
ドラッグストアの仕事は通し勤務が多かったりノルマが厳しかったりと、心身ともに厳しいイメージを持つ人も多くいます。
できれば「ドラッグストアでは働きたくない」と思う人も多いことでしょう。
登録販売者を必要としている職場はドラッグストアだけではありません。
この記事では、登録販売者の資格をキャリアアップに活かせる11の職場をご紹介します。
目次
登録販売者がドラッグストア以外で働ける11の職場
最初に、ドラッグストア以外で登録販売者の資格を活かせる働きやすい職場を11種類ご紹介します。
それぞれの職場のメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ見比べながら自分に合った職場を見つけてください。
登録販売者が働ける職場一覧とメリット・デメリット
職場 | メリット | デメリット |
ドラッグストア | ・店舗管理者や本部など登録販売社の資格を活かしたキャリアアップが描きやすい | ・拘束時間が長くなりがち ・ノルマが厳しいことが多い |
コンビニ | ・シフトの融通が利きやすい ・ノルマが少なめ |
・取り扱う医薬品数が少ない ・通常のコンビニ業務が占める割合も多く、資格を活かせている感じがしない |
スーパー | ・医薬品コーナーの責任者としてさまざまな経験ができる ・大手スーパーの場合、福利厚生が充実している |
・ワンオペ体制であることも多く、忙しくても一人で対応しなくてはいけない場合がある ・医薬品専門店ではないため、登録販売者としてのキャリアアップが難しい可能性が高い |
家電量販店 | ・店舗が主要駅にあることが多く通勤しやすい ・医薬品コーナー専属担当として幅広く業務を任せてもらえる |
・本当に薬を必要として来店するお客様が少ない ・ノルマを課されるケースが多い |
ホームセンター | ・ノルマはない場合が多い ・基本的に駐車場があるため、マイカー通勤がしやすい |
・キャリアアップの機会が得にくい ・医薬品以外の商品に携わるケースもある |
製薬会社の営業 | ・土日や祝日に休みやすい ・勤務時間が不規則にならない ・給与が高め |
・求人件数が少ない ・営業職のためノルマがある場合が多い ・製薬会社の営業職は市販薬販売の実務経験にカウントされず、販売員に戻ることが難しくなることがある |
漢方薬局 | ・一人ひとりのお客様に長い時間をかけて接客できる ・日曜日が定休日の店が多く、休みやすい |
・求人が少ない ・漢方の専門知識が求められる割に給与がさほど高くない |
調剤薬局 | ・営業時間が比較的短いため、ワークライフバランスを保ちやすい ・医療事務のスキルも習得できる |
・接客対応のほかにパソコンスキルも求められる ・接客は薬剤師の担当となることが多く、登録販売者がスキルアップできるチャンスは多くない |
エステサロン | ・リピーターが多く、お客様に親身に寄り添える ・登録販売者の資格手当がつき、無資格のエステティシャンよりも高収入が得られる |
・エステの施術スキルを身につける必要がある ・体力仕事で身体への負担が比較的大きい |
介護施設 | ・高齢化社会であることから仕事に困ることがない ・介護の仕事にも携わるため、社会貢献性が高い |
・体力が必要な仕事で身体への負担が少なくない ・高齢者の死に立ち会うことがある |
通信販売 | ・お客様と直接接することがないため、対面でのコミュニケーションが苦手でも問題ない ・勤務時間が決まっているケースが多く、残業になることも少ない |
・主にご年配の方からの電話に対応するケースが多く、1件の対応が長時間になることが多い ・受けた電話の本数や販売金額など数字面のプレッシャーを感じやすい |
治験コーディネーター | ・比較的給与水準が高い ・実務経験を積むことで公認治験コーディネーターの資格取得もできる(ステップアップできる) |
・休日出勤や緊急時の対応などが発生する可能性がある ・事務作業が多い |
続いては自分にとって最適な職場を見つけるために、それぞれの仕事がどのような人に向いているのかを、各職場の特徴を踏まえてご紹介していきます。
コンビニ
まずはコンビニで働く場合の【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】を見ていくことにしましょう。
給料
- 正社員:月給18万円~40万円
- パート・アルバイト:時給1,100円~1,625円
勤務時間
実働8時間のシフト制を採用しているコンビニが一般的でしょう。
24時間営業のため、勤務時間融通が利きやすく、昼間だけの勤務も可能なので、子育てと両立したい方にもピッタリです。
