
ケアマネジャーは、独立開業して居宅介護支援事業所を開設できます。
独立した場合は、自分で利用者さんを獲得する必要があるため、営業が必要です。
しかし、営業方法や営業先がわからず、困っている方も多いでしょう。
そこでこの記事では、ケアマネジャーの営業先や営業方法を紹介しています。
独立開業しようと考えている方や、開業後にうまく顧客獲得ができないと悩んでいる方は参考にしてください。
目次
ケアマネジャーの営業は独立開業者にとって大切
ケアマネジャーの働き方には、次の2パターンがあります。
- 介護施設や居宅介護支援事業所に雇用される
- 法人を立ち上げ独立開業する
上記のうち、独立開業するパターンでは、利用者さんを獲得するために営業が必要です。
開業時に利用者さんが居ない状況を避けるため、開業前から営業先に足を運んだり、電話でコンタクトを取ったりして、営業していきましょう。
独立開業すると雇用時よりも収入アップが見込めますが、利用者数が十分でなければ、独立前よりも収入が減るおそれもあります。
そのため、定期的な営業を行い、安定した利用者数をキープするのが大事です。
ケアマネジャーの仕事内容については、以下の記事もあわせてご覧ください。

ケアマネジャーの営業先
ケアマネジャーの営業先は以下の3つです。
- 地域包括支援センター
- 病院の地域・医療連携室
- 市区町村の介護保険担当
地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口は、介護を受けたい方の相談窓口になっており、居宅介護支援事業所へ利用者さんの紹介をします。
病院の地域・医療連携室は、ケガや病気の治療が終わり、退院する患者さんやご家族に対して、ケアマネジャーの紹介を行います。
そのため、上記3ヵ所で営業を行うのが顧客獲得に効果的です。
ただし、各営業先に足を運び、顔合わせをして挨拶するだけでは、効果的な営業とはいえません。
事業所の強みや特徴をしっかりとアピールし、担当者の方に覚えてもらいましょう。
次項で営業方法を準備段階から順番に紹介しているので参考にしてください。
ケアマネジャーの営業方法
ケアマネジャーの営業方法は以下のとおりです。
- 自分の事業所の強みや特徴を把握する
- 営業先で担当者へアピールするツールを用意する
- 営業先一覧を作成し情報をまとめる
- 営業先を訪問し顔合わせを行う
- 地域の交流会に足を運び関係性の構築を図る
順番に解説していきます。
自分の事業所の強みや特徴を把握する
営業の際には、自分の事業所の強み、なかでも他の事業所との差別化点をはっきり伝えることが大切です。
強みや特徴を効果的にアピールできれば、営業先の担当者が紹介する利用者像をイメージしやすくなります。
例えば、事業所の強みは「対応スピードが早い」と伝えると、急いでケアマネジャーと連絡が取りたいと相談に来た利用者さんを紹介しやすくなります。
ただし、できないことを強みや特徴としてアピールすると、紹介してもらった利用者さんの不満や苦情のもとになり、担当者の信頼を損なうため、紹介される件数が減ってしまうでしょう。
強みや特徴を考える際は、実現可能な内容にしてください。
営業先で担当者へアピールするツールを用意する
営業先の担当者に渡す営業グッズを作ります。
おすすめの営業グッズは以下のとおりです。
- 名刺
- 封筒
- ボールペン
- カレンダー
- クリアファイル
- チラシ
- ホームページ
なかでも名刺は、自分の名前や連絡先、事業所の名前を覚えてもらうために必須です。
封筒やボールペン、カレンダーには、事業所の名前を入れると覚えてもらいやすくなるでしょう。
チラシには事業所の強みや特徴を活かした事例を入れると、担当者が利用者さんに説明する際に紹介しやすくなるのでおすすめです。
また、ホームページを作っておくと、利用者さん本人やご家族が、事業所について知りたいときと思ったとき、いつでも情報を調べることができます。
作成しておくと契約数アップにつながるので、可能であれば開設しておきましょう。
営業先一覧を作成し情報をまとめる
営業グッズが完成したら、営業先の一覧を作成します。
一覧表を作り、各営業先ごとの情報をまとめておくと、後日確認する際に便利です。
