
作業療法士は、さまざまな働き方ができることに加え、職場も多くある魅力的な仕事です。
作業療法士国家試験の合格率は、令和4年で80.5%、令和5年は83.8%と例年8割を超えています。
合格率は高いですが、令和5年の新卒と既卒の合格率では、新卒91.3%、既卒44.3%と大きな差があります。
既卒者は生活面の確保から、社会人として働きながら勉強する必要がありますが、働きながら作業療法士の専門分野を勉強することは困難が多いものです。
作業療法士の資格を取得するには、学生の間に自分に合った勉強方法を見つけ、現役合格をめざすことが重要です。
作業療法士の勉強内容については、以下の記事に詳しく載っているため、参照してください。

目次
作業療法士国家試験合格の勉強方法
作業療法士の国家試験に合格するためには、闇雲にいろいろな問題集にあたるのではなく、過去問を繰り返し解くことが重要です。
また、模擬試験を受けたり、友人と問題を出し合うことも効果的な方法であるため、下記で詳しく解説していきます。
10年分過去問を解く
過去問は実際に出題された問題であり、これを通して出題傾向を把握することができます。
そのため、闇雲にさまざまな問題集を解くよりも効果的に勉強を進めることが可能です。
加えて、何度も繰り返し過去問を解くことで問題に慣れることができ、効率よく学習ができるでしょう。
10年分の過去問を一度やり終えたら終わりではなく、問題を理解するために何回も繰り返し解き直すことがポイントです。
間違えた問題に対しては、理解できるまで調べたりやり直したりすることで、自分の苦手な部分を集中的に補うことができます。
間違えた時こそ苦手を克服するチャンスと考え、前向きに勉強しましょう。
模擬試験を受けて復習する
模擬試験は、運営組織によって難易度が違います。
結果をみて一喜一憂するのではなく、どのように間違えたのか、何につまずいたのかを把握し、復習に役立てることが重要です。
模擬試験を何回か受験していくうちに、「似ている問題が前回もあったな」と感じることがありますが、それはその問題が頻出問題であるためです。
頻出問題には特に外してはいけない、作業療法士になるために重要な問題が多いため、しっかり復習しましょう。
「間違いがたくさんあって、復習しきれない」という場合は、正解率が高い問題から取り組むことで、多くの人が正解している問題を外すことのないようにしましょう。
繰り返し復習するうちに知識が定着し、達成感にもつながっていきます。
優先順位をつけて復習する
上記でも触れましたが、正解する人が多い問題を解けないことは致命傷です。
正答率が低い問題ばかりを勉強していても、難しく理解できない問題に時間をかけることになってしまうため、効率が悪くなります。
そのため、模試や過去問にわからない問題がある場合は、まずは正答率の高い問題や頻出問題から解いていくことがポイントです。
過去問や模試の復習をしていて、何度も同じ問題でつまずく場合は、その問題が自身にとっての苦手分野です。
作業療法士の国家試験で満点をとる必要はなく、約6割の点数を獲得できれば合格になります。
苦手分野に時間をかけすぎると効率が悪いので、まずは正答率の高い問題から解くなど優先順位をつけて勉強することが重要です。
友人と問題を出し合う
過去問にあたるなどの方法で勉強を進めると、インプットはできてくるでしょう。
「しっかり理解できているか」を確認するためのアウトプットを行う際には、模試を受験するほか、友人と問題を出し合うこともおすすめの方法です。
友人と問題を出し合うと「内容を記憶していなかった」「内容は理解していたが実際の問題では答えられなかった」など、アウトプットしないと気付かない点を見つけることができます。
また、友人がわからなかったときに、なぜその答えとなるのかを解説することも効果的です。
解説ができるということは、問題を理解し人に教えることができるほどに知識が定着している証です。
内容を理解し知識を定着させたといえる段階になるまで、アウトプットも含めて繰り返し勉強することが大切であり、インプットだけで満足しないように注意しましょう。
勉強場所を変えてみる
国家試験の勉強をしていると、息が詰まったり、マンネリ化して集中力が切れてしまったりすることがあります。
場所を変えることで「雑音があったほうが集中できる」「カフェなら息抜きしながら勉強できる」など、新しい発見がある可能性もあります。
もし今の勉強場所で集中力が欠けていると感じた場合は、勉強場所を変えてみるのも一つの方法です。
作業療法士国家試験合格は勉強時間も質も大切
作業療法士国家試験に合格するためには、勉強時間も質も両方確保することが大切です。
在学中に合格できるよう、今からどのように勉強を進めるかを一緒に考えていきましょう。
できるだけ早くから始める
国家試験の勉強を効率よくするためには、その質がとても大事ですが、勉強時間の確保も同じくらい重要です。
上記でも触れましたが、新卒と既卒の合格率の差は大きく、一発で試験に合格することが作業療法士になるための近道だといえるでしょう。
そのため、できるだけ早くから国家試験の勉強を始めることが大切です。
勉強時間は1日9時間以上がベストですが、働きながら資格取得をめざす場合は1日6時間、疲れている日でも2時間程度を確保するよう心がけましょう。
「そんなに長い時間を確保できない」という場合は、できるだけ早くから国家試験の勉強に取り組むことが重要です。
早くから取り組むことで、「時間が足りなかった」とはなりづらく、「△月までに○周する」などの目標を達成しやすくなります。
