
管理薬剤師は、調剤薬局の従業員の監督や医薬品の管理だけでなく、情報提供も行う調剤薬局の責任者となる立場の薬剤師です。
責任の大きな立場となるぶん、管理薬剤師になるには、専門的なスキルを身につけるとともに十分な経験を積んでいなければなりません。
このとき、要件の一つとして近年重要視されているのが「5年以上の実務経験」です。
本記事では、管理薬剤師の要件である5年以上の実務経験について解説します。
5年以上の実務経験が明文化されたのはいつからなのか、絶対に満たさなければならない要件なのか、詳しく見てみましょう。
目次
管理薬剤師になるための要件として5年以上の実務経験が必要?
管理薬剤師の職務には、実務経験に基づく十分なスキルが欠かせません。
薬機法の第7条においても、調剤薬局の管理者は、必要な能力と経験を保有していなければならないと規定されています。
そこで、必要な能力と経験を具体的に証明する基準となるのが、5年以上の実務経験です。
管理薬剤師実務経験5年は法律にはない要件
日本薬剤師会による「薬局における法令遵守体制整備の手引き」では、管理薬剤師となる人材は、調剤薬局での実務経験が少なくとも5年あることが原則であるとしていますが、薬機法には5年の要件は記載されていません。
しかし、日本保険薬局協会が2021年に発表した「管理薬剤師アンケート報告書」によると、管理薬剤師の約9割が5年以上の実務経験を積んでいる実態がわかっています。
管理薬剤師になるために実務経験以外に必要な要件
また、管理薬剤師には次のような要件も求められています。
- 認定薬剤師であること
- 1ヵ所の調剤薬局に専従していること
これらの要件を満たすことで、管理薬剤師の職務を適切に遂行できる能力と経験の証明になります。

実務経験が5年に満たない場合は管理薬剤師になれない?
管理薬剤師に求められる5年以上の実務経験は、望ましい要件ではあるものの、法律上の絶対的な縛りではありません。
これは薬機法には、管理薬剤師となるために必要な能力と経験という表現があるだけで、具体的な実務経験年数は明記されていないためです。
厚生労働省がガイドラインで実務経験5年を明文化
しかし、2021年に厚生労働省が発表した「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」に、管理薬剤師に求められる具体的な要件が記載されまれました。
同ガイドラインには、原則5年以上の実務経験を重要視することが明記されています。
日本薬剤師会も実務経験5年を重要な条件に
また、厚生労働省だけでなく日本薬剤師会も、このガイドラインを受けて5年以上の実務経験を、管理薬剤師に求める重要な要件として位置づけました。
必要な能力と経験を証明できる人材を確保できないのであれば、調剤薬局を新規開設するべきではないともしています。
したがって、実務経験が5年以内の方でも管理薬剤師になれる可能性はありますが、この要件が強く推奨されている以上、今後のスタンダードになっていくといえるでしょう。
管理薬剤師になるには今後5年以上の実務経験が重要となる
管理薬剤師は、患者さんの安全を守るため、調剤薬局を適切に運営する重要な立場で相応の責任がともなうことから、高いスキルと十分な経験の保有が求められています。
管理薬剤師の能力を証明する一つの基準となるのが、5年以上の実務経験です。
現時点では、実務経験年数に関する法律上のルールはありませんが、厚生労働省のガイドラインや日本薬剤師会の指針では、原則5年以上を強く推奨しています。
実際に、管理薬剤師として働く方の多くがこの要件を満たしており、調剤薬局の新規開設の際には今後重視されるでしょう。
管理薬剤師をめざす方は、5年以上の実務経験を見据えて、着実にキャリアを積んでいきましょう。