
社会福祉士をめざして就職・転職活動などを行う際、志望動機をどのように作成すべきか悩む方は多いかもしれません。
志望動機の軸となるのは、「なぜ社会福祉士になりたいのか」という自分の意志です。
しかし、社会人経験が十分ではなかったり、ブランクがあったり、あるいは前職と違う分野に転職する場合などは、働きたい理由をうまく言語化できないこともあるでしょう。
本記事では、社会福祉士をめざす理由の具体例を施設別・キャリア別に紹介します。
どのような理由で社会福祉士をめざす方がいるのかを知ったうえで、自分の気持ちを見つめ直し、言語化するために役立ててみてください。
目次
社会福祉士をめざす理由とは?
社会福祉士をめざす理由は人それぞれですが、志望動機を書く場合には、応募する施設の分野やこれまでのキャリアによって、アピールの方向性が違ってきます。
国家資格である社会福祉士は、福祉施設だけでなく介護施設、医療施設などさまざまな場所が就業先になるでしょう。
これらの就業先ごとで求められる人材像は異なるほか、介護・福祉施設での就業経験がある方とまったく経験がない方では、社会福祉士をめざすに至った過程も異なるものです。
前職の就業先・キャリアの異なる方々が社会福祉士をめざした理由を考えることは、自分の気持ちやキャリアプランを明確にするために役立ちます。
キャリアプランが定まれば、志望動機を考えやすくなるだけでなく、社会福祉士としてのモチベーションにもつながるでしょう。
施設別|社会福祉士をめざす理由の例
社会福祉士の主な就業先には、次の3つが挙げられます。
- 介護施設
- 医療施設
- 福祉施設
就業先ごとの特徴や仕事内容を理解したうえで、自分が社会福祉士をめざす理由とどのように関連付けられるかを考えてみましょう。
介護施設
高齢者福祉施設やデイサービスなどの介護施設で働く社会福祉士のなかには、ご家族に介護が必要になったときに、社会福祉士に支えられたという方もいます。
この場合、当時印象に残った社会福祉士の行動・発言があれば、具体的なエピソードとして志望動機に書くと説得力が増します。
また、すでに介護施設で介護職に従事していた経験がある方だと、キャリアアップのために国家資格である社会福祉士をめざす場合もあるでしょう。
介護職の経験を通して感じたこと・学んだことをベースに、なぜ介護職から社会福祉士をめざそうと思ったのかを言語化すると、キャリアプランが明確になります。
医療施設
医療施設で働く社会福祉士は、「医療ソーシャルワーカー」と呼ばれています。
医療ソーシャルワーカーの役割は、病院やクリニック、リハビリ施設などの医療施設で患者さんやご家族の相談に乗り、経済的・心理的・社会的な問題の解決に向けて調整を行い、社会復帰を支援することです。
医療ソーシャルワーカーをめざす理由には、自分自身や身近な方の入院を経験するなかで、社会福祉士の相談・支援によって助けられたことなどが考えられます。
あるいは、ボランティア活動で医療ソーシャルワーカーと関わり、患者さんとそのご家族を包括的にサポートできる仕事を魅力的に感じた方もいるでしょう。
これらの場合、医療ソーシャルワーカーとの関わりを通じて感じたことを志望動機に取り入れると、採用担当者に熱意が伝わりやすくなります。
福祉施設
福祉施設にも種類があり、高齢の方や障害のある方、虐待を受けた児童、経済的に困難な状況にある方など、分野によって社会福祉士の支援対象はさまざまです。
しかし、いずれの支援対象者も日常生活を送ることが難しく、行政や福祉施設、そして社会福祉士をはじめとしたソーシャルワーカーのサポートが必要になります。
福祉施設はより地域に密着している傾向にあり、「地域貢献をしたい」といった理由で社会福祉士をめざす方も珍しくありません。
ただし、あくまでも「社会福祉士としての地域貢献」という視点を忘れないようにしましょう。
施設ならではの取り組みがあればボランティアとして参加し、そこで感じたことを志望動機に書くのもアピールにつながります。
また、ご家族が福祉関係の仕事をしていた、障害のある児童を対象にしたデイサービスでアルバイトをしていたなど、自分にとって社会福祉士が身近だった方もいます。
福祉職として働くご家族を見てどう思ったのか、またはアルバイト先で学んだことを社会福祉士として今後どのように活かすのかを書くと、志望動機に結び付けられるでしょう。
キャリア別|社会福祉士をめざす理由の例
社会福祉士は、すでに一定のキャリアを積んだ転職者・復職者だけでなく、未経験者でも活躍できる仕事です。
ただし、社会福祉士をめざすに至った理由は、キャリアごとでも違ってきます。
未経験
未経験の方が社会福祉士をめざす理由には、次のようなものが考えられます。
- 自分のコミュニケーションスキルを介護業界や福祉業界で活かしたい
- 身近な人が社会福祉士のお世話になり、自分も同じ仕事に就きたいと考えた
- 少子高齢化が進むなか、介護や医療、福祉を必要とする方は今後も増えるだろうと考え、これらの分野において重要な役割を担う社会福祉士になりたいと感じた
- ボランティア活動を通して、人や地域へ貢献できる仕事に興味を持った
転職
社会福祉士への転職を決意する理由には、次のようなものが考えられます。
- それまでは介護施設で働く介護福祉士だったが、前職で培った知識やスキルを活かしてキャリアアップをするため、社会福祉士の資格を取得した
- 福祉用具メーカーで働くなかで、要介護者とより近い距離で仕事をして、生活課題を解決したいと感じた
- 以前の職場は入所者の人数が多く、一人ひとりと向き合う時間が十分に取れなかったため、自分が理想とする働き方を実現できる施設に転職したいと考えた
復職
社会福祉士を一度辞めた方が復職をめざす場合、次のような理由が考えられます。
- ご家族の介護や子育てなど、私生活との兼ね合いで一度は退職したものの、私生活が落ち着いたため再び社会福祉士として働きたい
- 以前は福祉施設で働いていたが、自分自身が子育てを経験して「障害のある子どもをサポートしたい」と思い、障がい児施設で活躍できる社会福祉士をめざしている
- ご家族の転勤などに合わせて引越しをする必要があり前職を辞めたが、やはり社会福祉士の仕事がしたいと思った

社会福祉士をめざす理由を見つめ直し志望動機を考えよう
国家資格である社会福祉士は、さまざまな分野で活躍できるだけでなく、専門性を活かして長く働くことも可能です。
ただし、就職・転職活動にあたって志望動機などを作成する際は、自分が社会福祉士をめざす理由を明確にしなければなりません。
介護施設、医療施設、福祉施設など、就業先によって社会福祉士の支援対象者や働き方は異なるため、就業したい分野もふまえて自分なりの理由を見つけることが大切です。
また、まったくの未経験から社会福祉士をめざしているのか、転職もしくは復職なのかなど、キャリアによっても就業を決めた理由は変わってきます。
就業先とキャリアの2つの観点から自分を掘り下げていくと、社会福祉士をめざす理由を言語化しやすくなるでしょう。
志望動機は一般的に200~400字ほど、応募先によっては800字程度を指定されることもあるため、社会福祉士をめざす理由は自分らしさと具体性が求められます。
本記事で紹介した内容を参考に、自分自身の気持ちを見つめ直し、オリジナリティのある志望動機を作成してみてください。