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特別養護老人ホームを徹底解説・入居の条件や手続きを紹介

特別養護老人ホームは、民間の企業や団体が経営している有料老人ホームとは違う、公的な介護施設です。
公的な施設であるため、誰でも入居できるというわけではなく、入居のための条件が明確に定められています。

また、施設の部屋割りの形態も決められたものの中から用意されています。
今回は特別養護老人ホームの概要から、施設形態・利用までに理解しておきたいポイントについてご紹介していきます。

特別養護老人ホームの概要

特別養護老人ホームの概要

特別養護老人ホームとは、 老人保護法・第二十条の五によって法的に定められている公的な介護保険施設です。
まずは特別養護老人ホームの概要について、以下の3点から解説していきます。

  • どのような施設であるか
  • 入所条件と入所までの流れ
  • 費用

低価格で長期的に入所できる施設

特別養護老人ホームは、公的な介護保険施設であるため、民間が運営している老人ホームと比較して利用料金が低く設定されています。

特別養護老人ホームに入所することができた場合、原則終身介護を受けることが可能です。
必要とされる介護の質が変わっても転所することなく、最後の棲家として長期的に利用していくことができます。

入所条件と入所までの流れ

特別養護老人ホームの入所条件は2021年8月27日、厚生労働省の社保審-介護給付分科会で示された資料によると、以下のように定められています。

  • 要介護3以上で65歳以上の高齢者
  • 特定疾病が認められた要介護3以上の40〜60歳までの人
  • 特例条件に当てはまる要介護1〜2の人

ただし、条件を満たしていたとしても、夜間の医療行為など24時間ケアが必要な方は入所対象から外れる場合があります。

また、認知症の進行が進んでいる、感染症のリスクがあり集団生活が難しいといった場合も入所を断られる可能性があります。
事前に施設に問い合わせをして入所条件を確認するようにしておきましょう。

費用

特別養護老人ホームは公的な介護保険施設と位置付けられているため、民間の老人ホームと比較して費用が安くなっています。
費用が安くなる1つの理由は、民間の施設に設けられている初期費用(入居一時金)が必要ないからです。

特別養護老人ホームの費用は、以下の4項目から構成されています。

  • 施設サービス費
  • 居住費
  • 食費
  • 日常生活費

4項目を合わせた月額費用は10万〜15万円が相場になっています。
月額費用は居室のタイプや必要となる医療サービスによって変動しますが、年金だけでもまかなうことができる価格帯です。

特別養護老人ホームの施設形態

特別養護老人ホームの施設形態
特別養護老人ホームについて調べているとユニットという言葉を見かけます。
ユニットとは施設における生活単位のことを表しています。
次に特別養護老人ホームの施設形態について、代表的な4つの形態をとりあげ、整理していきましょう。

①多床室

1つめの形態は多床室と呼ばれている形態です。
1つの大部屋に2〜4人分のベッドや家具を配置しています。
それぞれの部屋はカーテンやパーテーションなどの可動式の仕切りで区切られていることが多いです。

複数人で1部屋を利用するため、個々人のプライバシーが守られにくいといった側面を持っています。

最近では、プライバシーをより重視するために12人以下を1つの生活単位、ユニットととらえてベッドや共有スペースを配置した準ユニットケア加算と呼ばれる形態もあります。

②従来型個室

2つめの形態は従来型個室です。
従来型個室は一人1部屋が与えられる一般的な個室タイプになります。
多床室とは異なり、完全に個人の空間が守られているため、より一人の時間を大切にしたい方やこだわりがある方は従来型個室の施設を選ぶようにしましょう。

以前は個室と単純に呼ばれていましたが、のちほどご紹介するユニット型個室という形態が生まれてからは従来型個室と呼ぶようになりました。

③ユニット型個室的多床室

3つめの形態はユニット型個室的多床室です。
施設によってはユニット型準個室と呼んでいるところもあるかもしれません。
ユニット型個室的多床室の大きな特徴は、1つの多床室をベッドごとにパーテーションなどで区切りを作っている点です。

個室と比べると、音などが気になるかもしれませんが、多床室よりは一人一人のプライバシーは守られています。
また、ユニット型個室的多床室には、それぞれの部屋からいくことのできる共有スペースがあり、共同生活を送るような雰囲気を感じることができます。

④ユニット型個室

4つめの形態はユニット型個室です。
詳しくみていきましょう。

ユニット型とは?

ユニット型個室はユニット型個室的多床室で設けられていた共有スペースがあり、なおかつ一人1部屋が与えられている形態です。

ユニット型のメリット

完全に守られたプライベート空間に加え、簡易的なキッチンやダイニングルームを自由に使うことができるため、自宅にいたときと同じような感覚で生活を送ることができます。

また、個室にわかれていることもあり、一人一人に寄り添った介護サービスが提供されるため、利用者やご家族も安心しやすい体制が整っています。

特別養護老人ホームに関する3つのQ&A

特別養護老人ホームに関する3つのQ&A
特別養護老人ホームの概要と施設の形態について、基本となる部分の理解は進んだのではないでしょうか。
最後に特別養護老人ホームを利用する前によくある、3つの疑問について解説していきます。

利用前に可能な限り疑問点や不安点をなくし、準備を進めていきましょう。

入所までの待機期間は?

特別養護老人ホームに申し込んでから、入所までにかかる待機期間は、施設や自治体によってまちまちですが、1ヵ月以上3ヵ月未満の施設が多い傾向にあります。

2012年厚生労働省が発表した調査研究資料によると、特別養護老人ホームへの入所を希望している人数は42.1万人とされています。

しかし、2015年介護保険制度が改正され、基本となる入所条件が要介護3に変更されたことを受け、入居希望者は減少傾向にあるとされているため、今後入居までの待機期間は短くなると予想されています。

看取り対応までしてもらえるのか

近年では、看取り対応にまで取り組んでいる特別養護老人ホームが増えてきています。
本人、ご家族と協議を重ね、同意が得られた場合には施設側も通常職員に加え、医師や介護職員を調整し、施設で最後を迎えるための準備を進めていきます。

2021年に厚生労働省が発表した資料では、特別養護老人ホームへの看取り対応のニーズは高まっており、看取り体制を整えることの重要性を指摘しています。
2018年には介護報酬の改定も行われたため、今後も看取り対応が可能となる施設は徐々に増えていくことが予想されます。

有料老人ホームとの違いは?

特別養護老人ホームと民間の有料老人ホームとの大きな違いは、経営母体にあります。

特別養護老人ホームは、法律上公的な施設として扱われています。
行政が経営しているため、利益を追求していません。
そのため、施設費用が安く、利用に際して負担を少なくすることができます。

一方有料老人ホームは民間の企業や団体が経営しているため、利益を無視することはできません。
経営母体がつぶれないための財政基盤を維持するため、施設費用は特別養護老人ホームと比較すると高い水準になっています。

特別養護老人ホームは期間の定めなく入所できる施設

特別養護老人ホームは公的な介護施設として定められているため、入居することができれば民間の老人ホームと比較して施設費用を抑えて利用していくことができます。

また、特別養護老人ホームには基本的に入所期間に対する定めはありません。
近年の利用者のニーズも相まって、看取り対応を行っている施設も増えてきています。
1度入所できれば、終の棲家として最後の日まで安心して利用できるのも大きな魅力の1つです。

執筆者について

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