
ケアマネジャーの資格を取得するには、介護支援専門員実務研修受講試験を受験しなければなりません。
この試験を受けるには「5年以上かつ900日以上の実務経験」が求められており 、自身がこの受験資格を満たしているのか知りたい方もいるでしょう。
この記事では実務経験の計算方法と、実務経験にカウントできない期間・日数を解説します。
また、受験する際に必要な「実務経験証明書」も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
目次
ケアマネジャー試験の受験資格である実務経験とは?
介護支援専門員実務研修受講試験(以下、ケアマネジャー試験)を受験するには、「国家資格に基づく対人支援業務」または「相談援助業務」に5年以上かつ900日以上従事しなければなりません。
ここからは、ケアマネジャーの受験資格の計算方法を解説します。
従事期間の計算方法
「従事期間」とは、ケアマネジャー試験の受験資格として求められる実務経験の「5年以上」に該当する部分です。
従事期間を計算する場合、1ヵ月未満の期間は切り捨てとなります。
例えば、実務経験が2020年1月1日〜2023年5月18日の場合、2020年1月1日〜2023年4月30日までの3年4ヵ月が実務経験です。
また、期間中に従事したのが「国家資格に基づく直接的な対人支援業務」か「相談支援業務」かでも計算方法が異なるので、自分のケースにあった計算方法を確認しましょう。
国家資格に基づく対人支援業務
介護福祉士や社会福祉士などの国家資格を持っている場合は、「国家資格の登録日からケアマネジャー試験前日までで、国家資格に基づく対人支援業務に従事していた期間」を実務経験として計算します。
受験資格として認められる国家資格は、以下のとおりです。
医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師、准看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉士
上記の資格を複数持っており、それら資格に基づく業務に携わっていた場合は、それぞれの実務期間を合計して実務経験にカウントします。
例を挙げると、栄養士として2年、管理栄養士として3年勤務した場合は「従事期間5年以上」の条件を満たします。
相談支援業務の場合
受験資格に定められた相談援助業務に従事した場合、カウントするのは「業務開始した年からケアマネジャー試験を受験する年までの年数」です。
以下の相談支援業務に従事すると、ケアマネジャーの受験資格として認められます。
相談支援業務 | 対象者 | 主な勤務先 |
生活相談員 | ● 介護施設の利用者さん ● 入居を希望する方 ● ご家族 |
● 通所介護施設 ● 特定施設入居者生活介護 (地域密着型・介護予防型を含む) ● 介護老人福祉施設 (地域密着型を含む) |
支援相談員 | ● 介護老人保健施設の利用者さん ● 入居を希望する方 ● ご家族 |
介護老人保健施設 |
相談支援専門員 | ● 障害のある方 ● ご家族 |
● 相談支援事業所 ● 基幹相談支援センター |
主任相談支援員 | ● 生活困窮者の方 (特に困難なケース) ● 地域住民 |
● 自立相談支援機関 ● 地域社会 |
上記の業務を行うには、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格が求められるのが一般的です。
ただし、市区町村によっては無資格で働ける場合もあるため、勤務先がある自治体のホームページを確認しましょう。
従事日数の計算方法
「従事日数」とは、ケアマネジャー試験の受験資格として求められる実務経験の「900日以上」に該当する部分で、受験資格として認められる業務を行った日数を合計して計算します。
従事日数も従事期間と同じく、ケアマネジャー試験の前日までカウントできます。
パートタイム勤務・Wワークの場合
パート・アルバイトなど、非正規雇用で実務を経験した方もケアマネジャー受験は可能です。
1回の労働時間が短い場合も「1日」というカウントになります。
また、パート・アルバイトとして働いている方のなかには、複数の事業所をかけ持ちしている方もいるでしょう。
