介護福祉士の国家試験には毎年一定数の方が不合格になります。
令和5年の不合格者数は約12,440人です。
「なぜ私は落ちてしまったのだろう」と悩んでいる方に向けて、試験に落ちる原因を紹介します。
国家試験に落ちてしまったけど、再挑戦し合格をめざしたいと考えている方は、本記事の後半に紹介している国家試験に合格するための方法についてもご覧ください。
目次
介護福祉士の国家試験に落ちる原因
令和3年度介護福祉士国家試験の合格率は72.3%と比較的高く、一方で約3割の方が試験に落ちていることがわかります。
国家試験に合格できなかった原因を知ることで、対策を考えられます。
介護福祉士の国家試験に落ちる原因は以下の4つです。
- 選択式問題だからと油断している
- 合格率の高さから試験を甘く見ている
- 実務経験があるから受かると思い込んでいる
- 国家試験同様の模擬テストを受けていない
順番に紹介していきます。
選択式問題だからと油断している
介護福祉士の国家試験は五肢択一式です。
記述式とは異なり、選択肢の中から答えを選べば良いので、消去法や勘で選んでも一定の確率で正解します。
そのような背景から、選択式だから大丈夫と考えて勉強をおろそかにしていると、試験に落ちてしまいます。
消去法で選択肢を3つに絞り込んだとしても正解率は33%、2つに絞り込んだとしても正解率は50%です。
介護福祉士の国家試験に合格するためには125点中78点以上正解する必要があり、正答率60%以上が必須です。
消去法や勘で適当に答えていては、正答率60%は難しいでしょう。
正しい知識に基づく根拠のある解答を続けなければ合格できないため、選択式問題の場合でも勉強が必要です。
合格率の高さから試験を甘く見ている
介護福祉士の合格率は過去10回の平均で約68%です。
計算上、10人受験するとおよそ7人合格するので合格率は高いと考えられます。
しかし、合格率の高さから介護福祉士の国家試験は簡単だと思い込み、あまり勉強せずに本番に挑むと不合格となることもあります。
平均68%の合格率が出せているのは、しっかりと勉強し国家試験に挑戦している方が多いためです。
介護福祉士の国家試験は、合格率が高いから勉強しなくても合格できる試験というわけではありません。
十分な勉強期間を設け、日々コツコツと勉強を積み重ねる必要があります。
合格率をあてにせず、「これだけやったから大丈夫」と言い切れるだけの勉強をしましょう。
実務経験があるから受かると思い込んでいる
介護福祉士の受験資格を得るためには、大きく分けて4つのパターンが存在します。
- 養成施設
- 実務経験
- 福祉系高校
- 経済連携協定
実務経験者は受験するために実務経験3年以上が必要なので、受験時点で一定の介護知識があります。
そのため、受験するにあたって過去問を見た際に、勉強しなくても解ける問題が複数あり、あまり難しくないと感じる方もいるでしょう。
一部の問題を解いただけで難しくないと思い込んでしまい、あまり勉強せずに本番を迎えると、不合格という結果になってしまうことも考えられます。
介護福祉士の出題範囲には、福祉制度や法律などの実務以外の問題も出題されます。
普段の業務内容に関わる問題は勉強せずに答えられるかもしれませんが、制度や法律に関する問題は知識がないと答えられません。
実務経験があってもわからない出題範囲があるので、しっかりと勉強する必要があります。
国家試験同様の模擬テストを受けていない
国家試験本番は、受験者全員が同時に問題を解き始めます。
本番の雰囲気は緊張感があり、普段勉強している雰囲気とは異なります。
普段と違う雰囲気のなかで問題を解こうとしても集中できず、自分の実力を発揮できるとは限りません。
国家試験本番までに何度か国家試験同様の模擬テストを受け、厳密な時間管理のもと、集団で問題を解くことに慣れておくと、普段の実力を発揮しやすくなります。
「介護福祉士 全国統一模擬試験」で検索すれば、複数の企業が行っている模擬試験のサイトが表示されるため、利用するのも一つの方法です。
