
本記事では、登録販売者の業務内容や販売できるものについて解説します。
実際に働く様子をイメージしやすいよう、ドラッグストアやスーパーなどの就職先ごとに、1日の過ごし方と仕事内容も併せて見ていきましょう。
登録販売者の資格を取りたいと考えている人の参考になれば幸いです。
目次
登録販売者の仕事内容
登録販売者の仕事は、第2類医薬品・第3類医薬品の販売と、販売にともなうお客様への情報提供、および相談を受けた際の対応です。
また、ドラッグストアやスーパーなど、医薬品以外の商品を取り扱っている店舗に勤務する場合は、商品発注や品出しなどの管理も業務の一環になります。
登録販売者が販売できるものは?取り扱える薬品の種類
医薬品には、医師か歯科医によって使用または処方される医療医薬品と、一般の人がドラッグストアなどで自分で購入できる一般用医薬品の2種類があります。
さらに一般用医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品の3つに区分されています。
このうち、登録販売者が取り扱うものは、第2類医薬品と第3類医薬品です。
医薬品区分 | 医薬品定義とお客様への説明・対応義務 | 販売可能な資格 |
第1類医薬品 | 一般医薬品としての使用経験が少なく、副作用などで安全性上、特に注意を要する成分を含むもの。 ・お客様への説明義務、書面での情報提供義務、相談への対応義務あり。 |
薬剤師 |
第2類医薬品 | 副作用などで安全性上、注意を要するもので、まれに入院相当以上の健康被害が生じるおそれがある成分を含むもの。 ・お客様への説明の努力義務、相談への対応義務あり。 |
薬剤師、登録販売者 |
第3類医薬品 | 日常生活に支障があるほどではないが、身体に不調が現れるおそれがあるもの。 ・お客様への説明義務なし。相談への対応義務あり。 |
薬剤師、登録販売者 |
薬剤師のみが販売できる第1類医薬品は、副作用や飲み合わせで特に注意が必要な医薬品です。
しかし、1万種類以上ある一般医薬品のうち、第1類医薬品の数は1割にも届きません。
そのため登録販売者は、市販されている薬のほとんどを販売することが可能です。
登録販売者の主な就職先と業務内容
医薬品の販売緩和により、ドラッグストア以外にも医薬品を扱う小売店や企業が増えました。
緩和にともない、登録販売者の働く場所も多くなっています。
登録販売者の仕事は医薬品の販売がメインですが、就職先によって業務内容はさまざまです。
各職場での働いているイメージができるよう、就職先別の仕事内容を詳しく紹介します。
医薬品を販売するドラッグストア
種類豊富な一般医薬品を取り扱うドラッグストアでは、薬剤師しか販売できない第1類医薬品も取り扱われています。
しかし、薬の種類や相談に来るお客様も多く、薬剤師のみでは対応できない現状があるため、登録販売者は薬剤師が行う調剤を補助する人材として重宝されています。
ドラッグストアの業務内容・働き方
ドラッグストアで働く登録販売者は、医薬品の販売が主な業務です。
販売する際、お客様の相談に乗り、薬を選ぶうえでのアドバイスをします。
また、多くの場合は商品の在庫管理や品出し、レジ打ちなども行います。
その他にも、店内のレイアウトを見やすくするために、POPや店舗ごとのイベント告知なども業務に含まれるでしょう。
ドラッグストアは店舗の数も多く、求人数が多いことも特徴です。
雇用形態は、正社員からパート・アルバイトまでさまざまです。
ドラッグストアに勤務する登録販売者の1日
ドラッグストアに勤務する登録販売者の1日の流れを紹介します。
時間 | 業務内容 |
8:50 | 【出勤】タイムカードを押して制服に着替えます。 |
9:00 | 【開店準備】レジ開けや釣り銭の準備、清掃や品出しなどがあります。 |
9:45 | 【朝礼】朝礼。簡単なミーティングのあと、お客様への声出し練習をします。 |
10:00 | 【開店】接客と同時に品出しや発注業務、レジ業務などをします。 |
12:30 | 【休憩】スタッフは交代に休憩に入るため、開始時間は日によります。 |
13:30 | 【接客】午前と同様に接客や、発注業務をします。 |
16:30 | 【事務作業】事務業務。売り場から事務所に入り、業務日誌を書いたり、遅番スタッフへの引き継ぎをしたりします。 |
17:00 | 【退勤】タイムカードを切り、着替えて退勤します。 |
調剤薬局・漢方薬局
調剤薬局や漢方薬局も、登録販売者のニーズが高い職場です。
薬剤師が勤めているイメージが強い調剤薬局や漢方薬局ですが、第2類・第3類の一般医薬品を取り扱う店舗も多いため、登録販売者にも活躍の場は充分にあります。
調剤薬局・漢方薬局の業務内容・働き方
調剤薬局での業務内容は、処方せんの受付や調剤補助、レセプト入力など調剤薬局事務の業務がメインとなることが多いです。
事務作業をしながら、調剤薬局内にある一般医薬品(第2類、第3類)の販売や、医薬品を購入するお客様へのアドバイスを行います。
漢方薬局では、漢方カウンセラーとして働くケースが多いようです。
お客様の体調や生活習慣などを詳しく聞いて、ふさわしい漢方薬のセレクトなどのアドバイスをします。
カウンセリングはお客様によって約1時間におよぶ場合もあり、お客様と、ゆっくり関わりたい人におすすめです。
雇用形態は、正社員やパート・アルバイトなどがあります。
調剤薬局・漢方薬局に勤務する登録販売者の1日
調剤薬局に勤務する登録販売者の1日の流れを紹介します。
時間 | 業務内容 |
