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BLS(一次救命処置)の手順とは?一般市民用・医療従事者用に分けて解説

この記事の監修者
ゆみさと
【資格】
看護師

【プロフィール】
岩手県立大学看護学部を卒業後、血液内科・乳腺外科混合病棟にて勤務し、その後、透析クリニックに転職。
現在、看護師として働きながら、医療関係を中心にライターとしても活動中。

BLSはBasic Life Supportの略で、突然の心停止や呼吸停止に対して行う一次救命処置の基本です。
心肺蘇生法(CPR)の実施やAED(自動体外式除細動器)の使用など、生命を救うために求められる重要な技術が含まれています。
本記事では、一般市民と医療従事者それぞれが行うBLSの手順について詳しく解説します。
緊急時に適切な対応ができるよう、これらの知識を身につけておくことが大切です。

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一般市民が行うBLSの手順

一般市民が行うBLSの手順

BLSには医療の専門知識がなくても実施できる簡略化された手順があり、設備の整わない市中や医療従事者でない一般市民でも実践可能です。
突然の心停止などに遭遇した際には、迅速かつ適切な対応が求められます。
以下では、BLSアルゴリズムに基づいた簡略化された手順を、詳しく解説していきます。
正しい知識と技術を身につけておくことで、尊い命を救う可能性を高められるのです。

安全の確保

BLSを実施する前に、まず自身と周囲の安全を確保することが重要です。
倒れている人を発見したら、周囲の状況を素早く確認しましょう。

道路の真ん中など、自身の安全が確保されない場所であれば、救助活動は控えめにし、消防隊の到着を待つことが賢明です。
二次災害を防ぐためにも、安全確認は怠らないようにしましょう。

反応の確認・救急要請

周囲の安全を確認したら、倒れている人に近づき、反応を確認します。
「大丈夫ですか?」と大きな声で呼びかけ、軽く肩をたたいて反応を見ます。
ただし、頚椎損傷などのリスクを考慮し、激しく揺さぶることは避けましょう。

反応があり会話が可能な場合は、体調を確認します。
一方、反応がない場合や判断に迷う場合は、すぐに行動を起こすことが重要です。
大声で周囲の人に助けを求め、119番通報とAEDの手配を依頼しましょう。
迅速な対応が生存率を高める鍵となります。

呼吸・心停止の確認

次に、胸部や腹部の動きを観察し、呼吸の状態を確認します。
呼吸が停止していると判断される場合、または呼吸の状態がいつもと違うなど判断に迷う場合は、心肺蘇生法(CPR)の適応と考えられます。
呼吸をしている場合は、心肺蘇生を実施せず、救急隊の到着を待ちましょう。

心停止では、少しでも早く心肺蘇生を開始することが重要です。
そのため、呼吸状態の判断は10秒以内に行うようにしましょう。
状況に応じた素早く適切な判断が、救命の成功につながります。

心肺蘇生法(CPR)の開始

心肺蘇生法(CPR)は、心停止状態にある人の生命を維持するための重要な処置です。
胸骨圧迫と人工呼吸の2つの要素から成り立っていますが、胸骨圧迫のみでも十分に効果があるとされています。
正しい技術を身につけることで、救命の可能性が高まります。
以下では、胸骨圧迫と人工呼吸の具体的な方法について解説しましょう。

胸骨圧迫

胸骨圧迫は「心臓マッサージ」とも呼ばれ、心停止状態の人の生命維持に不可欠な処置です。
手で胸骨を圧迫することで、停止した心臓の代わりに血液を全身に送り込み、臓器の酸素不足を防ぎます。

具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 倒れている人を仰向けに寝かせ、その横に膝をつきます。
  2. 胸の真ん中(胸骨の下半分)に手のひらの付け根を置きます。
  3. 胸が約5cm沈み込むように、1分間に100〜120回のテンポで圧迫します。

胸骨圧迫

リズミカルかつ強く押すことが重要です。
テンポが規則的になるよう「1、2、3、4・・・」などと数を数えながら実施すると良いでしょう。
正しく行うとかなりの体力を消耗する処置ですが、押す力が弱まってしまうことで、血液を十分に送り込むことができなくなってしまう可能性があります。
疲れたら周囲の人と交代しながら続けるようにしましょう。

人工呼吸

人工呼吸は、心肺蘇生法のなかでも重要な役割を果たします。
ただし、人工呼吸の正しい実施方法がわからない場合や、血液や嘔吐物などによる感染リスクが懸念される場合は、胸骨圧迫のみを続けても問題ありません。