試験日や試験場所がそれぞれ異なるため、自分の都合の良い模擬試験を選びましょう。
費用は5,000円~10,000円ほど必要ですが、貴重な経験ができておすすめです。
介護福祉士の国家試験に落ちた人が合格する方法
介護福祉士の国家試験に落ちた方が、再受験して合格する方法を紹介します。
- 気持ちを切り替え前向きに考える
- 勉強の仕方を変更する
- 短期集中ではなく長期間コツコツ勉強する
- 講座を利用する
一度国家試験に落ちた方は、今までとは違う方法で合格に向け取り組まなければなりません。
順番に説明していきます。
気持ちを切り替え前向きに考える
国家試験に落ちると誰もがショックを受け、落ち込みます。
気持ちが落ち込んだまま、仕方なく来年の受験に向け勉強を始めても、効率良くありません。
まずは気持ちを切り替え、受験に向けて前向きに考えられる状態にしましょう。
資格を取ったあとの自分をイメージするとモチベーションが高まります。
また、介護福祉士の資格を取得したあとは、下記のようなメリットもあります。
- 年収が上がる
- 転職で有利になる
- ケアマネジャー試験へ挑戦できる
メリットを加味した将来像を具体的にイメージし、資格取得に意欲的な状態で勉強を再開しましょう。
勉強の仕方を変更する
今までの勉強方法を続けていても、次回の国家試験ではまた落ちてしまうかもしれません。
そのため勉強の仕方を変えてみましょう。
今まで過去問をひたすら解き勉強していた方は、穴埋め式問題を解く方法や口頭での出題・解答方法を行うのがおすすめです。
過去問は選択式のため、選択肢のなかに答えが用意されています。
完璧に理解できていなくても、見覚えのある単語を選び正解することもできますが、次も正解できる保証はありません。
穴埋め式問題は、ゼロから自分で答えを考え出さなければならず、選択式よりも正確な知識が求められます。
自分の理解度を確認する意味でも、穴埋め式問題はおすすめです。
口頭での出題・解答も理解度チェックには有効です。
間違えた問題を声に出して読んでみたり、友達やご家族にお願いして口頭で問題を出してもらったりして勉強しましょう。
短期集中ではなく長期間コツコツ勉強する
介護福祉士の国家試験を受験する方には、介護従事者として働きながら勉強している方もいます。
そのため、まとまった勉強時間の確保が難しく、仕事が休みの日に長時間勉強する方もいるでしょう。
短時間に集中して勉強するよりも、毎日30分でも勉強するほうが効率的といわれています。
なぜなら一度勉強した内容を忘れてしまっても、次の日に同じ内容を勉強すれば短時間で記憶できるからです。
これは、ドイツの心理学者が考案した「エビングハウスの忘却曲線」でいわれている内容です。
1日後と1ヵ月後を比較すると、覚え直す時間に13%の差がつくため、毎日コツコツ勉強し一度覚えた内容を覚えなおす時間をできるだけ短くすると、勉強効率が上がります。
講座を利用する
独学で国家試験に落ちてしまった方は、通信講座を利用するのもおすすめです。
通信講座は、過去問を解説している動画や、わかりやすくまとめられたテキストなどを使用できます。
費用はかかりますが、自分で教科書を読み解くことが苦手な方には向いているでしょう。
通信講座の費用は25,000円~70,000円程度と幅が広く、個人の予算と講座内容を比較し選ぶ必要があります。
プレッシャーに強い方は、「受講料分を余計にお金をかけているのだから受からなければいけない」と自分を追い込み、通信講座を効果的に利用することも可能です。
介護福祉士試験に落ちることがないよう対策して合格をめざそう
介護福祉士の国家試験は勉強すれば合格できる資格です。
しかし一度落ちてしまった方は、初めて受ける方とは合格までのアプローチを変える必要があります。
精神面や効率を重視した勉強の仕方を理解した勉強が必要です。
自己管理が苦手な方は通信講座を利用すれば、勉強スケジュールとテキストが手に入ります。
自分に合った対策をし、合格をめざして勉強に励みましょう。