スポーツ管理栄養士は、公認スポーツ栄養士の資格を持ち、スポーツに特化した専門的な知識や経験をもとに、スポーツをする人を食事面でサポートする仕事です。
健康意識の向上やスポーツ栄養学の発展により、スポーツ管理栄養士への注目は高まっています。
今回はそんな魅力あるスポーツ管理栄養士の仕事内容や資格取得方法、活躍できる職場を紹介します。
目次
スポーツ管理栄養士(スポーツ栄養士)とはどんな仕事?
スポーツ管理栄養士とは、プロアスリートからアマチュアまで、スポーツをする人に対して栄養や食事の指導を行う人をいいます。
スポーツをする人にとって健康な身体づくりは基本中の基本。
日々の食事管理は身体づくりに欠かせないものであり、スポーツ選手のパフォーマンス向上において、スポーツ管理栄養士は重要な役割を果たします。
スポーツ分野の栄養士は単に栄養面のサポートを行うだけでなく、選手自身に自己管理能力の向上を促す大切な役割もあります。
選手につきっきりで指導するわけではないため、日々の食事管理を徹底するには、自己管理能力が必要だからです。
スポーツ管理栄養士は選手以外の人との関わりも多く、監督・コーチ・トレーナー・スポーツドクターなどのプロフェッショナルとともに選手をサポートします。
各分野のプロフェッショナルの連携により、チームとして選手のパフォーマンスを最大限に引き出せるのです。
スポーツ管理栄養士(スポーツ栄養士)の仕事内容
実際のスポーツ管理栄養士はどのような仕事を行なっているのでしょうか?
主な仕事内容は3つあり、食事指導・栄養管理・セミナー開催です。
食事指導
スポーツのパフォーマンスを向上させるために、食事の内容を指導します。
食事はスポーツ選手にとってトレーニングの一環 ともいわれ、身体をベストな状態に保つには、適切な食事が欠かせません。
スポーツ管理栄養士は、アスリートが身体能力を最大限に引き出せるよう、一人ひとりの体格や競技内容に合わせて毎日の食事内容を指導します。
食事指導内容
- バランス
- タイミング
- 量
アスリートのコンディションは日々変化します。
そのときどきのコンディションに応じて適切な食事指導を行い、試合当日のコンディションを高めるのがスポーツ管理栄養士に求められる仕事です。
パフォーマンスを高めるには、時期によっても食事内容を変える必要があります。
例えば、増量期には通常よりもカロリーを 増やす、試合前にはエネルギー効率の良い食事に変更するなどの指導を行います。
アスリートの好みに合わせ、飽きのこないバリエーション豊かな食事内容を考えるのも仕事です。
栄養管理
スポーツのパフォーマンスを高めるには、運動・栄養・休養のバランスが重要であり、これらはコンディショニングの3本柱と呼ばれます。
コンディションを整えるには、エネルギー源の「糖質」と「脂質」、身体を作る「タンパク質」、身体の調子を整える「ビタミン」や「ミネラル」の5大栄養素をバランスよく取ることが欠かせません。
また、体調不良や食欲の減少など、状況によってはサプリメントで栄養を補給することもあり、その管理も行います。
専門知識を活かし、「何を、いつ、どれだけ、どのように摂取するか」を一人ひとりのコンディションに合わせて提案し、健康を管理するのもスポーツ管理栄養士の仕事です。
セミナー開催
スポーツ管理栄養士は、スポーツ選手やその関係者に向けて食事や栄養に関するセミナーも開催します。
これは選手自身に日々の食事について考えてもらい、食事の重要性を理解してもらうことが目的です。
セミナーで基礎知識が身についていれば、食事指導の内容を理解してもらいやすく、選手の自己管理能力向上にもつながる重要な役割があります。
スポーツ管理栄養士(スポーツ栄養士)になるには?資格の取得方法
スポーツ栄養士として公認されるには、「公認スポーツ栄養士」の資格を取得し、登録を受けることが条件です。
公認スポーツ栄養士は、スポーツの現場のニーズに的確に応えられるスポーツ栄養の専門家であることを認定する資格で、公益財団法人日本栄養士会および公益財団法人日本スポーツ協会により共同で認定されます。
資格取得には、3つの講習会を受講し、2つの検定試験に合格しなければなりません。
<公認スポーツ栄養士養成講習会受講条件>
以下の条件を満たし、(公社)日本栄養士会、(公財)日本スポーツ協会が認めた者
- 管理栄養士であること
