
介護福祉士からのキャリアアップ先の一つとして、生活相談員が挙げられます。
生活相談員は、いろいろな職場で働いており、それぞれの職場によって仕事内容は異なります。
各職場による主な業務は、以下のとおりです。
- 特別養護老人ホーム
利用者の窓口や介護職員との調整業務など - デイサービス
利用者の窓口や相談対応、介護職員との連絡や調整など - ショートステイ
利用者の利用日程調整や施設の入退所手続き、介護職員の調整など
介護福祉士からキャリアアップしたい方で、生活相談員に興味がある方は、参考にしてみてください。
目次
介護福祉士から生活相談員はめざせる?
介護福祉士から生活相談員はめざせるのでしょうか。
生活相談員になるための要件に「介護福祉士」は含まれておりませんが、自治体によっては「介護福祉士」が含まれている場合もあります。
「介護福祉士」は基本の要件には含まれていない
生活相談員になるための要件は、以下のいずれかの資格が必須です。
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 社会福祉主事任用資格
つまり「介護福祉士」は、基本要件には含まれていません。
しかし、都道府県によって、生活相談員になるための要件が異なっているのが現状です。
都道府県によって要件が異なる理由は、厚生労働省が出している「生活指導員」の指定条件が曖昧であり、都道府県によって解釈が異なるためです。
都道府県によっては、上記の3要件を満たしていなくても、介護福祉士の実務経験があることで生活相談員として働ける場合があります。
自治体ごとの要件例
以下に5つの自治体ごとの要件例を紹介します。
後述する5つの自治体は、生活相談員の要件として「介護福祉士」が入っていたり、「介護福祉士」として実務経験が必要であったりする自治体です。
- 東京都
- 大阪府
- 千葉県
- 埼玉県
- 福島県
東京都
東京都は、「介護福祉士」が生活相談員の要件に入ります。
東京都の要件は、以下のとおりです。
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 三科目主事
- 上記と同等と認められるもの
上記と同等と認められるもののなかから、「介護福祉士」のみを抜粋します。
資格 | 必須経験 | 証明するもの |
---|---|---|
介護福祉士 | 下記の施設において実務経験が通算で1年以上(勤務日数180日以上)
|
|
大阪府
大阪府の要件は、平成27年4月1日より以下のとおりとなっています。
- 社会福祉法第19条第1項各号に該当する者
- 介護福祉士
- 介護支援専門員
このように、大阪府では生活相談員の要件に、「介護福祉士」が入っています。
社会福祉法第19条第1項各号に該当する者とはこちらです。
1 学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学、旧高等学校令に基づく高等学校又は旧専門学校令に基づく専門学校において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
2 厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
3 社会福祉士
4 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
5 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの
精神保健福祉士
学校教育法に基づく大学において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて大学院への入学を認められた者
引用:社会福祉法第19条第1項
千葉県
千葉県の要件は、以下のとおりです。
- 三科目主事(大卒)
- 社会福祉主事任用資格
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
社会福祉法第19条第1項各号の「これと同等以上の能力を有すると認められる者」の解釈は以下のとおりです。
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
このように、千葉県では生活相談員の要件に、「介護福祉士」が含まれていることが分かります。
埼玉県
埼玉県は、「介護福祉士」が生活相談員の要件に入ります。
埼玉県の生活相談員は、「社会福祉主事の任用資格に該当する者かこれと同等以上の次の資格を持つ者」を要件としており、該当する資格は以下のとおりです。
- 社会福祉主事任用資格者
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
よって、介護福祉士であれば生活相談員になることが可能です。
参考:13 介護老人福祉施設 <人員基準のポイント> ・ 管理者(管理上支障がない場合は
福島県
福島県では、「実務経験を有する介護福祉士」が生活相談員の要件に含まれますが、一定の条件を満たす必要があります。
「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者」のほか、「これと同等以上の能力を有する者」として、通所介護についてのみ、「通所・入所系サービス事業所において5年以上の実務経験を有する介護福祉士」を要件に含めています。
通所・入所系サービス事業所とは、以下のとおりです。
- (地域密着型)通所介護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- (地域密着型)特定施設入居者生活介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 介護老人福祉施設
- 介護療養型医療施設
- 介護老人保健施設
- 介護医療院(小規模多機能型居宅介護および看護小規模多機能型居宅介護については、訪問サービスのみの実務経験は認めない)
介護福祉士の資格があれば生活相談員をめざせる自治体は多い
生活相談員の要件には、「介護福祉士」は入っていません。
しかし、示されている要件には「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者と同等以上の能力を有する者」とあり、「同等以上の能力を有する者」の解釈が、自治体により異なります。
本記事で紹介した東京都や大阪府、千葉県、埼玉県、福島県では、「介護福祉士」の資格や、「介護福祉士」としての一定の実務経験があることが生活相談員の要件に含まれています。
介護福祉士からのキャリアアップの一つとして、生活相談員をめざしてみるのも良いでしょう。