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チーム医療とは|チーム医療の重要性・必要性についてわかりやすく解説

医療従事者であれば、「チーム医療」という単語を聞いたことは数多くあるでしょう。
現代の日本では、チーム医療の推進・充実が図られており、医療と切り離せない重要なキーワードになっています。

実際に「チーム医療」が進むと、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
「チーム医療」とは具体的にどのようなものなのかも合わせて、わかりやすく解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。

チーム医療とは

チーム医療とは

チーム医療は、複数のメディカルスタッフが協力・協働し、患者さんに最大限の治療やケアを行うことです。
今までのパターナリズムとは違っており、多職種それぞれが専門性を持ち寄り、医療の充実化・多方面からのケアを行っていきます。

チーム医療とは複数のメディカルメンバーが一丸となり治療やケアを行うこと

チーム医療とは、医師をはじめとする複数のメディカルメンバーが連携し、治療やケアにあたることです。
病院では、医師や看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなど、多職種のスタッフが働いています。

チーム医療はそのメンバーから構成され、連携しながら、患者さんに対してそれぞれ適切な医療を提供していきます。
チーム医療では、スタッフが個々に働くのではなく、それぞれの専門職の特性を最大限に発揮し、高い技術を合わせて適切な医療を提供することが重要です。

チーム医療導入前のパターナリズム

現在はこうしてチーム医療が導入されていますが、以前の医療現場では医師を頂点としたパターナリズム(家父長主義)が当たり前でした。

医療業界におけるパターナリズムとは、医師がすべての中心であり、看護師や薬剤師などその他のコメディカルスタッフは、医師の補助的役割として存在するというものです。

しかし、このように医師の権力が強すぎる体制では、看護師や管理栄養士、薬剤師などの専門性を高めることは難しくなります。
また、医師の権力が強く医師の情報量や知識が多いと、患者さん自身にも「患者<医師」という潜在的意識が生まれて「先生のおっしゃるとおりに」と、自分の意見を主張するのが難しくなる傾向もありました。

パターナリズム下では、患者さん自身もインフォームドコンセントを求める余裕がなくなってしまうことから、チーム医療が重要視されてきたのです。

チーム医療開始の背景

近年、高齢化にともない、医療ニーズそのものが高まっています。
また、医療の質や安全性の向上が求められ、その高度化・複雑化にともなって医療者の業務は増大しています。
さらに、患者さん自身が必要な治療・ケアを選択すべきという風潮も広がる傾向です。

そうした背景から、さまざまなメディカルスタッフがそれぞれの専門性を活かして患者さんにあたることで、業務を分担しながら連携・補完することが求められるようになりました。
治療・ケアの内容や目的、患者さんの反応などの情報を多職種で共有し、より良い医療の提供へとつなげることこそ、チーム医療のめざすところなのです。

厚生労働省では、平成21年8月より「チーム医療の推進に関する検討会」を開催しています。
平成22年3月に報告書を提出したうえで、医療スタッフが実施できる業務内容について整理しました。
興味のある方はぜひ一度、厚生労働省のホームページを参照してください。

チーム医療の有効性

チーム医療では、患者さんに対し総合的かつ多方面から、治療やケアを行うことができます。
患者さんへの有効性に加え、医療スタッフにとっても、それぞれの専門性を活かすことができ、業務分担も行えるなど有効です。

チーム医療の役割

患者さん個人により、病気や症状など、抱えるものはまったく違います。

例えば、心臓の手術を控え「手術が不安だ。死んでしまったらどうしよう」と考える患者さんには、治療だけではなく精神的なケアも必要です。
また、「手術のあとは歩けるのだろうか」と感じたときは、リハビリスタッフの早期介入や、退院後の生活を見据えた社会福祉士の介入なども求められるでしょう。

このように、入院や手術などの治療を受けるなかで、患者さんが抱える悩みは一つではありません。

チーム医療で、多職種が連携して情報共有や話し合いをすることで、総合的かつ多角的なサポートを提供できます。
多岐にわたる患者さんの不安や悩みをカバーし、安心・安全な治療やケアを提供できるのです。

