで、学校保健計画および学校安全計画の立案への参与が、学校薬剤師の重要な役割の一つとされています。

学校保健計画は、学校における健康診断、健康相談、感染症予防など、児童・生徒の健康管理に関する総合的な計画です。
一方、学校安全計画は、学校内の安全点検、防災訓練、交通安全指導など、安全管理に関する計画です。
これらの計画の策定に際して、学校薬剤師は薬の専門家としての立場から、教職員に助言や提案を行います。

学校薬剤師の専門的な知識は、子どもたちの健康と安全を守るうえで欠かせないものです。

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学校薬剤師になるには?

学校薬剤師になるには、どのような方法があるのでしょうか。
学校薬剤師になるために特別な資格は必要ありません。
薬剤師の資格を持っていれば、誰でもチャレンジできます。
ここでは、学校薬剤師のなり方について、具体的に見ていきましょう。

地域の教育委員会や薬剤師会に問い合わせる

学校薬剤師の採用は、一般の求人サイトで募集されることはほとんどありません。
地域の教育委員会を通じて薬剤師会に依頼があり、薬剤師会の推薦で任用されるケースがほとんどです。
学校薬剤師になりたい場合は、まずは地域の教育委員会や薬剤師会に問い合わせてみることをおすすめします。

学校薬剤師の欠員状況や任用までの流れを、詳しく教えてもらえるはずです。
また、薬剤師会に所属していれば、学校薬剤師の求人情報を早めにキャッチできるかもしれません。

地域に貢献している調剤薬局に就職する

学校薬剤師の求人は、地域に根差した調剤薬局に勤務している薬剤師の間で、内々に出回ることが多い傾向です。
地域のお年寄りの見守りや、健康イベントの開催など、地域貢献に積極的な調剤薬局であれば、学校薬剤師の求人情報も入りやすいといえるでしょう。

調剤薬局の役割は、単に医薬品を販売するだけではありません。
地域住民の健康を総合的にサポートすることも、調剤薬局の重要な使命です。
地域密着型の調剤薬局に就職することで、学校薬剤師への道が開けるかもしれません。

学校薬剤師が不足している学校を探す

学校薬剤師が不足している学校を探すのも、一つの方法です。
特に私立の学校では、学校法人が直接学校薬剤師の求人を出すことがあります。

学校薬剤師の求人数は多くありませんが、学校のホームページなどで募集されていることがあります。
地域の学校の求人情報を定期的にチェックしてみるのも良いかもしれません。
学校薬剤師になるチャンスが、意外と身近にある場合もあります。

学校薬剤師の仕事内容やなり方を知ってチャレンジしよう

学校薬剤師は、子どもたちの健康を守るために欠かせない存在です。
環境衛生検査や医薬品の管理、保健教育など、その仕事は多岐にわたります。
薬の専門家として、学校保健計画の策定にも関わるなど、重要な役割を担っています。

学校薬剤師になるためには、特別な資格は必要ありません。
薬剤師の資格があれば、地域の教育委員会や薬剤師会に問い合わせたり、地域密着型の調剤薬局に就職したりすることで、学校薬剤師へのチャンスをつかむことができるでしょう。

子どもたちの健やかな成長を支えたい。
そんな思いを持つ薬剤師の皆さんには、ぜひ学校薬剤師への挑戦をおすすめします。
あなたの専門知識が、子どもたちの未来を守ることにつながるはずです。

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執筆者について

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