
「訪問看護師がすぐ辞めてしまう」ことで人手不足に陥り、頭を抱えている職場もあるかもしれません。
訪問看護師の早期退職を食い止めるには、なぜ退職しようと思っているのかを知る必要があります。
そして、理由が明らかになったあとに、企業側ができる対処をすることが大切です。
この記事では、訪問看護師がすぐに辞める理由、退職しないようにする対処法を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
目次
訪問看護師がすぐ辞める退職理由は?
ここではまず、訪問看護師がすぐ辞める退職理由として、以下の9つを紹介します。
- スキルに自信がない
- 責任が重い
- オンコール対応を負担に感じる
- 体力が続かない
- 収入が見合わない
- 教育体制が整っていない
- 病棟との業務の違いが大きい
- 人間関係が難しい
- 将来性への不安
では、それぞれを見ていきましょう。
スキルに自信がない
訪問看護は、患者さんの居宅に看護師が一人で訪問するのが基本です。
病棟ではわからないことがあったり、トラブルが起こったりしたときに、同僚や先輩に相談し、アドバイスをもらえます。
ときには、助けてもらい、協力しながら解決していくこともあるでしょう。
しかし、訪問看護は一人立ちしたあと、自分の知識やスキルで対応しなければならず、自信をなくしてしまうことがあります。
今までの経験をうまく活かせず、辞めたいと思う人も少なからず存在します。
責任が重い
前述したように、訪問看護は一人で訪問するため、何かあったときには自分一人で対処しなければならず、責任を重く感じる方もいるでしょう。
責任の重さにストレスを感じやすい人は、精神的な負担が重くなりがちです。
また、病状の回復が著しくない、患者さんが亡くなってしまったなど、つらい気持ちになる場面もあるでしょう。
そういった場合も、他のスタッフと気持ちをわかり合うことができず、傷心してしまう可能性があります。
「もっとできることがあったのではないか」と考えるなど、責任の重さに耐えられないケースも考えられます。
オンコール対応を負担に感じる
オンコール対応とは、勤務時間外に担当の患者さんに緊急事態が起こったときに、すぐに対応できるように待機することです。
電話対応で済む場合もあれば、患者さん宅に駆け付けて対応することもあります。
たとえオンコール対応の手当が付いても、いつ呼ばれるのかわからないと24時間考えていることが負担になる人もいます。
体力が続かない
訪問看護は一人で患者さんの対応するため、患者さんの病状によっては体力が必要になります。
また、一日に複数の患者さん宅を訪問するため、移動にも体力がいるでしょう。
自動車移動ではなく、自転車移動の場合もあり、体力的な面から辞めたいと思う人もいます。
収入が見合わない
訪問看護は責任が重く、一人ひとりに合わせた看護をしなければならず、大変なことも多いです。
しかし、病棟とは異なり、夜勤がなく日勤のみのため、夜勤手当が付きません。
オンコール対応もあり、気持ちが休まる暇もないのに、それに見合った収入が得られずに退職を決意する人もいます。
働き方によってはボーナスもないケースもあり、収入に不満を抱く場合もあります。
教育体制が整っていない
職場によっては教育体制や制度が整っておらず、十分な教育を受けられないまま一人立ちをするところがあります。
看護師としての経験があっても、訪問看護の世界では新人であるのにも関わらず、早い段階から一人立ちという環境もめずらしくありません。
患者さん一人ひとり病状や状況が異なるため、不安な気持ちを抱えたまま仕事をすることが苦痛な人も多く見られます。
病棟との業務の違いが大きい
病棟で勤務した経験があり、スキルを活かせると思って訪問看護の世界に足を踏み入れる人もいるかもしれません。
しかし、病棟と訪問看護では、看護師が行う業務が大きく異なり、思った以上に業務に慣れないことに焦りを感じる人もいます。
病棟と訪問看護の大きな違いは、医療設備に関してです。
病棟では医療設備が整っているのに対し、訪問看護では医療設備が不十分ななか、患者さんのケアをしなければなりません。
また、患者さんやご家族の要望に応える必要もあります。
こうした違いに耐えられないことも、すぐ辞めてしまう理由の一つです。
人間関係が難しい
病棟に勤務するのとは異なり、訪問看護は基本的に一人で行うものなので、気楽で人間関係が楽だと考えているかもしれません。
しかし、実際に訪問看護している人のなかには、人間関係に悩み、仕事を辞める人もいます。
一緒に訪問をしなくても職場にはスタッフが在籍しており、人間関係が悪いこともありうるでしょう。
また、訪問看護は病棟と違い、患者さんとご家族との意向を尊重しなければならないため、信頼関係が築けずに悩むケースもあります。
将来性への不安
訪問看護はキャリアプランを描きにくいため、将来性への不安から退職を決意する人もいます。
職場によっては、出世や昇進などのキャリアアップも期待しづらい場合もあるでしょう。
たとえ訪問看護の仕事自体が好きでも、将来のために違う道を選ぶ人もいます。
訪問看護師を辞めさせないための対処法
訪問看護師がどんどん辞めてしまうと、企業としては困るでしょう。
ここでは、訪問看護師が辞めないために企業ができる対処法として、以下の4つを紹介します。
- スタッフの気持ちに寄り添う
- 労働の負担を改善する
- 収入面の改善を検討する
- スキルアップを支援する
スタッフの気持ちに寄り添う
訪問看護は一人で行う業務が多く、スタッフとの関わりが少ないことが特徴です。
職場によってはメールなどでやりとりをするだけで、患者さん宅から直帰するところもあります。
コミュニケーションが不足傾向にある職場では、訪問看護師が悩んでいても気付くことが難しいでしょう。
まずは上司や先輩などがコミュニケーションを積極的に取り、スタッフの気持ちを理解することが大切です。
そして、もしも悩みや不満を抱えている人がいれば、解決に導くようにしましょう。
労働の負担を改善する
労働の負担が重いことから退職を考えているスタッフがいる場合は、労働の負担を軽くすることが大切です。
残業や休日出勤を減らし、労働時間が適切であるかを確認してみましょう。
また、病状の重い患者さんの担当が多い、オンコール対応が多いなど、一人に業務が偏っている場合は、担当を変える必要があります。
また、自転車での訪問は天候によっては大変な労力になります。
負担がある場合は自動車使用を考えてみましょう。
収入面の改善を検討する
仕事に見合った収入が得られずに退職を考えている人には、収入面の改善を検討することが大切です。
訪問看護師のなかには「正当な収入を得られていない=適切な評価を受けられない」と感じている人もいます。
収入面や待遇面を改善することによって、退職を思い留まる可能性が高まります。
スキルアップを支援する
訪問看護師としてのスキルが足りない、実力がないと嘆いている人がいる場合、スキルアップ支援をすることで退職を防げる可能性があります。
特に教育体制が整っていない職場は、現状を変えるように検討する必要があるでしょう。
職場での研修や勉強会の開催はもちろん、社外のセミナー参加などを支援することも一つの方法として挙げられます。
また、スキルアップのために資格取得の支援もおすすめです。
訪問看護師がすぐに辞めたいと言わないようできることから対処しよう
今回は、訪問看護師がすぐに辞めたくなる理由とその対処法を紹介しました。
辞めたくなる理由のなかには個人的な内容もあり、企業側がどうしようもないこともあるでしょう。
一方で、企業が努力することで退職を防げることが多いのも事実です。
ぜひ、今回紹介した対処法を検討してみてください。