人工呼吸の研修を受講しているなど、実施方法がわかる場合は、以下の手順で行います。

  1. 胸骨圧迫30回ごとに、人工呼吸を2回行います。
  2. まず、顎を挙上させて気道を確保します。
  3. 約1秒かけて、胸の膨れ上がりが見える程度まで息を吹き込みます。

AEDの使用

AED(自動体外式除細動器)は、心室細動などの致死的不整脈を電気ショックで正常な状態に戻す医療機器です。
AEDが到着したら、以下の手順で使用します。

  1. すぐに電源を入れます(自動で電源が入るタイプもあります)。
  2. AEDの音声ガイダンスに従い、電極パッドを右前胸部と左側胸部に装着します。
  3. AEDが自動で心電図を解析し、電気ショックの要否を判断します。
  4. ショックが必要と判断された場合、AEDよりショックボタンを押すようガイダンスがあります。
    指示に従ってショックボタンを押しましょう。

電気ショックを行うときは、周りの援護者に傷病者から離れるように指示します。
誰も傷病者に触れていないことを確認してから、ショックボタンを押すようにしましょう。

また、電気ショック後は、すぐに胸骨圧迫を再開することが重要です。

AEDは使用開始が1分遅れるたびに、成功率が7〜10%程度ほど低下します。
AEDの使用方法を事前に学んでおき、緊急時に迅速かつ適切な対応ができるようになりましょう。

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医療従事者が行うBLSの手順

医療従事者が行うBLSには、より専門的で詳細な手順が含まれます。
病院内や救急車など、医療設備が整った環境下で実施されることが多いのが特徴です。
以下では、医療従事者が行うBLSの手順について、一般市民向けとの違いを中心に解説していきます。
専門的な知識と技術を活かし、より高度な救命処置を行うことができます。

バイタルサインの確認

BLSでは、患者さんの状態をより詳細に把握するため、バイタルサインの確認が重要です。
倒れている患者さんを発見し、呼びかけに反応がない場合には心停止を疑いますが、呼びかけに反応がある場合、可能な範囲でバイタルサインを確認しましょう。
同時に、他の医療従事者の応援を要請し、チームで対応する体制を整えます。
医師が到着したら、バイタルサインを含む現場の状況を的確に報告することが求められます。

脈拍の確認

医療従事者向けのBLSでは、呼吸の確認に加えて脈拍の確認も行います。
これは一般市民向けのBLSとの大きな違いの一つです。
脈拍は頸動脈を用いて確認し、脈拍が触れれば心停止ではないと判断できます。

心肺蘇生(CPR)開始の判断基準は以下の4つです。

  1. 「正常な呼吸なし」かつ「脈拍なし」の場合
  2. 死戦期呼吸(agonal breathing)の場合
  3. 正常な呼吸かどうかの判断がつかない場合
  4. 脈拍が確実に触れない場合

迅速な処置開始のため、呼吸と脈拍の確認は10秒以内で行うよう心がけましょう。

バッグ・バルブ・マスク(BVM)を用いた人工呼吸

医療機関などにはバッグ・バルブ・マスク(BVM)が備えられており、人工呼吸に使用できます。
これにより、より効果的な換気が可能です。
BVMを使用する際は、以下の点に注意しましょう。

  1. 可能であれば、高流量の酸素を使用します。
  2. 1秒間かけて胸の膨らみを確認しながら換気します。
  3. 1回あたり約500mlを目安として、過大な換気量にならないよう注意します。

一人でバッグバルブマスクを持ちながら換気をしていると、マスクが正しい位置からずれてしまいがちです。
効果的な人工呼吸を行うためにも、他の医療従事者が近くにいる場合は、マスクの位置を正しく保持してもらうようにしましょう。
チームワークを活かした救命処置が、患者さんの生存率向上につながります。

BLSの手順を理解して救急時に正しく実践しよう

BLSは、心肺停止に直面した際の重要な救命技術です。
一般市民と医療従事者では、実施する手順に若干の違いがありますが、どちらも迅速かつ適切な対応が求められます。

一般市民の場合、安全確保、反応確認、救急要請、胸骨圧迫、AED使用といった基本的な流れを押さえることが大切です。
医療従事者は、より専門的な知識を活かし、バイタルサインの確認や脈拍チェック、BVMを用いた人工呼吸など、より詳細な処置を行います。

どちらの場合も、正しい知識と技術を身につけ、定期的な訓練を行うことが重要です。
そうすることで、緊急時に冷静に対応し、尊い命を救う可能性が高まります。
BLSの手順を学び、実践する準備を整えておくことは、社会の一員としての重要な責任といえるでしょう。

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