8:50 | 【出勤】出勤。タイムカードを押して、白衣に着替えます。局内の掃除をします。 |
9:00 | 【開店】隣接するクリニックが9時開院のため、開院時間に合わせて開店します。開店してすぐは来客が少ないため、昨日の日報などその他の業務をします。 |
10:00 | 【接客】混む時間です。レセプトを処方せんに応じて入力していきます。受付や接客なども臨機応変に行います。 |
11:30 | 【薬剤師サポート】薬剤師が調剤に忙しそうなときは、調剤補助や会計のサポートなどに入ります。 |
12:30 | 【休憩】来客がいったん落ち着いた時間に、スタッフは交代でお昼休憩に入ります。 |
13:30 | 【事務業務】午後の診察時間までは来客が少ないため、その間に資料の作成や整理、医薬品の在庫補充などをします。 |
16:00 | 【接客】午後の診察が始まり、お客様が増えます。午前と同様に受付やレセプト入力をします。 |
18:30 | 【業務】翌日の納品確認やメールチェックなどをします。 |
19:00 | 【退勤】タイムカードを押して、着替えて帰ります。 |
スーパー・ホームセンター
スーパーやホームセンターにも、店舗販売業の許可を得ている店舗であれば、店舗内の一区画で医薬品を販売できるため、登録販売者の求人があります。
スーパー・ホームセンターの業務内容・働き方
登録販売者としてスーパーやホームセンターに勤める場合は、店舗内に設けられた医薬品コーナーの専任で働きます。
主な業務内容は医薬品の販売です。
必要に応じてお客様の相談に乗り、薬を選ぶうえでのアドバイスも行います。
医薬品コーナーの専任になるため、ドラッグストアのように他の商品管理が少なく、医薬品に集中できる環境です。
少人数でお客様へのアドバイスからレジ業務まで対応するため、業務が重なると一時的に忙しくなってしまう場合もあります。
また、ホームセンター内にペットショップを併設する店舗もあるため、動物の医薬品を扱うケースもあります。
雇用形態は、正社員やパート・アルバイトなどです。
正社員の場合はコーナーの責任者になることを求められ、求人に応募する際に実務経験が求められる場合があります。
スーパーやホームセンターに勤務する登録販売者の1日
スーパーやホームセンターで働く登録販売者の1日の流れを紹介します。
時間 | 業務内容 |
8:50 | 【出勤】タイムカードを押して制服に着替えます。 |
9:00 | 【開店準備】医薬品売り場の準備をします。専用のレジ開けや釣り銭金管理、品出しなどを行います。 |
9:50 | 【朝礼】店舗全体の朝礼に参加します。そのあと、医薬品売り場内のミーティングをします。 |
10:00 | 【開店】接客と同時に、品出しや発注作業をします。 |
12:30 | 【休憩】スタッフが交代で休憩を取ります。登録販売者が一人しかいない場合は、休憩中でも接客を求められることもあります。 |
13:30 | 【接客や業務】接客以外にも、売り場のメンテナンスや、在庫管理や発注など付随する業務も行います。 |
18:30 | 【退勤】遅番へ引き継ぎ後、タイムカードを押して退勤します。 |
登録販売者の見落としがちな就職先と仕事内容
登録販売者が活躍できる現場は、ドラッグストアやスーパーなどの小売店だけではありません。
ここでは、製薬会社とエステサロンでの、登録販売者の仕事内容を解説します。
製薬会社
製薬会社でも、登録販売者の資格を活かして働くことが可能です。
例えば、常備薬を置いているご家庭や企業のもとを尋ねるルート営業では、登録販売者としてお客様からの相談に答える場面があります。
その他、MR職(医薬情報担当者)や事務職であっても、医薬品はもちろん、医師や薬剤師と関わる機会があり、登録販売者としてのスキルを活かせるでしょう。
エステサロン
エステサロンでも、店舗によっては一般医薬品を取り扱っています。
なかには、漢方エステサロンのような一般医薬品の販売をメインとしたサロンもあり、登録販売者の活躍の場も充分にあります。
エステティシャンとしての施術技術に加えて、登録販売者のスキルも併せて持っていると、お客様の悩みにより的確にアドバイスができるでしょう。
その他、登録販売者を活かせる仕事
2021年8月、薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令が改正され、医薬品販売における2分の1ルールが撤廃されました。
2分の1ルールとは、医薬品を取り扱う店舗に対し、営業時間の2分の1以上の時間、薬剤師か登録販売者の常駐を義務付けるというものです。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
この2分の1ルールが廃止されたことで、店舗は以前よりも医薬品の販売をしやすくなりました。
コンビニやスーパー、ホームセンター、大型ショッピングセンターなどでも、医薬品を販売する店舗が増えてきています。
今後も、医薬品の販売をする店舗は増えることが予想されるため、登録販売者の活躍の場はさらに広がるでしょう。
登録販売者の仕事内容は職場によって大きく異なる
今回は、登録販売者が販売できる医薬品や、就職先別の業務内容を詳しく解説しました。
登録販売者には、ドラッグストア以外にもさまざまな活躍の場があります。
多岐にわたる選択肢の中から、自分に合う仕事や働き方を選べることは、登録販売者を目指すうえでの大きな魅力です。
登録販売者として働きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。