
介護福祉士の資格は、介護業界のなかで唯一の国家資格です。
資格がなくても介護士として働くことは可能ですが、資格を取得することによって資格手当として給料に反映されたり、専門的な知識やスキルを証明でき、チームリーダーを任されたりするなど、活躍の範囲も広げられるでしょう。
しかし、介護福祉士の資格を得ようと思っても、欠格事由に該当してしまうと資格が与えられない可能性もあります。
今回の記事では、介護福祉士の欠格事由や資格の剥奪を紹介するのでぜひ参考にしてください。
目次
介護福祉士の欠格事由とは
介護福祉士の資格は、国家試験の合格後、介護福祉士として登録することによって得られるものです。
国家試験は受験資格を満たしていれば誰でも受験できますが、実際に資格が与えられるかどうかは、「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」によって審査を受けて決定されます。
その際に欠格事由に該当している場合は、介護福祉士の資格が与えられません。
ここからは、欠格事由の詳細を解説していきます。
なお、介護福祉士の概要はこちらの記事で紹介しています。
今から介護福祉士をめざす方は参考にしてみてください。
精神的な疾患により介護福祉士として適正な業務が難しい
介護福祉士の欠格事由の1つ目は、精神の機能障害により介護福祉士の業務を適正に行うために必要な判断やコミュニケーションが難しい場合です。
介護福祉士は、食事介助・排泄介助などの身体介護や買い物・洗濯などの生活支援、相談対応をとおして、介護を必要としている方をサポートします。
介護福祉士として、利用者とコミュニケーションを取りつつ、体調や精神状態を観察し、状況に応じた対応ができる判断力も求められるでしょう。
介護福祉士として、必要な認知・判断能力やコミュニケーション能力がないと利用者を危険に晒してしまう可能性もあるかもしれません。
禁錮以上の刑を処せられた
禁錮以上の刑を処せられた場合や執行猶予から2年が経過していない場合も、介護福祉士の欠格事由に該当します。
禁錮以上の刑とは、「禁錮刑」「懲役刑」「死刑」の3つです。
「禁錮刑」も「懲役刑」も刑務所に拘置される点は同じですが、「禁錮刑」は刑務作業が義務ではない点が違います。
禁錮刑が適用される事例としては、業務上過失致死傷罪や名誉毀損罪、過失運転致死傷罪などがあり、意図していない犯罪も含まれます。
特に車の運転などは、誰もが事故を起こしてしまう可能性を秘めているでしょう。
日常生活のなかで該当しないように注意が必要です。
罰金刑を処せられた
以下の法律に違反し、罰金の刑に処せられた場合や、執行猶予から2年が経過していない場合も介護福祉士の欠格事由に該当します。
- 社会福祉士及び介護福祉士法
- 精神保健福祉士法
- 社会福祉又は保健医療に関する法律
社会福祉士及び介護福祉士法では、第五章に罰則が規定されており、介護福祉士の職務で知り得た人の情報を正当な理由なく漏らしてしまった場合などに罰金の刑が処せられると記載されています。
法律違反により登録を取り消された日から2年経過していない
法律違反によって介護福祉士の資格を剥奪されてしまった方の場合は、剥奪日から2年経過していない場合も欠格事由に該当します。
詳細は後述しますが、介護福祉士として登録されたのち、法律違反などによって資格が取り消されてしまうこともあるのです。
登録を取り消されてから2年が経過するまでは、介護福祉士の資格は与えられません。
介護福祉士の資格が剥奪されることはある?
基本的に介護福祉士の資格は有効期限などはなく、一生物の資格になります。
しかし、以下の事例に該当する場合は、介護福祉士の資格を剥奪されてしまう可能性があることを念頭に置いておきましょう。
介護福祉士の資格の取り消しは、社会福祉士及び介護福祉士法第三十二条にて定められています。
介護福祉士の登録時に虚偽や不正をした
介護福祉士の登録時に虚偽の申告や不正をしたことが判明した場合、介護福祉士の資格取り消しとなります。
介護福祉士の登録は、国家試験に合格したあとで、事前に欠格事由に該当しないことを自身で確認しなければいけません。
そののち、欠格事由に該当しない旨を記載した必要書類を社会福祉振興・試験センターへ提出し、試験センターにて書類内容を確認して審査されます。
虚偽の申告や不正をしてしまうと登録後であっても資格は取り消しです。
資格登録時は、正しい情報を申告書に記載するようにしましょう。
欠格事由に該当した
介護福祉士登録後に、先述した欠格事由に該当した際も、資格の取り消しになります。
介護福祉士として働いていたものの、精神的な疾患を患い介護福祉士として働くことが難しくなった、車の運転事故で禁錮以上の刑に処せられてしまったなどにより、介護福祉士の欠格事由に該当してしまうケースもあるかもしれません。
介護について規定している法律は目を通しておき、どのような行為が法律違反になってしまうか把握しておきましょう。
信用を失墜させるような行為をした
介護福祉士として信用を失墜させる行為をしてしまった場合も資格の取り消しになります。
介護福祉士をはじめ、介護職は社会を支える重要な役割を担う仕事です。
その社会的信用を失墜させてしまう行為、例えば万引きや交通事故、飲酒運転などの行為があった場合に資格は取り消されます。
信用を失墜させる行為の禁止は、社会福祉士及び介護福祉士法第四章にて介護福祉士の義務として定められています。
業務で知り得た秘密情報を漏洩した
介護福祉士は、その職業柄、利用者の住所・家庭事情などの個人情報を知り得る機会もあるでしょう。
個人情報などの業務で知り得た秘密情報を漏洩した場合も、資格の取り消しにつながります。
現代はSNSの時代だからこそ、意識せずにX(旧Twitter)でつぶやいてしまう、Instagramにあげてしまうなどといったことをしてしまいがちです。
誤って個人情報を漏らすことのないよう日頃から注意するようにしましょう。
また、介護福祉士を辞めたあとも、秘密情報の保持義務は継続されます。
業務で知り得た情報は、プライベートには持ち込まないよう徹底しましょう。
介護福祉士の欠格事由を理解しよう
欠格事由に該当してしまった場合、介護福祉士の資格は与えられません。
介護福祉士の欠格事由を理解しておき、介護福祉士として登録申請する前に欠格事由への該当の有無を自身で確認しましょう。
また、介護福祉士として登録されたあとも、資格が取り消しになってしまうケースが存在します。
社会福祉士及び介護福祉士法などには、介護福祉士として守るべき事項が記載されているので、一度目を通しておくと安心でしょう。