ただし24時間営業ゆえに、シフトによっては深夜勤務が発生する場合があるでしょう。
仕事内容
医薬品の販売や相談対応を中心に、通常のコンビニ業務(品出し・清掃・レジ対応など)も担います。
ノルマ
コンビニは医薬品が取り扱い商品の中心ではないことから、ノルマは比較的少ない職場です。
スーパー
続いては、スーパーで働く場合の【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】を見ていきます。
給料
- 正社員:年収250万円~480万円
- パート・アルバイト:時給1,000円~1,530円
勤務時間
店舗が開いている時間帯のなかでのシフト勤務となるでしょう。
コンビニと違って24時間営業の店舗は少ないので、夜勤や深夜勤務はほぼありません。
ただし、休日は混雑しやすいため土日に休むのはなかなか難しそうです。
仕事内容
医薬品コーナーで、接客・レジ対応、商品陳列、商品管理・発注業務などを担います。
同じシフト内で登録販売者が自分一人というケースも多く、実質的には売り場責任者として働くイメージになります。
ノルマ
コンビニ同様、スーパーも医薬品をメイン商品としていないため、販売ノルマが課される可能性は少ないでしょう。
家電量販店
次は家電量販店で働く場合です。
同様に、【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】の各項目を見ていきます。
給料
- 正社員:年収250万円~480万円
- パート・アルバイト:時給1,250円~1,450円
勤務時間
10:00~19:00と12:00~21:00のように、交代勤務となるケースが多いようです。
24時間営業ではないため深夜勤務はありませんが、家電量販店も土日が忙しい業種のため、土日は休みづらいでしょう。
仕事内容
家電量販店内の医薬品コーナーで、医薬品販売や接客、レジ対応を行います。
医薬品コーナーの専属担当としてディスプレイや発注など、幅広い仕事を任せてもらえる可能性があります。
一方で、忙しい別の売り場に駆り出されることもしばしばあり、医薬品に関わる仕事以外が占める割合も比較的多くなりそうです。
ノルマ
店としてノルマを課している家電販売店が多く、その点は主力商品ではない医薬品売り場でも例外ではありません。
登録販売者の場合は、医薬品だけでなく健康食品なども含めて販売目標が設定されるケースや、場合によっては医薬品にまったく関係のないインターネット回線などのノルマが設けられるケースもあるようです。
ホームセンター
次は、ホームセンターで働く場合の【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】をご紹介します。
給料
- 正社員:年収250万円~480万円
- パート・アルバイト:時給1,000円~1,530円
勤務時間
例えば、9:50~19:20、9:00~20:00のように、店舗の営業時間のなかで週30~40時間以内のシフト制となるのが一般的です。
ホームセンターも24時間営業ではないので深夜勤務はありませんが、来店客数は土日に多くなるため、週末の休みづらさはあるでしょう。
仕事内容
一般用医薬品の説明・販売や医薬部外品の販売など、専門売り場内での接客・レジ対応などを担います。
ほかにも、在庫管理や商品発注、商品POPの作成・店頭掲示など接客や販売以外の業務もあります。
状況に応じて、医薬品以外の一般商品の販売応援などを任される場合もあるでしょう。
ノルマ
自社商品に販売ノルマを課していることもあるドラッグストアと違い、ホームセンターでは販売ノルマを課されないところが多いようです。
ノルマのプレッシャーなく働きたい方におすすめの環境です。
製薬会社の営業
続いて、製薬会社の営業として働く場合について、【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】がどうなっているのか、ご紹介していきます。
給料
- 正社員:月給22万2,161円~26万8,932円
- パート・アルバイト:情報なし
勤務時間
企業での営業職となるので、シフト制ではなく、9:00~18:00のように毎日決まった時間に働くケースが大半です。
休日に関しても土日・祝日で固定されているケースが多いので、土日休みにこだわりたい方にはおすすめです。
仕事内容
一般小売店へのルート営業と医師や薬剤師向け営業(MR)の2パターンが考えられます。
前者は取引している小売店に対して、市販薬や化粧品の提案を行い、後者は病院や薬局へ出向き、医療用医薬品に関する情報提供をします。