Wワークの場合は、それぞれの事業所で働いた日数を合計してカウントすることが可能です。
ただし、同じ日に2ヵ所以上の事業所で勤務した場合は「1日」として計算しましょう。
夜勤を行った場合
病院や介護施設のなかには、夜勤がある職場も多いでしょう。
夜勤を行った場合の勤務日数は、勤務先の出勤記録を基準として計算します。
例えば、1回の夜勤が2日分の労働時間である場合は、2日分で算定できる可能性が高いといえます。
夜勤の勤務日数がどう扱われるかは勤務先ごとに判断されるため、正しくカウントできているか不安な方は、あらかじめ上司に確認しておきましょう。
転職した場合
転職して職場が変わった場合、それぞれの職場での実務経験証明書が求められます。
介護の仕事に携わった期間が通算で5年以上になる場合は、直近の職場からさかのぼってカウントしましょう。
例を挙げると、10年間で10ヵ所の職場を経験した場合は、10ヵ所すべての証明書をそろえる必要はありません。
現在の勤務先からさかのぼって、介護の仕事をした日が900日以上あれば、従事日数として認められるでしょう。
ケアマネジャー受験資格の「実務経験」に含まれない期間・日数
ケアマネジャー受験資格を計算する際に気をつけておきたいのが「実務経験に含まれない期間」がある点です。
休業期間だけでなく、業務内容によっては実務経験として認められない場合もあることを覚えておきましょう。
休業期間
育児休業や病気休業、介護休業などは実務経験に含まれません。
仮に国家資格を取得して5年以上経っていたとしても、その間に休業期間が入る場合は従事期間・日数にはカウントできないため、除いて計算しましょう。
例外として、産前産後休業は「従事期間」に含まれます。
ただし、従事日数は実際に勤務した日数をカウントするため、従事日数には含まれないのでご注意ください。
直接的な対人援助ではない業務を行った日数
ケアマネジャーの受験資格では、直接的な対人援助でない業務を行っている期間は実務経験に含まれません。
具体的には、教育業務や研究業務、営業、事務などを行った日は、実務経験の対象外となります。
実務経験として認められるには、法律で定められている直接的な援助業務であることが重要です。
例として、以下の業務は直接的な対人援助として認められるでしょう。
- 介護福祉士が行う身体介護
- 栄養士が栄養の指導をすること
- 看護師が傷病者に対して療養上の世話や診療の補助を行うこと
国家資格に基づく業務を行わなかった日数
仮に国家資格を持っていたとしても、その資格に基づく業務を行わなかった場合は、実務経験として認められません。
例えば、社会福祉士の資格を持っている方が高齢者介護施設で身体介護業務に従事している場合、実務経験には含まれないでしょう。
その理由として、社会福祉士は「心身に障がいがある方や、環境上の理由で日常生活を営むのが困難な方に対して、相談支援業務や関係機関との連携・調整を行うこと」が業務と定められているからです。
国家資格に基づく業務かどうかを判断するには、資格の根拠法を調べてみましょう。
ケアマネジャー受験に必要な実務経験証明書とは?
ケアマネジャー試験を受験するには、実務経験証明書または実務経験見込み証明書が必要です。
実務経験証明書がないと実務経験を客観的に証明できないため、ケアマネジャー試験を受験できません。
実務経験見込み証明書とは、書類を作成する時点で実務経験の年数・日数を満たしていない場合に、試験前日までの期間を実務経験期間として証明する書類です。
不明点がある場合は、早めに各都道府県の試験担当窓口に問い合わせましょう。
ケアマネジャーの受験資格を得るため確実に経験を積もう
ケアマネジャー試験を受験するには、「国家資格に基づく直接的な対人援助業務」か「相談援助業務」にて、5年以上かつ900日以上の実務経験が求められます。
国家資格に基づいてケアマネジャー試験を受ける場合は、資格に基づく業務を行った期間で、資格の登録日から試験前日までをカウントしましょう。
ケアマネジャー試験の実務経験には、原則として休業期間は含まれません。
その他にも、法律に定められていない業務を行った日も実務経験にカウントされないので、ご注意ください。