営業先一覧の例を以下に紹介します。
営業先 | 担当者名 | 連絡先 | 連絡方法 | 実績 | 最終訪問 |
---|---|---|---|---|---|
地域包括支援センター〇〇 | A氏 | 〇〇-〇〇〇〇 | 電話 | 4件 | 2023/7 |
〇〇病院医療連携室 | B氏 | 〇〇-〇〇〇〇 | メール | なし | 2023/10 |
〇〇市役所 | C氏 | 〇〇-〇〇〇〇 | 電話とメール | 1件 | 2023/9 |
上表のように各営業先ごとに情報をまとめておくと、どこに注力するべきなのか、次はどこに行くべきなのかといったことを判断しやすいです。
営業先を訪問し顔合わせを行う
営業先の一覧ができたら、実際に訪問して顔合わせを行います。
営業先が多いと、一軒一軒回るのは大変と思うかもしれませんが、電話やポスティングだけで済ますのはおすすめできません。
実際に訪問し顔を合わせることで、以下のメリットが得られるからです。
- 単純接触効果による好感度上昇
- 担当者との会話中の様子を観察でき困っている内容に気付ける
営業する際は、必ず一度は担当者と顔を合わせ、事業所の名前と自分の顔を覚えてもらえるようにしましょう。
地域の交流会に足を運び関係性の構築を図る
地域包括支援センターでは介護に関わるセミナーや勉強会、イベントを行っています。
営業で訪問する以外にも、セミナーや勉強会に出席し、担当者との関係性の構築を図る方法もあります。
訪問営業では、自分の事業所を売り込むため、緊張してうまく話せない方もいるでしょう。しかし、交流会であれば肩の力も抜け気楽に会話ができるため、良いイメージを残せます。
営業以外でも積極的に交流会に参加していれば、担当者の方も顔と名前を覚えてくれるでしょう。
ケアマネジャーの営業で失敗しないコツ
ケアマネジャーの営業で失敗しないコツは、以下の2つです。
- 公正中立な立場での営業を心がける
- 7つの禁止行為を守り業務・営業を行う
順番に説明します。
公正中立な立場での営業を心がける
厚生労働省から各都道府県にあてられた「地域包括支援センターの設置運営について」には以下の記載があり、居宅介護支援事業所について公正中立な立場を求められています。
包括的支援事業の委託を受けることができる者は、包括的支援事業を適切、公正、中立かつ効率的に実施することができる法人
地域包括支援センターや病院の医療連携室に営業に行く際は、営業先の利益になるような金品や物品を渡すのはやめましょう。
公正中立な立場ではないとみなされる可能性があります。
営業先に渡すのは、チラシやクリアファイル、ボールペンなど利益供与とみなされない物にしましょう。
7つの禁止行為を守り業務・営業を行う
厚生労働省より、居宅介護支援事業所に向けて7つの禁止行為が具体的に発表されています。
内容は、ケアマネジャーの業務内容や営業に関わる項目となっており、以下のとおりです。
- 利用者さん宅に要介護認定調査と勘違いさせるような営業や訪問をしてはいけない
- ケアマネジャーから利用者さんに要介護認定の申請代行を申し出てはいけない
- ケアプラン作成の予約を受けてはいけない
- 利用者さんが選択する前にケアマネジャーが居宅サービスの予約をしてはいけない
- ケアマネジャーが所属する系列の事業者や指定の居宅サービスの広告や勧誘をしてはいけない
- 居宅介護支援事業者の利用者さんに対して要介護認定調査時にケアプラン作成を目的とした評価・分析をしてはいけない要介護認定の申し込み者に対して営業活動をしてはいけない
仮に禁止行為とも取れるふるまいをしていると悪いうわさが流れ、新規の利用者さんを獲得できない状態になるかもしれません。
禁止行為を守ったふるまいを心がけましょう。
独立したケアマネジャーの営業は安定した収入を得るために必要不可欠
ケアマネジャーが独立開業する場合は、利用者さんを獲得するための営業が必要です。
主な営業先としては、以下の3ヵ所が挙げられます。
- 地域包括支援センター
- 病院の地域・医療連携室
- 市区町村の介護保険担当
営業に行く際は、事業所の強みや特徴を把握し、担当者に伝えられるように準備して訪問しましょう。
本記事で紹介した営業方法やコツを理解し、利用者さんを増やしましょう。