ノルマ
登録販売者が資格を活かして働ける職場のなかでも、製薬会社の営業職はノルマが厳しい職種です。
月ごとに個人の売上目標が課されるケースが多く、日々数字のプレッシャーを感じながら仕事に臨むイメージです。
漢方薬局
次は、漢方薬局で働く場合の【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】を見ていきます。
給料
- 正社員:月給18万円~、年収400万円程度
- パート・アルバイト:情報なし
勤務時間
10:00~19:00のように、開店している時間帯のなかでシフト制となるのが一般的です。
漢方薬局は日曜日が定休日の店舗も多く、そうした店を選べば土日の連休とはいかずとも、毎週日曜日に休めるでしょう。
仕事内容
漢方相談に来るお客様への店頭対応を中心に、漢方服用後の体調管理や服薬指導などを含むアフターフォローも求められる仕事です。
ドラッグストアでの医薬品販売と比べると、じっくり時間をかけてカウンセリングするイメージに近いでしょう。
ノルマ
お客様の不調を解消するためにさまざまなヒアリングを行い、適切な漢方を提案する仕事であり、営業のような要素も含んでいます。
このことから、お店によってはノルマが課されるケースもあるでしょう。
調剤薬局
次に、調剤薬局で働く場合の【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】をご紹介します。
給料
- 正社員:時給950円~、年収275万円~
- パート・アルバイト:情報なし
勤務時間
シフト制の求人もありますが、月曜日から金曜日は9:00~17:00、土曜日のみ9:00~13:00のように、曜日によって勤務時間が固定されている求人もあります。
24時間営業ではないので深夜勤務はありませんが、土日にも営業している調剤薬局で働く場合、毎週土日に休むことはできないかもしれません。
仕事内容
レセプトや処方箋の入力のほかに、受付・電話対応、薬剤師の業務サポートなどを行います。
場合によっては、客先に薬を直接届けるような業務も担う可能性があります。
ノルマ
事務作業が比較的多い職場であり、販売ノルマが課されるケースはほぼないでしょう。
エステサロン
続いてはエステサロンで働く場合です。
こちらも【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】を見ていきましょう。
給料
- 正社員:月給18万5,000円~40万円
- パート・アルバイト:時給820円~1,200円
勤務時間
店舗の営業時間のなかでシフトを組むことになるでしょう。
遅くとも21時か22時には閉店する店が大半で、深夜勤務はありません。
しかし土日は来客が多く、土日に休みづらい職場です。
仕事内容
エステサロンで働く場合のメイン業務はお客様への施術です。
そのうえで、登録販売者として健康食品や美容用品を案内したり、悩みを聞いて適切な商品を提案したりします。
ノルマ
エステサロンで働く場合、ノルマを課されることが多くなります。
具体的には、施術に関する契約獲得、化粧品や美容品、健康食品などの物販ノルマなどです。
介護施設
次に、介護施設で働く場合の【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】をご紹介していきます。
給料
- 正社員:月給15万1,000円~32万8,422円
- パート・アルバイト:時給850円~1,600円
勤務時間
介護職は日勤から夜勤まで、幅広い時間帯で勤務する可能性のある仕事です。
ただし介護施設によっては、日勤のみの場合や土日祝日休みの場合もあります。
仕事内容
例えば、施設の利用者から薬の飲み合わせの相談を受けるケースが想定されます。
しかし、そうした登録販売者としての仕事のほかに、食事や入浴などの身体介助などもすることになり、介護の専門スキルも求められるでしょう。
ノルマ
医薬品に関する相談に乗って、アドバイスするのが主な役割であり、販売業務はないのが介護施設の仕事の特徴です。
販売業務がないのでノルマもなく、数字面でのプレッシャーとは無縁の環境です。
通信販売
続いては、通信販売の分野で働く場合の【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】を見ていきます。
給料
- 正社員:年収 400万円~550万円
- パート・アルバイト:時給1,200円~
勤務時間
朝から夜まで営業している店舗勤務と異なり、日勤で働きやすくなっています。
