
介護福祉士をめざすなかで、自分がこの職業に向いているのかどうか悩むこともあるかもしれません。
介護福祉士に向いている人には、いくつかの特徴があります。
体力が必要な職業ではあるものの、それだけが理想的な介護福祉士の条件ではないことを覚えておきましょう。
本記事では、介護福祉士に向いている人・向いていない可能性がある人の特徴を解説します。
施設別に向いている人の傾向も紹介しているため、自分が介護福祉士に向いているのか悩んでいる方は参考にしてみてください。
目次
介護福祉士に向いている人の特徴
介護福祉士は、要介護者やそのご家族だけでなく、他職種との関わりも多い職業です。
介護福祉士に向いている人の特徴としては、以下が挙げられます。
- 人と接するのが好き
- コミュニケーション能力が高い
- 高齢者に丁寧な対応ができる
- 他人のペースに合わせられる
- 健康で体力がある
- 責任感がある
- 知識や技術を身につけるのが好き
- メンタルが強い
- 不規則な勤務に抵抗がない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人と接するのが好き
介護福祉士は、要介護者の生活サポートや介護が主な仕事であるため、人と関わる機会が多い傾向にあります。
また、要介護者以外にも他職種との連携が必要不可欠です。
このため一人でコツコツと仕事をこなすより、人と接しながら働きたい人に向いているといえるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力が高い人は、介護福祉士に向いています。
介護の現場では、要介護者やご家族とのコミュニケーションが必須です。
話しかけやすく、親身になって話を聞いてくれる存在となることで、信頼関係を築きやすくなるでしょう。
また、同じ職場のスタッフや他職種と連携する場面でも、コミュニケーション能力は少なからず求められます。
高齢者に丁寧な対応ができる
介護の現場では、高齢者を対象にするケースが多いため、目上の方に丁寧な対応ができる人は介護福祉士に向いているといえるでしょう。
対象者は何らかの疾患を持っていたり、場合によっては認知症の症状があったりします。
意思の疎通が困難な方や、一人では日常生活が送れない高齢者も少なくありません。
こうした方に対して真摯に向き合う、丁寧な対応が求められます。
他人のペースに合わせられる
他人のペースに合わせられる人は、介護福祉士に向いているといえるでしょう。
介護の現場では、食事や入浴、排泄などの介助を行う場合があります。
介護福祉士が対象とする高齢者のなかには、さまざまな疾患によって意思の疎通が困難な方も多く、食事や排泄など一つひとつの動作に時間を要するかもしれません。
そういった場面でも焦らず相手のペースに合わせられる方は、安心感を抱いてもらいやすく、他のスタッフとも良い関係が構築できるでしょう。
健康で体力がある
体が健康で体力がある人は、そうでない方と比べて介護福祉士に向いているといえます。
介護福祉士の仕事は、入浴・排泄介助や体位交換など身体介助が必要なケースも多く、体力を必要とするためです。
なかには寝たきりや麻痺がある要介護者が対象となる場合もあり、体の向きを変えたり、支えたりしなければなりません。
例えば自分自身に腰痛があると、これらの動きが負担となって症状が悪化するリスクも考えられます。
また、職場によっては24時間体制をとっているケースもあるでしょう。
早番・遅番といった不規則な勤務が続くと、どうしても体調を崩しやすくなるため、健康的で体力のある人材は重宝されます。
責任感がある
介護福祉士は人の健康や生活に関わる職業であるため、責任感がある方に向いているでしょう。
小さなミスでも、対象者の健康や人生に影響を与えるという自覚を持って働くことが求められます。
また、介護現場では他職種との連携も必要なため、責任感の強さは周囲からの信頼に直結する重要な要素です。
知識や技術を身につけるのが好き
新しい知識や技術を身につけるのが好きな人は、介護福祉士に向いています。
介護福祉士は、介護保険の仕組みを把握していなければなりません。
また、介護保険の制度改定や介護ケアに関する知識、技術の変化にも対応する必要があります。
勉強会への参加やさらなる資格取得をめざすなど、積極的な姿勢のある人は、介護の仕事に適任といえるでしょう。
メンタルが強い
メンタルが強い、あるいはストレス発散が上手な人は介護福祉士に向いています。
介護福祉士が働く職場によっては、ターミナルケアなど人の死に向き合わなければならない場面も少なくありません。
ときには対象者や同僚、上司などと意思の疎通がうまくいかず、理不尽な思いをする場面もあるでしょう。
このため介護福祉士は、精神的なストレスを後ろ向きに引きずらない心の強さや、切り替えの上手さを持ち合わせている人に向いているといえます。
不規則な勤務に抵抗がない
不規則な勤務に抵抗がない人は、介護福祉士に向いています。
職場によっては、24時間体制で介護を行うことになるかもしれません。
