
鍼灸師は、東洋医学の知識と技術を活かして、人々の健康をサポートする重要な医療専門職です。
そのため、この職業に就くには、国家資格の取得が必須となります。
本記事は、鍼灸師に必要な免許について詳しく解説するものです。
また、免許を取得するための方法や、免許に関するよくある質問についてもわかりやすく説明していきます。
鍼灸師をめざす方や、興味をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
鍼灸師には免許が必要?
鍼灸師は、鍼(はり)や灸(きゅう)を使用して、体のツボや筋肉を刺激し、自然治癒力を高めたり、病気の治療・予防を行ったりする医療専門職です。
この職業には、はり師ときゅう師という2つの国家資格が存在します。
通常、これらの資格は同時に取得できるため、はり師ときゅう師両方の資格を持つ専門職を鍼灸師と呼びます。
鍼灸師という職業は高度な専門性と法的な裏付けを持つ医療職であり、その資格取得には厳格な条件が設けられています。
鍼灸師の免許を取得する方法
鍼灸師の免許を取得するためには、年に1回実施される国家試験に合格しなければなりません。
この国家試験の受験資格は、以下の2つのケースで分けられています。
- 一般の方の場合
大学に入学できる学力を持つ方で、養成課程のある専門学校または大学で3年以上、必要な知識や技術を習得した方が受験資格を得られます。 - 視覚障害のある方の場合
高校に入学できる学力を持つ方で、養成課程のある専門学校または大学で5年以上、必要な知識や技術を習得した方が受験資格を得られます。
国家試験では、はり師ときゅう師の試験を同時に受けることができます。
願書に同時受験の旨を記載すれば、共通科目を片方で免除されるので、忘れず記入しましょう。
2024年現在、一般を対象とする試験会場は以下の11の都道府県に限定されています。
- 北海道
- 宮城県
- 東京都
- 新潟県
- 愛知県
- 大阪府
- 広島県
- 香川県
- 福岡県
- 鹿児島県
- 沖縄県
なお、視覚障がい者対象の試験については、各都道府県で実施されます。
試験に合格したあとは、はり師・きゅう師としての登録を申請することが必要です。
登録が完了すると、晴れて免許が交付されます。
このように、鍼灸師の免許取得には、専門的な教育を受け、国家試験に合格し、正式に登録するという一連のプロセスが必要となるのです。
鍼灸師の免許に関するよくある質問
鍼灸師の免許について、疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。
ここでは、よくある質問とその回答を紹介します。
免許のサイズや登録料、独学での取得が可能かどうかなど、具体的な疑問点について詳しく解説していきます。
鍼灸師の免許のサイズは?
鍼灸師の免許に関して、そのサイズや形態についてよく質問が寄せられます。
ここでは、実際の免許証のサイズと、携帯用の証明書について説明します。
まず、免許登録後に交付される正式な免許証のサイズはB4サイズです。
これは一般的な賞状のサイズに相当し、フレームに入れて保管したり、壁にかけたりするのに適しています。
一方、鍼灸師の免許を保有していることを示す別形態の証明書として、厚生労働大臣免許保有証があります。
これは厚生労働省が直接発行する免許証ではありませんが、公益財団法人東洋療法研修試験財団が発行する携帯用のカードです。
免許保有証はクレジットカードサイズで、顔写真が入っています。
携帯性に優れているため、日常的な身分証明や資格証明に便利です。
ただし、免許保有証の携帯は必須ではなく、鍼灸師の免許さえあれば働くことができます。また、鍼灸師の免許は更新の必要がないのに対し、免許保有証は5年ごとに更新が求められ、日本鍼灸師会会員で2,000円、準会員・非会員では4,000円の申請手数料が必要です。
鍼灸師の免許登録料は?
鍼灸師の免許を取得する際には、登録料が必要です。
ここでは、具体的な金額と支払い方法について詳しく説明します。
鍼灸師の免許登録は、公益財団法人東洋療法研修試験財団に申請書類を請求するか、卒業校などで配布された申請書類を使用して行います。
申請の際には、申請手数料と収入印紙(登録免許税)の2種類の支払いが必要です。
具体的な金額は以下のとおりです。
- 申請手数料:1免許につき5,600円
- 登録免許税:1免許につき9,000円
したがって、はり師ときゅう師の2つの免許を登録する場合、以下の支払いが必要です。
- 申請手数料:5,600円 × 2 = 11,200円
- 登録免許税:9,000円 × 2 = 18,000円
合計すると、鍼灸師の免許取得には29,200円が必要ということになります。
この金額は決して安くはありませんが、専門職としての公的な認証を得られますし、1回登録すれば更新の必要はありません。
将来の職業人生を考えると、十分に価値のある支出だといえるでしょう。
鍼灸師の免許は独学で取得できる?
鍼灸師をめざす方のなかには、独学で免許を取得できないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、残念ながら、鍼灸師の免許を独学で取得することは不可能です。
前述のとおり、鍼灸師の国家試験を受験するためには、認定された養成校で必要なカリキュラムを受講することが条件となっています。
このため、独学では国家試験の受験資格を得ることができず、結果として鍼灸師の免許取得はできません。
ただし、就業などの理由で昼間に養成校に通うことが難しい場合でも、資格取得を諦める必要はありません。
夜間部を設置している養成校もあるため、仕事や家事・育児・介護などと両立しながら学ぶことが可能です。
夜間部でも、昼間部と同等のカリキュラムにより、国家試験の受験資格を得ることが可能です。
また、夜間に学ぶことで、昼間は実務経験を積むこともでき、理論と実践を同時に学べるメリットもあります。
このように、独学での免許取得は不可能ですが、個々の事情に合わせた学習方法を選択することで、鍼灸師をめざす道は開かれるといえるでしょう。
鍼灸師として働くためには国家試験に合格して免許の取得が必須
鍼灸師は、東洋医学の知識と技術を活かして人々の健康を支援する重要な医療専門職です。
この職業に就くためには、国家資格の取得が絶対条件となります。
鍼灸師になるためには、専門学校や大学での3年以上の学習、国家試験の合格、そして登録申請と免許取得という段階を踏むことが必要です。
独学での資格取得は不可能ですが、夜間部などの柔軟な学習オプションも用意されています。
免許取得には一定の費用がかかりますが、これは専門職としてのキャリアを築くための重要な投資といえます。
鍼灸師をめざす方は、資格取得のプロセスを通じて、高度な知識と技術を身につけ、患者さんの健康と幸福に貢献する準備を整えることができるでしょう。