
理学療法士は、患者さんや利用者さんの身体機能回復をサポートし、円滑な日常生活を遅れるように支援する職業です。
医療職のなかでも人気のある職種ですが、日々多くの患者さんや利用者さんと向き合う必要のある、大変な仕事でもあります。
そこで今回は、理学療法士が「大変」「つらい」と感じることや、どうしてもつらいときの対処法を解説します。
理学療法士として働いている人、理学療法士に興味がある人はぜひ最後までご覧ください。
目次
理学療法士の大変なこと・つらいこと
理学療法士が仕事をしているなかで「大変だ」「つらい」と感じる背景には、どのような要因があるのでしょうか?
以下にまとめます。
体力的なきつさがある
理学療法士は、自分の体を使って患者さんを支援する、体力のいる仕事です。
特に、全面的に介助を必要とする要介護状態の患者さんや利用者さんのリハビリでは、転倒などのリスク管理を徹底する必要が生じます。
全身を使った安全なアプローチが求められるため、「体力的にきつい」と感じる理学療法士も少なくないでしょう。
また、理学療法士は病院内や施設内を動き回り、あらゆる場面で患者さんや利用者さんと関わる必要があります。
仕事中のほとんどの時間を立って過ごすこともあり、体力勝負となってしまいがちです。
理学療法士になってからも勉強が大変
理学療法士は、日々進化していく医療に対応するべく、国家試験に合格してからも勉強の継続が必要となる職種です。
学生時代に学んだことは、理学療法に関する基礎にすぎません。
臨床では臨機応変な対応力とより良いリハビリの提供が求められます。
施設によっては、業務終了後や休日に勉強会を行う場合があり、生涯勉強を継続しなければならない点を負担に感じる理学療法士もいるでしょう。
患者さんとのコミュニケーションに気をつかう
理学療法士がリハビリを効果的に進めるには、患者さんや利用者さんとのコミュニケーションが必要不可欠です。
患者さんや利用者さんがはじめからリハビリに対して前向きに取り組んでいれば、困ることは少ないかもしれません。
しかし、リハビリの長期化や理学療法士への不信感により、患者さんがモチベーションを失っているケースもあります。
そのため、コミュニケーションには細心の注意を払い、患者さんの些細な変化を見落とさないように努めることが大切です。
リハビリに対する患者さんや利用者さんのやる気が低下してしまい、コミュニケーションを工夫しても意欲が改善されない場合には、理学療法士も精神的に疲労してしまうこともあるでしょう。
将来性がないのでは?と不安に感じる
理学療法士のなかには、将来性に関して不安に感じている人も少なからず見受けられます。
昇進や昇給が見込まれる場合には、モチベーションの向上につながります。
しかし、なかなかそのような状況にならない場合には、将来を不安に感じ、負担に思うことでしょう。
やりがいが感じられない
理学療法士として働いていると、「理学療法士の仕事におもしろさを感じられない」「毎日忙しく働いているのに、キャリアアップできている気がしない」「努力しても、患者さんがぜんぜん良くならない」などと、やりがいが感じられないこともあるかもしれません。
実習生として臨床経験を積んでいても、理学療法士として実際に就職してみると、想像していた職業観に違いが生じる場合があります。
憧れをもって努力して得た理学療法士免許であっても、理想と現実とのギャップや仕事の忙しさ、人間関係のわずらわしさなど、さまざまな要因によってやりがいが感じられなくなってしまうことがあるのです。
効果を実感するまでに時間がかかる
リハビリでは、治療開始後すぐに症状が改善されるとは限りません。
患者さんや利用者さんが機能を回復するまでには、数週間~数ヵ月などの長い期間が必要となるケースもあるでしょう。
リハビリでは、そのような状況であっても、理学療法士と患者さんとが協力して日々コツコツと努力を続けることが大切です。
しかし、「もっと良いリハビリメニューがあるのでは?」「なかなか改善せず、患者さんに申し訳ない」などと、効果を実感するまでに時間がかかることで、自分を責めるような考えを生じてしまう場合があります。
理学療法士は将来性がある魅力的な仕事
ここまで、理学療法士が「大変だ」「つらい」と感じる理由を解説してきましたが、理学療法士は将来性のある魅力的な仕事であるともいえます。
理学療法士が仕事を「楽しい」と感じたり、やりがいを実感したりする場面には、以下のようなものがあります。
- 患者さんや利用者さんの身体機能が改善・回復し、リハビリの効果を実感したとき
- 自分の工夫により、患者さんや利用者さんが前向きにリハビリに取り組んでくれたとき
- 患者さんや利用者さん、ご家族から感謝されたとき
自分の仕事によって、患者さんや利用者さんが改善していく姿を間近で見られるのは、理学療法士のやりがいの1つです。
一人ひとりの患者さんや利用者さんとじっくり向き合い、ともに努力していくことで身体機能が回復したとき、またそれに対して感謝の言葉をもらったときには、大きな達成感を感じられるでしょう。
また、内閣府の令和4年版高齢社会白書によると、令和47年には高齢化率が38.4%に達し、国民の約2.6人に1人が65歳以上になると推計されています。
今後さらに高齢者の支援が必要となるため、理学療法士は社会的な需要が増加する可能性の高い、将来性豊かな職種といえます。
どうしても辛くなったときの対処法
とはいえ、どうしても「つらい」と感じ、逃げ出したくなるときもあるでしょう。
ここからは、そのようなときの対処法を解説します。
理学療法士をめざしたときのことを思い出す
まずは、理学療法士をめざしたときの気持ちを思い出してみてください。
そして、今までの仕事のなかで起きた、うれしかったエピソードややりがいを感じたできごとを思い起こしてみましょう。
初心にかえって考えることで、「また頑張ろう」と前向きに思えることがあるかもしれません。
完璧主義をやめる
完璧主義は、完璧に自分の仕事を遂行することをめざす模範的な社会人の姿であるともいえます。
しかし度を過ぎてしまうと、自分自身の首をしめてしまうことになりかねないため、注意が必要です。
特に理学療法士の仕事では、自分次第で結果を出せる業務ばかりではないため、完璧な結果を求めることは難しいかもしれません。
「患者さんのために」「より良い成果を」と自分を追い込んでしまわないよう、心に余裕をもって仕事と向き合えると良いでしょう。
転職を検討する
仕事を「つらい」「大変」と感じる理由が、人間関係や待遇面、業務内容などにある場合は、職場を変えることで問題が解決でき、理学療法士として楽しく働き続けられる可能性もあります。
「つらい」と感じるのは理学療法士の仕事自体なのか、現在の職場環境なのか、しっかりと見極めて対処しましょう。
理学療法士の仕事で辛くなったら働き方を見直そう
今回は、理学療法士が「大変だ」「つらい」と感じる場面や、つらいときの対処法を解説しました。
理学療法士は、将来性があり、やりがいを感じられる魅力的な仕事です。
しかし、同時に大変なことも多々あるでしょう。
どうしてもつらいと感じる場合には、理学療法士の仕事自体がつらいのか、それとも今の職場での働き方がつらいのかを見極め、職場が合っていないと感じた場合には転職も視野に入れて考えてみましょう。