
介護福祉士の義務規定とは、社会福祉士及び介護福祉士法により介護福祉士が専門職として果たすべき義務として定められた規定です。
6つの義務規定が定められており、違反すると、登録取り消しなどの罰則を課せられる場合があります。
本記事では、2007年に見直された介護福祉士の6つの義務規定を詳しく解説します。
違反すると罰則が科される義務に関して義務規定に関しても紹介しているので、介護福祉士の資格に興味のある方は、ぜひ参考にしましょう。
目次
介護福祉士の6つの義務規定
介護福祉士には、社会福祉士及び介護福祉士法により、以下の6つの義務規定が定められています。
- 誠実義務
- 信用失墜行為の禁止
- 秘密保持義務
- 連携
- 資質向上の責務
- 名称使用の制限
それぞれの義務規定の内容を詳しく解説します。
誠実義務
誠実義務は、社会福祉士及び介護福祉士法が2007年に改正されたとき、義務規定に追加されました。
誠実義務とは、介護福祉士が利用者さんに対して、誠実に業務に取り組む姿勢を義務付けるものです。
介護福祉士は、この誠実義務に基づき、利用者さんの尊厳を保ち、利用者さんの立場に立って、日常生活の自立に向けて業務に取り組まなければなりません。
利用者さんの尊厳を蔑ろにする行為や、利用者さんが不利益を被るような行為はやめましょう。
信用失墜行為の禁止
介護福祉士は専門性のある国家資格であり、介護のプロとして社会的に信用されています。
信用失墜行為の禁止とは、介護福祉士に対する社会的な信用を失わせるような行為を禁止するものです。
業務の内外を問わず、犯罪行為や著しいモラル違反をおかすと、個人だけでなく、介護福祉士全体の信用を損なう恐れがあります。
社会通念に基づき批判されることになりますので、業務中だけでなくプライベートにおいても、介護福祉士は国家資格を有する専門職としての自覚をもち、一般常識をもって行動しましょう。
秘密保持義務
介護福祉士は利用者さんやご家族のプライベートな情報を知ることが多いです。
しかし、介護福祉士には秘密保持義務があるため、個人情報やプライベートなことは、正当な理由がない限り、他者に漏らしてはいけません。
秘密保持義務は、介護福祉士を辞めたり事業所を退職したりしたあとでも、継続するので注意が必要です。
また、介護サービス間で情報共有する場合などは、利用者さんやご家族の情報を伝える必要がありますが、その場合でも、利用者さんやそのご家族から、個人情報の使用に関する同意を得なければなりません。
なお、秘密保持義務に違反すると罰則が科せられます。
義務規定違反に関する罰則に関しては、のちほど詳しく解説します。
連携
介護福祉士は、利用者さんの心身の状況に応じて、保健医療、福祉、その他のサービスが総合的に提供されるよう、さまざまな関係者と連携しなくてはいけません。
義務規定における「連携」も、2007年の社会福祉士及び介護福祉士法改正時に改正されました。
以前は医師などの医療関係者との連携について述べられていましたが、新たな規定には医療関係者だけでなく、福祉サービス提供者などとの連携も追加されました。
この背景には、介護福祉士は身体的な介助だけでなく、認知症など心身の変化に応じた対応が求められる点があります。
資質向上の責務
資質向上の責務に関する義務規定も、社会福祉士及び介護福祉士法が2007年に改正されたときに追加されたものです。
介護に関する環境は日々変化をしています。
そのため、介護福祉士も時代の変化に応じて、知識・技術の向上に努めなければいけません。
介護福祉士の資格を取得したら学びが終わりではなく、資格取得後の自己研鑽も介護福祉士の大切な役割です。
名称使用の制限
介護福祉士は名称独占資格です。
名称独占資格とは、資格を所有している者しか資格の名称を名乗れないという資格です。
つまり、介護福祉士の資格を取得していなければ、介護福祉士を名乗ることはできません。
他にも管理栄養士や理学療法士、作業療法士なども名称独占資格です。
名称使用の制限に違反すると罰則が科せられます。
違反すると罰則になる義務規定
義務規定のなかには、違反すると罰則が科せられるものもあります。
特に罰則が重いのが、秘密保持義務と名称使用の制限です。
介護福祉士が秘密保持義務に違反し、業務上知り得た利用者さんの情報を、正当な理由なく他者に漏らした場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
名称使用の制限に違反し、介護福祉士の資格がないにも関わらず介護福祉士と名乗って業務などを行った場合、30万円以下の罰金を支払わなければなりません。
また、信用失墜行為の禁止や秘密保持義務に違反すると、一定期間の使用停止、または登録取り消しになる場合があります。
こういった罰則が存在するのは、義務規定がそれだけ介護福祉士にとって重要なものだからです。
しっかりと守ったうえで、日々の業務に取り組んでください。
介護福祉士の義務規定に違反すると罰則があることも
介護福祉士には6つの義務規定が定められており、介護の専門職として果たすべき役割や義務が決められています。
なかでも秘密保持義務や名称使用の制限は、違反すると懲役や罰金といった重い罰則を科せられます。
他の義務規定についても、介護福祉士が専門職として働くために守らなければならない大事な義務です。
罰則の有無に関わらず、介護福祉士として働くために、義務規定をしっかり理解しておきましょう。