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歯科衛生士の離職率は高い?離職する理由や転職先を解説

「歯科衛生士の離職率はどのくらい?」
「歯科衛生士の離職率は他と比較して高いの?低いの?」

歯科衛生士として働いている人や、歯科衛生士をめざしている人は、歯科衛生士の離職率について、上記のように疑問を抱くことがあるかもしれません。

歯科衛生士の離職率は、明確な数値が公表されていないものの、転職経験者数から推し量ることができます。

この記事では、歯科衛生士の転職経験数を、他の医療従事者や社会人全体と比較する形で見ていきましょう。
歯科衛生士の離職理由や離職後の転職先についても、併せて解説します。

歯科衛生士の離職率は高い?低い?

歯科衛生士の離職率は高い?低い?

ここでは、歯科衛生士の転職経験者の数から、退職者の傾向を推し量っていきます。

「令和2年衛生行政報告例」によると、歯科衛生士は調査時点で約14万人働いています。
令和2年の「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」では、働いている歯科衛生士全体の76.4%が転職を経験していることがわかりました。

つまり、働いている歯科衛生士のうち約14万人のうち、約11万人が転職経験者です。
さらに、転職経験者を常勤と非常勤に分けると以下のようになります。

  • 常勤:66.2%
  • 非常勤:91.3%

非常勤はほぼ転職経験者であり、常勤の歯科衛生士でも半数以上が転職経験があります。
看護師と社会人全体の転職経験者の割合を比較した表がこちらです。

歯科衛生士 76.4%
看護師 50.5%
社会人全体 68.4%

看護師と比較すると、転職経験者の割合が高いです。
社会人全体と歯科衛生士を比較すると8%上回っており、転職経験者の割合が高いのがわかります。

離職率はわかりませんが退職経験者の数が多く、働いている歯科衛生士の76.4%が退職経験があるため、離職率も高めであることが予想できるでしょう。

歯科衛生士の離職理由

歯科衛生士の離職理由のうち、よくあるものを5つ紹介します。

  • 院長・経営者との折り合いがつかない
  • 先輩・同僚との関係が悪い
  • ライフスタイルの変化
  • 給料が安い
  • キャリアアップしたい

離職理由は、必ずしもネガティブなものばかりでもなく、ポジティブなものもあります。
順番に見ていきましょう。

院長・経営者との折り合いがつかない

歯科医院は開業医の院長や経営者が全権を握っており、絶対的な地位を確立しているケースが少なくありません。
そういった歯科医院では、歯科衛生士が院長や経営者と治療方針や仕事のやり方をめぐって対立し、その末に退職してしまうことがあります。

折り合いがつかず意見がまとまらない場合や、院長や経営者との関係が悪くなってしまった場合は、歯科衛生士が辞めざるを得なくなることが多いでしょう。

このような理由で退職した歯科衛生士が転職先を選ぶ場合には、院長の人柄や治療方針をよく調べたうえで応募したほうが良いでしょう。

先輩・同僚との関係が悪い

歯科医院は、比較的閉鎖的な職場環境です。
そのため、たとえ先輩や同僚との関係が険悪になっても、仕事上のコミュニケーションは取らなければなりません。
険悪な相手とのコミュニケーションはストレスの原因となるため、関係が修復できなければ退職してしまうケースも多いでしょう。

ライフスタイルの変化

歯科衛生士の勤務実態調査報告書では、勤務先変更理由のトップがライフスタイルの変化で、その割合は58%です。

同報告書では、歯科衛生士のほとんどが女性であることもわかっています。
歯科衛生士の99%は女性で、男性はわずか0.4%しかいません。

一般的に、女性は結婚・出産・育児といったライフスタイルの変化が理由で退職することが男性よりも多い傾向にあります。
女性の割合が多い歯科衛生士でも、ライフスタイルの変化で退職する人は少なくありません。

給料が安い

歯科衛生士の年収は、令和4年賃金構造基本統計調査によると約382万円です。
その他の医療従事者と比較すると下表のとおりです。

職種 年収
歯科衛生士 約382万円
看護師 約508万円
薬剤師 約583万円
理学療法士 約431万円
診療放射線技師 約544万円
臨床検査技師 約509万円

上表から、歯科衛生士の年収は医療従事者のなかでもかなり少ないのがわかります。
年収は働く地域やクリニックにより異なりますが、年収382万円の場合、年間の手取りは約300万円、月あたり25万円程度です。
家族構成や保険の加入状況でも多少変わりますが、目安にしていただくと、収入が具体的にイメージしやすいでしょう。

他の国家資格を持つ医療従事者に比べて明らかに低い給与も、退職の理由になっていることが考えられます。

キャリアアップしたい

成長意欲がある歯科衛生士であっても、新しい仕事を任せてもらえなかったり、歯科医院が新しい治療法の導入をしなかったりすると、転職によるキャリアアップを検討する可能性があります。

特に長期的なキャリアプランを描いている人であれば、スキルアップができないまま経験年数ばかりが積み重なる状況には我慢がならないでしょう。
転職すれば歯科衛生士としてキャリアアップでき、今まで経験できなかった症例を体験できます。

離職した歯科衛生士の転職先は?

離職した歯科衛生士の主な進路は以下の6つです。

  • 歯科医院へ転職する
  • 病院へ転職する
  • 保健所へ転職する
  • 歯科関連の企業やメーカー
  • 異業種に転職する
  • 失業保険を受給し、時間をかけて転職活動をする

日本歯科衛生士会によると、歯科衛生士は90%以上が歯科医院で働いており、退職後も再度歯科医院へ転職しています。
歯科医院の数はコンビニよりも多いため、歯科衛生士は自身の希望にあった職場を見つけて転職することが、他の職種に比べて難しくありません。

歯科医院では経験できない業務を希望する方は、病院や保健所で働く選択肢もあります。
歯科衛生士の資格を活かしつつ臨床以外の職場を望む場合は、歯科関連の企業やメーカーへ転職するのがおすすめです。
臨床で得られた知識や経験を活かしつつ、今までとは違う環境で働けます。

今までとは異なる業種へ転職したい場合はリスクが高いです。
歯科衛生士としてのキャリアが活かせないケースが多く、ビジネスマナーから学びなおす必要があるかもしれません。
また、就活時のライバルは自分よりも若く、新卒や第二新卒という有利な条件を持っているため、なかなか採用が決まらない可能性もあります。

失業保険の受給条件を満たしているのであれば、転職を急がず、時間をかけて再就職先を探しても良いでしょう。

歯科衛生士の離職率は高いとはいえないが転職経験者は多い

歯科衛生士の離職率は公的な機関から発表されておらず、正確な数値はわかりません。
しかし、転職経験者が76.4%おり、医療従事者と比較しても薬剤師と同様に高い水準です。

歯科衛生士のよくある退職理由は以下の5つです。

  • 院長・経営者との折り合いがつかない
  • 先輩・同僚との関係が悪い
  • ライフスタイルの変化
  • 給料が安い
  • キャリアアップしたい

女性の多い職場なので、結婚や出産などによるライフスタイルの変化は特に大きな割合を占めます。

歯科衛生士は国家資格なので、一度退職しても再度働くことは比較的簡単です。
今の職場が居づらいと感じたり、このまま働き続けるのは難しいと思ったら、転職を考えてみても良いでしょう。

執筆者について

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