
臨床心理士の資格は、一度資格を取得すれば永久的に保持できるわけでなく、ポイント制による5年ごとの更新が必要です。
更新時に求められるポイントは、臨床心理活動の実績や研修への参加によって獲得できます。
ポイントが不足している場合、特別な事情がない限り更新が認められないため、期限が迫っている状態であっても焦らず適切な対応を心がけましょう。
本記事では、臨床心理士資格の更新時にポイントが足りないときの対処法を解説します。
目次
臨床心理士の更新でポイントが足りないとどうなる?
臨床心理士の資格は、5年ごとの更新が義務づけられています。
更新手続きを行うには、日本臨床心理士資格認定協会やその他の団体が主催する研修に参加するなどして、指定された1~6群のうち3群以上にわたり、5年以内に計15ポイント以上を取得していなければなりません。
ポイントが不足している場合、基本的には更新が認められず、臨床心理士資格を失ってしまう可能性があるため注意しましょう。
資格更新のためのポイントが足りなくなる理由には、次のような事情が考えられます。
- 参加した研修がポイント加算の対象外だった
- 3群にわたって取得できていなかった
- 新型コロナウイルスなどの影響で研修に参加できなかった
- 出産などのライフイベントと重なり、研修参加が困難だった
臨床心理士資格更新の審査の延期に関する内規には、「海外への留学等、出産・育児、病気、又は家族の介護等」と定められていますが、こうしたやむを得ない事情がない限りは、更新のタイミングに間に合うよう、計画的に研修へ参加してポイントを獲得しておくことが重要です。
臨床心理士の更新でポイントが足りないときの対処法
臨床心理士資格の有効期限が切れる直前に、ポイントが足りないことに気付いた場合でも、更新を諦める必要はありません。
ポイント不足が発覚した際、主な対処法として「更新期限内に研修へ参加する」「延長措置の適用を確認する」の2つが考えられます。
状況に応じて適切な方法を選択し、臨床心理士資格を保持できるようにしましょう。
更新に間に合うよう研修に参加する
臨床心理士資格の更新期限を迎える前に、ポイントが足りないことに気付いたら、まず研修への参加を検討しましょう。
更新の締め切りが迫っている場合でも、以下の方法で対応できる可能性があります。
- 更新手続き受付期間後の2~3月に参加する研修の場合、報告書にその旨を記載して申告
- 人数上限が多く当選確率の高いオンライン型の研修に申し込む
なお、臨床心理士のポイントが加算される研修は、日本臨床心理士資格認定協会が主催するものと、その他の団体が主催するものに大別できます。
それぞれの研修の特徴を見てみましょう。
日本臨床心理士資格認定協会が主催する研修に参加する
日本臨床心理士資格認定協会では、「臨床心理士研修会」や「心の健康会議」などの研修を定期的に開催しています。
これらの研修に参加すれば、1群のポイント獲得が可能です。
研修参加にあたっては以下3点に注意しましょう。
- 協会のホームページで研修の日程を確認する
- 協会から送付される冊子やハガキを確認する
- 研修の加算ポイントを事前に確認する
- 自分の予定と照らし合わせて、参加可能な研修を選ぶ
研修ごとの加算ポイントは、日本臨床心理士資格認定協会のホームページから確認できます。
多くは会期や日時、会場が指定されているため、更新期限に間に合うよう適切なタイミングで参加できる研修を選定してみてください。
その他の団体が主催する研修に参加する
一般社団法人日本臨床心理士会や都道府県単位の臨床心理士会が主催する研修会も、臨床心理士の資格更新に必要な2群のポイントを獲得できる機会です。
研修の形式には、ワークショップ型や定例型があり、参加内容によって加算ポイントが異なります。
日本臨床心理士資格認定協会の主催する研修同様、オンラインで参加できるものもあるため、自分のスケジュールと開催日程が合致するものを探してみましょう。
延長措置対象の可能性がないか確認する
研修などに参加できない特別な事情がある方には、更新手続きの延長措置が適用される場合があります。
例えば、次のようなケースは延長措置対象に該当する可能性があるでしょう。
- 長期海外留学
- 出産・育児
- その他、心理臨床業務を休業せざるを得ない特別な理由
こうした事情により所定のポイントを取得できない場合、資格審査委員会の審議を経て、1年単位で2年間を限度に延長措置が認められることがあります。
更新期限内のポイント獲得が難しいときには、事前に日本臨床心理士資格認定協会に相談し、延長措置の可能性を確認してみてください。
臨床心理士の更新に間に合うよう研修へ参加しよう
臨床心理士の資格は5年ごとの更新が義務づけられており、更新手続きにあたっては、研修参加などによるポイントの獲得が必要です。
5年間で少なくとも15ポイントを取得していなければ、更新は原則認められません。
万が一、ポイントの不足に気付いた場合、適切な対応策をとりましょう。
オンライン研修を活用するほか、更新手続きの受付期間後の研修参加を報告書で申告するなど、自身の状況に応じた対策で資格失効を回避できる可能性があります。
また、ポイントを獲得できない特別な事情がある場合、延長措置の適用可否を早めに問い合わせてみてください。
臨床心理士資格を保持し続けるには、資格更新が欠かせません。
日頃から研修に関する情報を集め、スキルアップを図りながら計画的にポイントを獲得して、スムーズな更新をめざしましょう。