実務経験は登録販売者試験の受験資格ではなくなり、試験に合格すれば登録販売者になれるようになりました。
しかし、試験合格後に一定の実務経験を積まなければ、管理者である登録販売者として一人で勤務することはできません。
この記事では、正規の登録販売者となるために必要な実務経験の内容と実務経験の積み方を状況別に解説します。
目次
登録販売者に必要な実務経験は？
先述したとおり、正規の登録販売者（管理者）として一人で売り場に立つには、試験に合格するだけでなく、実務経験が必須です。
必要な実務経験は以下のとおりです。
5年以内に1920時間の実務経験が必要
正規の登録販売者として勤務するには、過去5年間に通算2年（1,920時間）以上の実務経験が必要です。
実務経験なしで登録販売者資格を取得した場合、実務経験の要件を満たすまでは研修中の登録販売者となります。
研修中は一人で売り場に立つことはできず、薬剤師や正規の登録販売者の管理・指導下で勤務し、実務経験を積みます。
| 正規の登録販売者 | ・登録販売者資格取得 ・過去5年間で通算2年（1,920時間）以上の実務経験あり |
| 研修中の登録販売者 | ・登録販売者資格取得 ・規定の実務経験を満たしていない |
業務に従事した期間は月単位で計算され、原則として1ヵ月に80時間以上業務に従事した場合に実務経験として認められます。
1ヵ月に80時間以上という条件を満たさない場合でも、過去5年間に月単位で従事した期間が通算2年以上あり、かつ合計1,920時間以上業務に従事していれば実務要件として認められます。
【状況別】実務経験の有無について
登録販売者資格試験合格後の勤務形態は、試験合格前の実務経験の有無や期間によって、次の３つのパターンに分けられます。
- 実務経験を満たしている場合
- 実務経験はあるが要件を満たしていない場合
- 実務経験がない場合
それぞれのパターンを詳しくみていきましょう。
すでに実務経験を満たしている場合
試験前からドラッグストアなどで一般従事者として勤務しており、「過去5年以内に通算で2年（合計1,920時間）以上」の実務経験がある場合、合格後すぐに正規の登録販売者（管理者）として勤務できます。
実務経験はあるが要件を満たしていない場合
試験前にドラッグストアなどで一般従事者として勤務していても、「過去5年以内に通算で2年（合計1,920時間）以上」の要件を満たしていなければ、正規の登録販売者にはなれません。
この場合は、研修中の登録販売者として勤務し、不足している実務経験を補う必要があります。
実務経験にブランクがある場合、研修中に5年が経過すると過去の実務経験を通算できなくなるケースもあるため注意しましょう。
実務経験なしの場合
実務経験が全くない方の場合、まず初めて勤務する店舗のある都道府県で登録販売者販売従事登録申請を行い、登録販売者販売従事登録証の交付を受ける必要があります。
登録申請時には、以下5つの書類を準備しておきましょう。
- 販売従事登録申請書（各都道府県のウェブサイトや保健所で入手）
- 登録販売者試験合格通知書
- 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍記載事項証明書、本籍の記載のある住民票の写し、本籍の記載のある住民票記載事項証明書のうちいずれか一つ（発行日から6ヶ月以内のもの。コピー不可）
- 証書（使用関係を示す書類）
- 診断書（診断日から３ヵ月以内）
登録後は研修中の登録販売者として勤務し、2年（1,920時間）以上の実務経験を積むことで正規の登録販売者（管理者）になれます。
必ずしも正社員として働く必要はなく、アルバイトやパートであっても実務経験としてカウントされます。
自身のライフスタイルにあった働き方を選びましょう。
登録販売者の実務経験はどこで積む？
登録販売者の実務経験として認められるには、一般従事者または登録販売者として、薬剤師または正規の登録販売者の管理・指導下で実務に従事する必要があります。
主な勤務先は、一般用医薬品を取り扱う薬局やドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストア、調剤薬局（保険薬局）、配置薬販売会社などです。
医療用医薬品のみを取り扱う調剤薬局では登録販売者の実務経験は積めないので注意しましょう。
登録販売者試験の受験には実務経験が不問に
平成27（2015）年に施行された省令改正により、登録販売者試験の受験資格から実務経験と学歴の要件がなくなりました。
受験資格から実務経験が撤廃された
平成26（2014）年までは大卒・高卒で1年、中卒で4年の実務経験が受験資格となっていました。
この要件が撤廃された背景には、実務経験を不正に証明する事例の多発がありました。
具体的には、医薬品を販売する店舗で、販売に従事していない従業員に実務経験証明書を発行するといった不正です。
勤怠記録の提出など、不正の防止対策も試みられましたが、手続きの負担が増えてしまい、資格取得後に実務経験を確認する仕組みへと変更されます。
正規の登録販売者（管理者）として働く場合は実務経験が必要に
従来の試験制度では、一定の実務経験を積んだうえで登録販売者試験に合格し、登録が完了すると正規の登録販売者（管理者）として、一人で売り場に立つことができました。
現行の制度では実務経験がなくても登録販売者になれます。
しかし、直近5年間で通算2年（1,940時間）以上の実務経験を積むまでは研修中の扱いです。
研修中は薬剤師または正規の登録販売者の管理・指導の下でしか業務に従事できず、一人で売り場に立つことができません。
一人で店舗運営を任せられない状態では、就職や転職、待遇などで不利になる場合があります。
実務経験が不足しているなら、まず実務経験を積みましょう。
その際の勤務先としては、複数の薬剤師や正規の登録販売者が在籍しているドラッグストアなどがおすすめです。
登録販売者として活躍するには実務経験を積もう
実務経験がなくても登録販売者にはなれます。
しかし、一人では業務に従事できず、店舗の運営も任せられないため、責任ある仕事や高待遇はあまり期待できません。
実務経験が不足しているなら、まず複数の薬剤師や正規の登録販売者が在籍するドラッグストアなどで経験を積むことから始めましょう。
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