チーム医療のメリット

チーム医療を行うことで、患者さんは自分に合った治療を受けられるだけではなく、入院中のケア、リハビリ、退院後の生活や医療費など、さまざまな不安に対して多方面からのカバーを受けられます。
そのため、不安なく安全に入院生活を送ることができるでしょう。

また、メディカルスタッフも、自分たちの専門性を活かして得意分野に取り組めるため、医療の効率化や標準化を行えます。
それぞれの役割が重要視されることで、やりがいにもつながるでしょう。

加えて、一人の視点ではなく多くの視点を通すことで、さまざまな気付きを得ることも可能です。

チーム医療のデメリット

チーム医療には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

チーム医療では、話し合いや情報共有を密接に行う必要があるため、チームワークを良好に維持することが欠かせません。
医療スタッフ個々の能力を向上させることはもちろん、情報伝達をどのように行うのかのシステムづくり、充分な教育体制・システムの構築等が課題となっています。

また、多職種で連携して患者さんに関わるものの、一部の職種だけ業務量が増えてしまうなど、チーム内での業務量の均一化も問題点となっているのが現状です。

チーム医療で大切なこと

上記でも触れたとおり、チーム医療において情報共有はとても重要です。
加えて、患者さんサイドからもどのように治療に向き合いたいのか、どのようなケアを受けたいのかなどの発信があってこそ、チーム医療は意味のあるものになります。

チーム医療では情報共有が重要

上記でも触れましたが、チーム医療では情報共有がとても重要です。

患者さんの病態はもちろん、心情の変化など気持ちの部分にも目を向け、望む方向に進められるようにチームで関わっていく必要があります。
チーム内での情報共有が大変重要ではありますが、患者さんのプライバシー・尊厳に関わる情報もあるため、情報漏洩には十分な注意が求められます。

安易に不必要な情報を共有してしまったり、プライバシーに配慮しないやり方を通したりすると、患者さん自身を傷つけてしまう可能性があるため、メディカルスタッフ全員で注意をしましょう。

患者さん自身の積極性も求められる

チーム医療では患者さんが中心にあり、患者さん自身がどうしたいのか、どのような医療を欲しているのかなど、患者さんの思いが必要不可欠です。

そのため、医師やコメディカルスタッフには、患者さんの思いを引き出せるような関わり方をすることが求められます。

手術や治療に対し、万一患者さん自身が不安になっているのであれば、十分な医療説明を行っているのかを確認し、まだ実施されていなければ説明の場をあらためて設けるなど、機会を積極的に作り出していくこともチーム医療には必要な力になります。

近年のチーム医療

チーム医療は、多種多様に広がってきています。

NST(栄養サポートチーム)は、他職種が連携して栄養状態に問題がある患者さんに適切な栄養管理を行い、全身状態の改善をめざすものです。
医師や管理栄養士はもちろん、看護師やリハビリテーションスタッフなどのメディカルスタッフが協力し、病棟を回診するなどして、患者さんのケアや治療について話し合いを行います。

また、心不全チームは、心不全に特化したチームです。
退院後も入退院を繰り返さず、本人の望んだ療養生活を送れるように多職種でカンファレンスを行い、患者さんに還元していきます。

このようにさまざまなチーム医療が発達している今、より良い治療と最大限のケアを行えるよう、日々医療チームは進んでいるのです。

チーム医療を理解して、有効に機能するよう業務に臨もう

チーム医療は、現代の医療において重要な役割を担っています。
チーム医療では、複数のメディカルスタッフがそれぞれの専門性を活かし、患者さんにとって総合的かつ多角的に治療やケアを行います。

メディカルスタッフにとっても、各々の技術や知識を最大限に発揮でき、業務分担を行えるため、メリットが大きいといえるでしょう。

チーム医療をしっかりと理解して、有効的に機能できるよう日々の業務に臨みましょう。

執筆者について

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