- 受講開始年度の4月1日時点で満22歳以上
- スポーツ栄養指導の経験者、または予定がある者
受講期間は申し込みから5年間で、受講者決定通知を受け取ってから5年目までにすべての過程を終える必要があります。
資格には有効期限があり、4年(実質3年半)ごとに更新が必要です。
更新には有効期限の6ヵ月前までに学術集会などに参加し、15単位(うち4単位は日本栄養士会生涯教育)を取得しなければならず、期限内に単位が取得できないと失効してしまいます。
公認スポーツ栄養士の資格は、取得するだけでなく、継続的に知識を研鑽していなければ維持できないからこそ、スポーツ栄養の専門家として高い信頼を得られるのです。
就職やキャリアアップにおいても、強い味方になってくれるでしょう。
資格がなくても管理栄養士としてスポーツ業界に携わることはできますが、スポーツ管理栄養士として活躍したいなら、取得しておきたい資格です。
管理栄養士が活躍できるスポーツ関連の職場
管理栄養士資格や公認スポーツ栄養士資格を持っていると、あらゆるスポーツ分野で活躍できるチャンスがあります。
スポーツ分野といってもさまざまな職場があり、職場によって仕事内容も変わります。
今回は管理栄養士が活躍できる3つの職場を紹介します。
スポーツの現場で活躍したいと考えている方は、自分にはどのような職場が向いているかチェックしながらご覧ください。
フィットネスジム
管理栄養士としてスポーツに関わりたい方にとって、とても身近な職場といえるのがフィットネスジムでしょう。
トレーニングやダイエットなど、各々の目的で通う方を食事面からサポートします。
フィットネスジムで働く管理栄養士は、管理栄養士としての仕事のほか、インストラクターの仕事もこなすのが一般的です。
インストラクターとしての知識やスキルも身につけられる点は、フィットネスジムで働く魅力といえるでしょう。
管理栄養士としては、次のような業務を行います。
- 栄養カウンセリング
- 食事と運動を組み合わせたプログラムを組む
- 栄養セミナーの実施や資料作成
管理栄養士がいることで、食事と運動の両方から効果的にアプローチでき、「減量したい」「筋肉量を増やしたい」など、一人ひとりの希望に合わせたプログラムが組めます。
また、お客さんだけでなく、一緒に働くスタッフからも質問や相談を受けることも多いようです。
インストラクターとしても活躍したい方や、多くの人をサポートしたい方にはぴったりの職場です。
プロスポーツチーム
プロスポーツチームに所属し、プロフェッショナルチームの一員として、選手を食事面でサポートする仕事です。
プロスポーツチームで働く管理栄養士は、次のような業務を担います。
- スポーツチームの施設や遠征先で提供する食事メニューの作成
- 選手個人の栄養状態のチェック
- 栄養カウンセリング
- 体調管理の相談
- 栄養セミナーや講義の実施
選手一人ひとりの体調や栄養状態をチェックし、試合に合わせてコンディションを整えることが重要な仕事です。
また、選手自身が日頃から食事管理をできるように指導する役割も担います。
管理栄養士としての専門知識を活かし、プロスポーツに関わりたい方に向いているでしょう。
プロアスリートの専属管理栄養士
プロアスリートの専属管理栄養士は、選ばれし人だけがなれるスポーツ栄養士憧れの仕事です。
プロチームがスポンサー契約している会社やトップアスリートのサポートを行っている会社に所属していると、オファーをもらえる場合もあります。
主な仕事内容はプロスポーツチームに所属する管理栄養士と同じですが、アスリート個人の専属になることで、相談役としてより細やかにアドバイスできます。
プロの専属というプレッシャーや緊張感はありますが、成果が出ると他では味わえない充実感があるでしょう。
やりがいのある仕事につきたい方や高収入を得たい方に向いています。
管理栄養士としてスポーツの場面で働こう
スポーツ管理栄養士は、食事面でアスリートをサポートする仕事です。
公認スポーツ栄養士になれば、高い信頼を得られます。
取得には時間がかかり、継続的な研鑽も必要ですが、管理栄養士としてスポーツ業界で活躍するなら取得しておきたい資格です。
スポーツが好きな方や、スポーツをする人をサポートしたい方は、管理栄養士の知識を活かせるスポーツ栄養士を目指してみてはいかがでしょうか。