問い合わせの受付時間などを平日の朝から夕方までで区切っているケースが多く、時間外業務もほとんどありません。
土日・祝日を休みにしている求人も多くあり、ワークライフバランスを重視した働き方を希望する人に向いています。
仕事内容
仕事の大半は、医薬品の販売サイトの管理・運営、電話やメールでの問い合わせ対応です。
オンラインショップの倉庫担当として働く場合は、商品の在庫管理やピッキング・検品業務などを任される場合もあります。
また、コールセンター勤務の場合は、インターネット上で販売している薬に関する問い合わせ窓口業務を担います。
ノルマ
倉庫勤務や単なる問い合わせ対応のみの仕事であれば、ノルマはないのが通常です。
しかし、インターネット上の店舗管理などを担う場合、ショップの売上管理も任されるケースが多く、ノルマが課される可能性もあります。
またコールセンター業務の場合「1日に最低●件は対応」といった数値目標を課されるケースもあるでしょう。
治験コーディネーター
最後に、治験コーディネーターとして働く場合の【給与】【勤務時間】【仕事内容】【ノルマ】をご紹介します。
給料
- 正社員:年収360万円~450万円
- パート・アルバイト:月収24万円~、時給1,800円~
勤務時間
9:30~18:30、9:00~17:30といった会社員のようなスタイルでの勤務のほか、フレックスタイム制を取り入れている職場もあります。
土日・祝日休みの求人も多く、ワークライフバランスは比較的保ちやすいのが特徴です。
ただし、緊急時には休日や深夜であっても対応が発生する可能性もあります。
仕事内容
治験依頼者への治験実施内容の説明や治験スケジュールの管理、医師や看護師との情報交換や症例報告書の作成などが主な業務内容です。
ノルマ
治験を受ける患者さんを一人でも多く獲得するため、治験コーディネーターにノルマが課されることもあるようです。
【タイプ別】登録販売者のあなたに最適な職場の見つけ方
次に、それぞれの仕事がどのような人に向いているのかを、各職場の特徴を踏まえてご紹介していきます。
自分にとって最適な職場を見つけるための参考にしてください。
一人で店舗を回してみたい人
- スーパー
- ホームセンター
- 家電量販店
上記業種では、店舗の医薬品コーナーの責任者として売り場づくりや売り場管理などを一括して任されるケースがよくあります。
一人で店舗を運営してみたい方にはおすすめの職場です。
自分の時間や家族との時間を大切にしたい人
- コンビニ
- 調剤薬局
コンビニはシフトの融通が利きやすく、また調剤薬局は夜遅い時間帯の勤務が発生しづらい職場です。
趣味や家族との時間などをしっかりと持ちたい方に、おすすめの職場となるでしょう。
キャリアアップを目指す人向け
- 漢方薬局
- 製薬会社の営業
漢方薬局の場合、登録販売者の知識に加えて漢方に関する専門知識も身につけることができます。
将来的には自分のお店を持つことも夢ではないでしょう。
製薬会社での営業職の場合、ノルマを達成し成績を上げていくことで収入が増え、役職も狙えるようになります。
キャリアアップを目指したい方におすすめです。
登録販売者の資格を活かしつつキャリアチェンジしたい人
- エステサロン
- 介護施設
エステサロンでは医薬品や健康食品などの知識を活かしつつ、お客様の美容に携わることができます。
また介護施設では、利用者の服薬の相談に乗りながら、食事や入浴など生活面のサポートに携われます。
資格や薬に関する知識は活かしつつも、まったく異なる仕事にチャレンジできるので、キャリアチェンジがしたい方におすすめです。
在宅ワークをしたい人
- 通信販売
通信販売の分野なら、登録販売者の資格を活かしつつ在宅で働けるように思うかもしれません。
しかし、在宅ワークができる登録販売者の求人は非常に少ないのが現実です。
薬の通信販売には規制が多く、インターネットを利用した通信販売であっても実店舗に勤務しなくてはならないためです。
登録販売者の資格を活かして在宅ワークをしたい場合、メディカルライター職へ転職するという選択肢もあるので、ぜひ検討してみてください。
薬の知識をフルに活用したい人
- 治験コーディネーター
治験コーディネーターの仕事は、たくさんの治験を実施して副作用などの情報を集め、検証する仕事です。
新しい薬の開発に貢献できるため、登録販売者として習得した薬の知識を存分に活かしたい方にはうってつけの職場でしょう。
ドラッグストア以外にも登録販売者が働ける職場はたくさんある
この記事でご紹介したとおり、ドラッグストア以外にも、登録販売者の資格を活かして働ける職場は多数あります。
幅広い選択肢のなかから、どれを選ぶかはあなた次第です。