
ドラッグストアでは、白衣を着た販売員を見かけます。
ドラッグストアで薬の販売をしているのは薬剤師ではなく、登録販売者である場合もあります。
聞き慣れない職名なので、「登録販売者ってなに?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、登録販売者全般について解説します。
登録販売者とはどういう仕事なのか、登録販売者として働くにはどのような資格が必要なのかをまとめています。
薬剤師や調剤薬局事務との違いも説明するので、ぜひ参考にしてください。
目次
登録販売者とは?
登録販売者は2009年6月、薬事法改正にともなって誕生しました。
登録販売者試験に合格して店舗管理者の要件を満たすと、一般用医薬品のうち第2類・第3類医薬品が販売できます。
一般用医薬品は処方箋がなくても購入できる医薬品であり、登録販売者はドラッグストアやスーパー、コンビニなどで活躍しています。
ここからは、以下の各点を見ていきます。
- 登録販売者の仕事内容について
- 登録販売者は国家資格?
- ほかの資格との違いは?
登録販売者の仕事内容について
登録販売者が一般の販売員と大きく違うのは、第2類・第3類医薬品の販売ができることです。
登録販売者は一般用医薬品の販売、アドバイス、副作用の説明をし、さらにはお客さんの相談にも対応します。
ただし、ドラッグストアなど医薬品以外の販売もしている店舗では、医薬品以外の商品の販売や管理をすることもあるでしょう。
- 医薬品の販売
- 品出し
- 店内在庫の管理
- POP作成
- レジ業務
- 店舗清掃
登録販売者は国家資格?
そもそも国家資格がどういうものかの定義がなく、登録販売者が国家資格であるかについては意見が分かれているのが現状です。
総務省の「国の資格制度一覧」によると、登録販売者は国が認めた公的な資格になっています。
しかし、文部科学省の「国家資格一覧」に登録販売者の名称はありません。
試験も都道府県単位で実施されるため、公的資格であるものの国家資格ではないと分類されています。
登録販売者が国家資格であるかについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>登録販売者は国家資格ではない?仕事内容や資格を取るメリットをご紹介
ほかの資格との違いは?
薬剤師と調剤薬局事務との違いを詳しく見ていきます。
登録販売者とほかの資格との違いを表にまとめました。
主な業務内容 | 調剤業務 | 販売できる医薬品 | |
登録販売者 | ドラッグストアなどでの市販薬販売 | 行えない | 一般用医薬品(第2類・第3類医薬品) |
薬剤師 | 病院や調剤薬局での薬の調合や管理、服薬指導 | 行える | 一般用医薬品(第1類・第2類・第3類医薬品) 医療用医薬品・要指導医薬品 |
調剤薬局事務 | 処方箋の内容をレセプトコンピューターに入力する窓口業務 | 調剤補助のみ | なし |
薬剤師との違い
まずは登録販売者と薬剤師との違いです。
登録販売者と薬剤師の大きな違いは、販売できる医薬品の種類です。
薬剤師は一般用医薬品のうち第1類・第2類・第3類医薬品を販売できますが、登録販売者は第2類・第3類医薬品しか販売できません。
しかし、図にあるように一般用医薬品のなかでは第2類・第3類医薬品が9割以上を占めているため、登録販売者だけでも多くの医薬品が販売できるのです。
また、薬剤師は処方箋に基づく薬の調合ができるのに対し、登録販売者は調剤業務を行えないことも大きな違いといえます。
資格を取得する面でも両者には大きな違いがあります。
登録販売者は誰でも受験できるのに対し、薬剤師は6年制大学で専門教育を受けた後、薬剤師の国家試験を受けて合格しなければなりません。
調剤薬局事務との違い
調剤薬局事務は調剤薬局で事務作業にあたる仕事です。
まず、調剤薬局事務は処方箋に基づいた調剤報酬の計算や会計業務などに携わります。
また、レセプトなどを作成し、保険者に請求する業務などもあります。
医薬品のピッキングなどできる調剤補助もありますが、薬の調合や販売、アドバイス、相談応対はできません。
調剤薬局事務はお金の業務がメイン、登録販売者は医薬品の販売がメインだと考えるとわかりやすいでしょう。
調剤薬局事務の仕事に就くのに学歴や資格は必要ありません。
