
作業療法士に将来なりたいと思っているけれど、どのような大変なことがあるのか知りたいという人もいるでしょう。
この記事では、大変なことを理解したうえでめざしたいと考える方に向けて、作業療法士が働くうえで大変なことを8つ紹介しています。
事前に知って心構えをしたうえで、作業療法士をめざしたいと考えている方は参考にしてください。
目次
作業療法士の仕事で大変なこと
作業療法士として働くうえで、大変なことはさまざまです。
ここでは大きく分けて8つの大変なことを紹介します。
心構えや慣れ、習慣化などによって軽減・解消できることもあるため、事前に知っておくと良いでしょう。
肉体労働がある
作業療法士は患者さんとともに座って手作業をしているイメージを持たれやすいですが、肉体労働はあります。
理学療法士と比較すると肉体負担は軽いかもしれませんが、基本動作訓練や日常生活動作訓練を行う場合に重労働となるケースも少なくありません。
時には自分より大柄な人を支えたり、持ち上げたりすることで相当な体力を使うだけでなく、腰や膝を痛めてしまう人もいるほどです。
活動に必要な準備や片付けも業務の1つで、なかには園芸や木工といった全身を使う作業もあります。
他にも、病院や在宅で働く場合は病室や自宅へ向かう必要があり、移動を含めて1日中動き回っている日もあります。
特に訪問リハの場合、雨風に関わらず、利用者さんのもとへ向かわなくてはならない点で肉体的負担が重いといえます。
精神的に辛いこともある
作業療法士は、心身のリハビリテーションを通して患者さんの社会生活復帰を支援する役割を担っており、大きなプレッシャーを感じる人もいます。
職場によっては、先輩や上司に患者さんもしくは利用者さんのためにと圧力をかけられるケースもあります。
圧力をかけられることはなくても、価値観や考え方の違いで精神的苦痛が生じることもあるでしょう。
一日単位でノルマを課せられるところもあり、業務に追わることに大変さを感じるかもしれません。
知識を磨き続ける必要がある
日々進歩し続ける医療に合わせて、作業療法士も勉強を続け、知識をアップデートし続ける必要があります。
また、作業療法士にはリハビリに関する知識だけでなく、制度や疾患・症状についての知識も求められます。
これらの知識を身につけしっかりと理解しておくことで、患者さんにより効果的なリハビリの提供が可能となります。
患者さんとのやりとりのなかで、適切な指導・助言ができるようにもなるでしょう。
職場によっては自分たちで勉強会や症例検討会を企画し、開催しているところもあります。
勉強会などは勤務時間外に行われることもあり、時間外の拘束が求められる場合もあるでしょう。
それでも、医療の発展に置いてかれないために、自己研鑽として参加を迫られることもあります。
コミュニケーションが難しいと感じることがある
作業療法士は身体機能に限らず、心のサポートも担っており、患者さんや利用者さんとコミュニケーションをとりながら、その人に合わせたリハビリを提供します。
そのため、コミュニケーションを取りつつ、必要な情報を引き出していく能力が欠かせません。
作業療法士のゴールと患者さんの考えが必ずしも一致するとは限らず、コミュニケーションを取るなかでリハビリの方向性を決めたり、必要時にはご家族の意向も汲み取りながらリハビリを進めたりすることも大切です。
時にはコミュニケーションが難しいと感じることもあるでしょう。
コミュニケーションは信頼関係の構築にも必須となります。
ただし、患者さんや利用者さんと親しくなり過ぎないよう気を付けながら、作業療法士として客観的な視点を持って関わらなくてはならない点が難しいところです。
もちろん、医師や看護師、理学療法士などとも密にコミュニケーションを取る必要があるため、日頃からコメディカルとの関係構築も行っておきましょう。
作業療法による効果がみえにくいこともある
作業療法を含むリハビリは、すぐに結果が目に見えてわかるものではありません。
そのため、患者さんのモチベーションを長期に渡り維持することが、難しいこともあります。
急性期や回復期の患者さんであれば、効果を実感できることも多いでしょう。
対して、維持期にある患者さんや進行性の疾患をもつ患者さんの場合、やりがいを実感しづらいこともよくあります。
少しでもやりがいを感じてもらうためには、1つひとつの目標を小さく設定し、しっかりと評価を行いながら、ちょっとした変化を感じてもらえるよう工夫する必要があります。
また、作業療法の意味や目的を理解してもらいながらリハビリを継続していけるよう、サポートしていくことも大切な役割となります。
知名度があまりない
作業療法士は知名度が低く、職業を聞かれて作業療法士と答えても通じないことがあります。
同じリハビリ職である理学療法士は知っていても、作業療法士と聞いてピンと来ない場合や、理学療法士と作業療法士の区別がつかない人もいます。
作業療法士が具体的にどのような役割を担うのかわかる人は、医療従事者でない限りは稀な存在でしょう。
知名度が低いからといって落胆せず、自分の仕事に誇りを持って日々患者さんのために仕事をしてください。
労働条件が合わない
厚生労働省が発表した令和4年度賃金構造基本統計調査によると、作業療法士を含むリハビリ職の平均年収は430.7万円でした。
作業療法士として働いている人のなかには、業務量のわりに年収が低く、給料が見合っていないと感じている人もいるでしょう。
もちろん職場によって異なりますが、人手不足が深刻な職場では残業時間が多くなるケースもあります。
作業療法士の診療報酬は時間単位で定められているため、内容がどれだけよくても得られる報酬は一定です。
つまり、新人・ベテランに関わらず稼げる額に差がないといえるため昇給しにくく、経験年数を積んでいるにも関わらず報酬が見合っていないと感じてしまう一因となっています。
また、夜勤がないため手当も少ない傾向にあります。
忙しい
施設によりますが、作業療法士の大変なこととして忙しいことも挙げられます。
作業療法士はリハビリをしているだけのイメージもあるかもしれませんが、事務作業も業務に含まれています。
しかし、日中はリハビリに追われてしまい、勤務時間外に事務作業を迫られることもあるでしょう。
昼休憩も患者さんの食事評価に時間を取られ、自分の休憩がつぶれてしまうなどということも起こり得ます。
週末などの休日や平日時間外などには勉強会や研修に参加することを求められ、仕事から解放された気分になれないケースもあります。
作業療法士は大変なことも多いが、患者さんのサポートをする大切でやりがいのある仕事
作業療法士は対象者の体と心の両方をサポートする業種であり、患者さんへのより深い理解を求められる大変な職業といえます。
しかし、患者さんと一緒に根気強くリハビリメニューをこなし、成果が現れたときの喜びはとても大きいものでしょう。
作業療法士として大変なことを事前によく理解したうえで、患者さんとコミュニケーションを密に取り、信頼関係を構築しながらリハビリを進めましょう。
患者さんと回復過程を一緒に実感していける、タフな作業療法士をめざしてください。