
看護師の仕事において、電話対応は欠かせない業務の一つです。
患者さんやご家族からの問い合わせ、医療関係者との連絡調整など、電話を介したコミュニケーションは多岐にわたります。
看護師の電話対応スキルを向上させることで、円滑な情報共有と信頼関係の構築につながります。
目次
電話対応をする際のコツ
看護師が電話対応をする際のコツを、以下のポイントに沿って詳しく見ていきましょう。
事前準備から相手の話の聞き方まで、押さえておくべき点が多数あります。
話す内容と流れをあらかじめ決めておく
看護師が電話対応をする際、事前準備が非常に重要です。
話す内容と流れをあらかじめメモしておくことで、通話中にも焦ることなくスムーズに対応できます。
予測される質問をいくつか考えておき、それもメモに含めておくと良いでしょう。
スタッフのスケジュールや、連携先施設や専門職の名称など、必要な情報は近くに置いておくと便利です。
事前準備をしっかり行うことで、落ち着いた的確な電話対応が可能になります。
相手に伝えるべき情報を漏れなく伝え、的確な質問もできるようになるでしょう。
相手の状況を確認する
電話対応では、相手の状況を確認することも大切です。
相手も忙しいなかで電話を取ってくれている可能性があるため、一度確認すると良いでしょう。
電話では相手の顔や状況が見えないため、配慮の姿勢を示すことが重要です。
「今お時間よろしいでしょうか」など、一言添えるだけで相手への配慮が伝わります。
もし相手が忙しい時間帯であれば、あらためて連絡するなどの対応も必要です。
コミュニケーションエラーを防ぎ、円滑な情報共有につなげるためにも、相手の状況確認は欠かせません。
伝えるときはISBARCを活用する
看護師が電話で情報を伝える際、「ISBARC」の活用がおすすめです。
ISBARCは、情報を整理して簡潔に伝えるためのフレームワークです。
多職種との連携が必要な看護師にとって、習得しておきたい伝え方といえるでしょう。
ISBARCの内容は以下のとおりです。
I:報告者・対象者の同定(Identify)
S:状況・状態(Situation)
B:背景・経過(Background)
A:評価・判断(Assessment)
R:提案・依頼(Recommendation)
C:復唱確認(Confirm)
電話では聞き間違いや勘違いが起こりやすいため、復唱による確認は特に重要です。
最後に相手に復唱してもらうことで、情報の行き違いを防げます。
自分の言葉で復唱するよう促すことがポイントです。
声のトーンを明るく、ハキハキ話す
看護師の電話対応では、声のトーンも大切な要素です。
対面とは異なり、電話では声だけで情報を伝える必要があります。
明るいトーンの声でハキハキと話すことで、電話口の相手に良い印象を与えられるでしょう。
また、ゆっくりと落ち着いて話すことも心がけてください。
早口になると、相手が聞き取れずに聞き返すことになり、ストレスを与えてしまう恐れがあります。
さらに、相手に不快な思いをさせないよう、丁寧な言葉遣いを意識することも重要です。
敬語を使い、感じの良い対応を心がけることで、信頼関係の構築につなげることができるでしょう。
口調や声のトーン、言葉遣いに注意しながら、明るい対応を心がけましょう。
メモを取る
看護師が電話対応をする際、メモを取ることも大切なポイントです。
話した内容を完璧に覚えられるという人でも、電話を切ったあとに誰かに話しかけられると忘れてしまうことがあります。
大事な数値や単語、人の名前などをメモしておくことで、情報の正確性を保てます。
メモ用紙とペンをそばに置いておき、要点をしっかり書き留めるようにしましょう。
相手の名前と要件を最低限メモしておくことを習慣付けてください。
曖昧な部分があれば、必ず相手に確認を取ることも重要です。
担当者不在時に電話を受けた場合にも、担当者にその旨をもれなく伝えることが大切です。
メモを活用することで、正確な情報共有が可能になります。
相手の話を最後まで聞く
看護師が電話対応をする際、相手の話を最後まで聞くことが非常に重要です。
電話中にわからないことが出てきても、途中で遮らずに最後まで聞くようにしましょう。
最後まで聞くことで理解できることもあります。
話の趣旨を早く知りたい気持ちを抑え、まずは傾聴の姿勢を示すことが大切です。
途中で質問や確認をしたくなることもあるかもしれませんが、相手の気持ちを損ねないよう注意しましょう。
「お話を最後までお聞かせください」など、一言添えることで傾聴の姿勢を示せます。
最後まで話を聞いたうえで、不明点があれば丁寧に質問をするようにしましょう。
周囲の人は気にしない
看護師が電話対応をする際、周囲の人の視線が気になることがあるかもしれません。
「周りの人に聞かれていたらどうしよう」「見られていたらどうしよう」と不安に感じる人もいるでしょう。
しかし多くの場合、周囲のスタッフは各自の業務に集中していて、意識的に会話に耳を傾けることはありません。
周囲の視線を気にするあまり、電話対応に集中できなくなることのないよう注意しましょう。
「周りの人は気にしていない」と自分に言い聞かせ、落ち着いて対応することが大切です。
プライバシーに配慮が必要な内容の場合は、できるだけ人目に付かない場所で電話をするなどの工夫も必要です。
しかし、一般的な内容であれば、周囲の視線を過度に気にする必要はありません。
電話対応のNGワード
看護師が電話対応をする際、使わないほうが良い言葉があります。
ここでは、電話対応のNGワードについて見ていきましょう。
もしもし
「もしもし」は、プライベートな場面では問題ありませんが、ビジネスシーンでは使わないようにしましょう。
ただし、電話が聞こえにくい場合などに使うことは問題ありません。
とはいえ、ビジネスの場での電話で、第一声として使う言葉ではありません。
了解しました
「了解しました」は、同じ施設内のスタッフ同士であれば問題ありませんが、外部機関とのやり取りでは使わないようにしましょう。
連携施設の担当者などとやり取りをする際に同意を伝える場合は、「かしこまりました」と返答するのが適切です。
なるほど
「なるほど」は、相槌を打つ際によく使いがちな言葉ですが、相手によっては上から目線に感じる人もいます。
目上の人や利用者さんに対しては使わないほうが賢明です。
電話対応が苦手でも経験して少しずつ慣れていくことが大事
看護師にとって、電話対応は欠かせない業務の一つです。
最初は誰もが苦手意識を持つものですが、経験を重ねることで少しずつ慣れていくことができます。
電話対応のコツを押さえ、積極的に経験を積んでいきましょう。
事前準備を怠らず、ISBARCを活用した的確な情報伝達を心がけてください。
明るい声のトーンで丁寧に対応し、相手の話にしっかりと耳を傾けることが大切です。
NGワードにも注意しながら、誠実な対応を心がけましょう。
電話対応が苦手でも、一つひとつの経験が自信につながっていきます。
看護師としてのスキルアップのために、電話対応力の向上に努めていきましょう。