時間があるからと余裕を出していると、あっという間に試験日が来てしまいます。
試験日から逆算して物事を考えておくことで、後悔を避けられるでしょう。
おおまかなスケジュールを立てて質も確保
ただ闇雲に勉強を始めても、目標や目的がなければ意気消沈してしまい、モチベーションを維持することが難しいでしょう。
また学生の場合は実習や学内試験のほか、卒業論文など国家試験の勉強以外にもやることは多いものです。
事前にスケジュールを立てておくことで、焦ることなく勉強に取り組むことができます。
おおまかなスケジュールで構わないので、スケジュールを立てておきましょう。
夏休みから始めて参考書を○周終え、秋頃に計画を再設定する、○月の模試で○点取るなど、大枠がわかる程度で良いのでスケジュールを立てることが重要です。
作業療法士の勉強をするときのポイント
作業療法士の国家試験合格のためには、自分に合った息抜き方法や考え方などを探しておくことも一つの強みになります。
国家試験は合格人数が決まっているわけではないため、他者と戦うよりも自分自身に打ち勝つイメージで臨むことがポイントです。
自分と周りを比べない
模試の点数や参考書を○周したなど、他人の習熟度は気になりやすいものです。
意識しないようにしてもつい焦ってしまったり、必要以上のプレッシャーを抱え込んだりするきっかけになりやすいでしょう。
国家試験は点数で判断されているため、合格人数が決められている試験などのように定員制の試験ではありません。
人それぞれに合ったペースがあり、自分のペースを組み立てたら、焦らずにコツコツと取り組むことが重要です。
比べるのは他人ではなく「昨日の自分」と、前日の自分よりどのくらい成長できているかに重きを置くほうが、効率的に物事を進めることができるでしょう。
一人で抱え込まない
国家試験の勉強では一人で勉強する時間も長く、気付かないうちにストレスやプレッシャーを抱え込んでしまいます。
「絶対に受からなくてはいけない」などと、知らず知らずのうちに過度なプレッシャーを抱えている場合もあるでしょう。
そのような場合は、友人や学校の先生、家族などに相談することも大切です。
少しでも気持ちを吐き出すことで気持ちをリセットでき、肩の荷を降ろして勉強に集中することができます。
不安に駆られるときや疲れてしまったときには、一度この方法をとってみてください。
リフレッシュ方法を見つける
集中力を保ちつつ試験勉強に取り組むためには、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけることも大切です。
気分や精神状態などで、うまく集中できないときや問題が解けないときもあるでしょう。
そのようなときに、リフレッシュできる方法をもっておくと、気持ちを切り替えてまた試験勉強に取り組むことができます。
具体的におすすめな方法を、それぞれ見ていきましょう。
友人や家族と話す
気心が知れている友人や家族とたわいない話をすることは、気持ちにメリハリをつけるのに最適です。
同じ学校の友人と話すとつい試験勉強の話しになってしまう場合は、違う学科の友人や小中高などからの親しい友人と話すことで、気分転換になります。
勉強する時間はきちんと集中し、すき間時間で家族や友人と勉強とは関係のない話をすることで、ONとOFFを上手に切り替えることができるでしょう。
好きなことを楽しむ
食べることが好きなら好きなものを食べたり、音楽を聴くことが好きなら音楽を聴いたり、自分が好きだと思える時間を楽しむことも、一つのリフレッシュ方法です。
24時間勉強をしても効率が悪いため、適度に好きなことをする時間を挟むのも重要なことです。
好きなことをしていると時間を忘れて没頭してしまいやすいので、タイマーなどを活用すると良いでしょう。
ストレッチをする
ずっと座って勉強をしていると、肩がこったり、血流が悪くなったりします。
勉強の合間にストレッチをすることもリフレッシュ方法の一つです。
筋肉の萎縮をとき、血流を良くすることで、集中力が改善されて勉強の効率も良くなります。
その場で腕をあげて伸展運動をしたり、首を回すだけでもリフレッシュになるので、ぜひ一度実践してみてください。
作業療法士の勉強をする際の注意点
作業療法士の国家試験は、年によって試験内容が変わることもあります。
厚生労働省のホームページなどで確認しておきましょう。
実際に令和6年からは試験内容が変更されます。
令和2年4⽉より適用されたPTOT養成カリキュラム改正を踏まえた国家試験出題基準の改定となりますが、この改定は令和6年度の第59回理学療法⼠・作業療法⼠国家試験より適用されることが決まりました。
栄養関連の項目や、老年期障害と臨床医学の項目、NBM(物語に基づいた医療)・CBR(地域包括システム)といった近年のトピックの項目などが追加されました。
変更内容をしっかりと把握して、漏れなく、効率良く勉強していきましょう。
自身に合った勉強方法を見つけて、作業療法士国家試験に合格しよう
作業療法士の国家試験合格率は、新卒と既卒で大きな差があります。
とはいえ、既卒者でも4割程度は合格者がいるため、合格できるように効率の良い勉強方法を確立することが大切です。
また、集中できる環境や脳を作るためには、適度なリフレッシュもポイントになります。
自分にとってどのような勉強法が合っていて、リフレッシュ方法はなにが良いのか、早い段階で見つけましょう。
自分に合った勉強方法を見つけて、ぜひ新卒で作業療法士になってください。