
助産師はさまざまなキャリアプランを描くことが可能です。
病院で昇進をめざしたり、助産院を開業したり、専門性を高めるために転職したりと、自分の理想とする助産師像に合わせた選択肢があります。
本記事では、助産師のキャリアプランについて詳しく解説するとともに、キャリアアップに役立つ資格についても紹介します。
理想の助産師像を思い描き、そこから逆算してキャリアプランを考えてみましょう。
目次
助産師のキャリアプラン
助産師は、経験を積むことでさまざまなキャリアプランを描くことができます。
自分の理想とする助産師像に合わせて、以下のような選択肢があるのです。
- 病院助産師として昇進する
- 助産院を開業する
- 専門性を高めるため転職する
ここでは、助産師のキャリアプランについて、それぞれ詳しく解説します。
病院助産師として昇進する
病院で働く助産師には、経験を重ねることで昇進するというキャリアプランがあります。
1年目は新人助産師として業務に慣れつつ、3年目までには一人前の助産師として成長できるよう、多くの出産介助経験を積んでいきます。
その後は、新人助産師の指導役であるプリセプターやリーダーも経験することがあるでしょう。
さらに経験を重ねることで、師長などの管理職をめざして昇進することも可能です。
助産院を開業する
助産師は、助産院を開業することもできます。
開業することで、これまでの助産師としての経験を活かし、自らの理念に基づいた妊娠・出産・育児に関する専門ケアを提供できるようになります。
例えば、産後のサポート体制など、自身が必要だと考えたケアを実践することが可能です。
開業には手続きや準備が必要ですが、自分のペースで働けるというメリットもあります。
専門性を高めるため転職する
興味のあるケアができる医療機関に転職し、助産師としての専門性を高めるのもキャリアプランの一つです。
助産師が勤務する医療機関によって、必要とされるケアや業務内容は異なります。
どのような助産師として活躍したいかを考え、そのキャリアプランに合った職場に転職すると良いでしょう。
助産師の主な職場には、病院、助産院、クリニックがあります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
病院
助産師の半数以上が病院で活躍しています。
病院では、正常分娩だけでなく、帝王切開や切迫早産などのハイリスク分娩にも関わることができ、幅広い経験を積むことが可能です。
特に総合周産期医療センターでは、ハイリスクな母体や胎児に対して、高度な医療を提供しています。
NICUやMFICUなどの集中治療室を備えているため、ハイリスクなお産に対する専門性を高めたい助産師におすすめです。
助産院
助産院は産科医ではなく、助産師が運営している出産施設です。経過が順調な正常お産のみを扱い、患者さん一人ひとりに合わせたケアを提供でき、お産を全面的にサポートできるという特徴があります。
妊娠期から子育てまでの長い期間をサポートしたり、母親の希望を尊重した自然分娩やフリースタイル出産など、個人に合わせた柔軟な対応が可能です。
ゆっくりと信頼関係を築きながら寄り添いたい、母親や赤ちゃんが持っている力で自然な出産ができるようサポートしたいと考えている助産師におすすめの職場です。
診療所(クリニック)
診療所は、無床または19床以下の入院施設を持つ医療機関です。
可能な対応は病院と比べて限られますが、経過が順調な正常分娩を中心に、一部軽度な異常分娩も取り扱います。
診療所で働く助産師は、分娩介助や新生児ケア、外来業務など幅広い業務を担当する傾向にあります。
病院の場合は所属する部署によって業務が限定されることもありますが、診療所ではそういったことは少ないでしょう。そのため、妊娠する前から産後・育児といった全般の専門性を高めたい助産師におすすめです。
助産師がキャリアプランの実現をするために役立つスキル・資格
助産師がキャリアプランを実現するためには、さまざまなスキルや資格の取得が役立ちます。
ここでは、助産師のスキルアップに役立つ資格について紹介します。また、以下に紹介する資格だけでなく、助産師のキャリアを高めるためには、母乳ケア、新生児ケア、骨盤ケアなど多くの専門資格が存在します。助産師としてより極めたい専門について学び、資格を取得することは、今後のキャリアアップに大いに役立つでしょう。
アドバンス助産師
アドバンス助産師とは、助産師としてのスキルが一定水準以上であることを認定する制度です。
この制度の目的は、助産師が安全なケアを提供できること、継続的にスキルアップを図ること、社会的に助産師のスキルを確認できることの3つです。
2023年時点で、約9000人弱の助産師がアドバンス助産師として登録されています。
アドバンス助産師の認定を受けることで、自身のスキルを客観的に評価してもらえるだけでなく、キャリアアップにもつながります。
産後ケアエキスパート助産師
産後ケアエキスパート助産師は、一般社団法人 大阪府助産師会が設けている、産後ケアエキスパート助産師認定講習を受講し、認定を受けた助産師のことで、産前産後のケアを適切に提供するための幅広く高度なスキルを持つ助産師を指します。
アドバンス助産師のフォローアップ研修としても位置付けられています。
研修の受講条件は、助産師としての実務経験があることのみです。
知識やスキルを深めたい、キャリアアップしたいと考えている助産師にぴったりの資格といえます。
産後ケアリスト
産後ケアリストは、一般社団法人 日本産後ケア協会が設けている認定試験に合格した人のことを指し、産後うつなど心身ともに不安定になりやすい産後の母親をサポートするための資格です。
専門的な知識を持ち、多方面から母親をサポートすることができます。
認定制度は2級と1級の2段階に分かれており、体系的なカリキュラムを学ぶことで、助産師業務に活用できる知識とスキルが身につきます。
通学だけでなくeラーニングでも受講できるため、自分の生活スタイルに合わせて無理なく学ぶことができるのもメリットです。
理想の助産師像からキャリアプランを考えてみよう
助産師のキャリアプランはさまざまありますが、どのようなキャリアを歩みたいかは人それぞれ異なります。
自分の理想とする助産師像を思い描き、そこから逆算してキャリアプランを考えてみると良いでしょう。
病院で昇進をめざすのか、助産院を開業するのか、専門性を高めるために転職するのか、よく考えてみましょう。
キャリアアップのために役立つスキルや資格を取得するのもおすすめです。
自分に合ったキャリアプランを立てることで、目標を持って日々の業務に臨むことができます。
助産師としてのやりがいを感じながら、理想に向かって着実にステップアップしていきましょう。