調剤に関する資格はいくつか存在していますが、主に民間資格です。
一方、登録販売者になるには公的な資格試験に合格し、実務経験を積む必要があるため、その点でも両者は大きく異なります。
登録販売者の主な就職先
それでは、登録販売者の就職先に着目しましょう。
ドラッグストアや調剤薬局と、その他で分けて見ていきます。
最も多い就職先はドラッグストアや調剤薬局
登録販売者の就職先で最も多いのが、ドラッグストアです。
調剤薬局や第1類医薬品の販売には薬剤師が必要ですが、その他の一般用医薬品販売や商品の販売、店の管理などは登録販売者でもできるため、多くのドラッグストアは登録販売者が主体になって営業しています。
夜間や土日祝日など薬剤師が不在のときは、調剤と第1類医薬品販売を停止している店舗もあります。
ドラッグストアの正社員の平均給与は約340万円となっており、日本の平均年収と比べると低めです。
ただし、全体では約280〜610万円と幅広いため、勤務先や経験、役職によって差があるといえるでしょう。
また、近年は調剤薬局での求人が増えてきています。
というのも、第2類・第3類医薬品を販売できる登録販売者は、調剤薬局の薬剤師不足を補うのに最適だからです。
調剤薬局で働く場合はドラッグストアとは異なり、事務の仕事も求められる可能性があります。
ドラッグストア以外で働ける場所
登録販売者が必要とされる職場は、ドラッグストア以外にもあります。
- コンビニエンスストア
- ホームセンター
- スーパー
- 家電量販店
- 医薬品を扱うオンラインショップ
近年、上記業種の店舗でも一般用医薬品を取り扱うケースが増えてきました。
薬剤師が不在でも登録販売者が常駐していれば、一般用医薬品の9割を占める第2類・第3類が販売できるからです。
今後も登録販売者の求人が増えていく可能性があります。
給料面では月収18〜26万円程度が相場となっており、日本の平均月収より低い傾向です。
給与アップをめざすには、経験やスキルアップが重要になるでしょう。
登録販売者になるには?
登録販売者になるには、登録販売者試験での合格が必須です。
この資格試験の受験資格と登録販売者として働くための要件を見ていきます。
資格試験に合格する
登録販売者になるには、各都道府県で実施される資格試験を受けて合格しなければなりません。
以前は学歴や実務経験がないと受験できなかったのですが、現在は誰でも受けられます。
登録販売者の試験勉強としては、養成学校や通信講座を利用する方法と独学が考えられます。
登録販売者の試験内容や勉強方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>登録販売者資格の難易度は?都道府県別合格率までわかりやすく解説
>>登録販売者は独学でも受かる!合格するための勉強法やコツ・必要な勉強時間を解説
合格後は販売従事登録をする
実は、登録販売者に合格をしただけでは登録販売者として勤務できません。
登録販売者として働くには、試験合格後に販売従事登録をする必要があります。
登録販売者試験を受験するのに実務経験は必要ありませんが、登録販売者として働くには2年以上の実務経験が必須です。
実務経験を証明するものとして、実務従事証明書または業務従事証明書と勤務状況報告書を勤務先の都道府県に提出します。
すでに十分な実務経験を持っている場合は、すぐに販売従事登録を行えます。
実務経験がない場合は、一般の販売員としてドラッグストアなどで実務経験を積みましょう。
登録販売者試験の合格後に行う申請の流れを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>登録販売者試験の合格後の手続きとは?流れや申請書類について
登録販売者について正しい知識を身につけよう
登録販売者は第2類・第3類医薬品を販売できる資格であり、その資格を持っている人自体を指す場合もあります。
登録販売者は薬剤師ではありませんが、一般用医薬品の9割を販売できる専門職であり、エッセンシャルワーカーとして注目されています。
この記事では登録販売者の資格や仕事内容、勤務先など、基本的なことを紹介しました。
登録販売者になるには資格試験に合格することが必須です。
ぜひ正しい知識を身につけ、登録販売者をめざしてみてはいかがでしょうか。