夜勤や早番、遅番など不規則な勤務に抵抗がなければ、介護福祉士として長く活躍できるでしょう。
介護福祉士の仕事内容や年収については、以下の記事で詳しく解説しています。
介護福祉士に向いていない人の特徴
ここまで介護福祉士に向いている人について紹介してきましたが、対する介護福祉士に向いていない人の特徴もチェックしてみましょう。
当てはまる部分があるからといって介護福祉士を諦める必要はないため、一つの参考にしてみてください。
潔癖すぎる
潔癖すぎる人は、介護福祉士として働くとなると苦労することもあるかもしれません。
介護福祉士の仕事では、介護を必要とする人の体に触れたり排泄の介助をしたりする場面が日常的にあります。
状況によっては、排泄物で汚れたシーツの交換や食べこぼしの片付けも必要です。
潔癖すぎる場合、人に触れることやオムツ交換などにストレスを感じてしまう可能性があるでしょう。
体力に自信がない
介護福祉士の仕事は、要介護者の体を支えたり入浴させたりするため、それなりに体力を必要とします。
24時間体制の施設では夜勤や不規則な勤務も発生することから、体調管理には常に気を遣わなければなりません。
そのため体力に自信がない、腰痛や持病がある方などにとっては負担が大きいと感じる場合があります。
気が短い
介護福祉士の仕事は、自分のペースで業務を進めにくいと感じることもあるでしょう。
対象となる要介護者だけでなく、職場のスタッフや他職種との連携も求められるためです。
また、介護を必要とする人やそのご家族の対応も業務範囲に含まれるため、自分中心で物事を進めたい方や気が短い人には向いていない可能性があります。
【介護福祉士が働く施設別】向いている人の特徴
介護福祉士の勤務先となるのは、主に以下3つの施設です。
- 入所型介護施設
- 居宅型介護サービス事業所
- 障がい者向け施設
ここからは、それぞれの施設で働く介護福祉士に向いている人の特徴を解説します。
入所型介護施設
介護福祉士が働く職場には、以下のような入所型介護施設があります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護付き有料老人ホーム
- 介護サービス付き高齢者向け居住施設 など
特に、特別養護老人ホームは要介護度の高い高齢者が入所する施設で、終の棲家となるケースもあり、入所期間が長いのが特徴です。
加えて、24時間体制の介護が必要な場合が多い傾向にあります。
・人と関わることが好きな人
・高齢者に丁寧な対応ができる人
・体力に自信がある人
・夜勤や不規則な勤務に抵抗がない人
居宅型介護サービス事業所
介護福祉士が働く職場には、以下のような居宅型の介護サービス事業所もあります。
- 訪問介護
- 通所介護(デイサービス)
- 短期入所介護(ショートステイ)
- グループホーム
- 小規模多機能型居宅介護事業 など
訪問介護では身体介護や食事の用意、洗濯掃除、買い物などのお世話を行います。
デイサービスでは、介護施設における身体介護やリハビリテーション、レクリエーションなどを行うケースが多いでしょう。
居宅型の介護サービス事業所の大きな特徴は、日中のみの介護となることから夜勤が発生しないという点です。
・人と接するのが好きな人
・コミュニケーション能力が高い人
・高齢者に丁寧な対応ができる人
・体力に自信がある人
障がい者向け施設
介護福祉士が活躍できる場所として、障がい者向けの施設があります。
主に、障害を持つ人の身体介護・生活援助やレクリエーション、リハビリテーション、就労サポートなどを行います。
障がい者向けの施設では、他分野の医療従事者との連携が必要です。
・人と接するのが好きな人
・他人のペースに合わせられる人
・責任感がある人
・コミュニケーション能力が高い人
・体力に自信がある人
介護福祉士に向いていなければ働けない?
誰にでも向き不向きはありますが、向いている人に当てはまらないからといって介護福祉士になれないわけではありません。
なかには、工夫次第で対策できるものもあります。
潔癖すぎる、体力に自信がないといった方は、入浴や排泄介助などの身体介助が比較的少ない職場を探すことも選択肢の一つです。
また、介護福祉士以外に「介護事務」「ケアマネジャー」などの資格取得をめざし、身体介助の比重を減らすのも良いでしょう。
気が短い傾向にある人は、スタッフが数人いる職場の場合は協力を求めたり、業務を分散したりすることで、仕事に対するイライラが軽減する可能性があります。
さらに、余裕のあるスタッフの良い部分を取り入れる努力をするなど、周囲を観察しながら対策を練ってみてください。
介護福祉士に向いている人の特徴を知り自分に合った働き方を見つけよう
介護福祉士に向いている人の特徴には、人と接することが好き、コミュニケーション能力が高い、高齢者に丁寧な対応ができることなどが挙げられます。
その一方で、潔癖すぎる、体力に自信がない、気が短い人は苦労する場面もあるかもしれません。
しかし、向いていない人の特徴に当てはまったとしても、介護福祉士として活躍することは十分可能です。
あるいは自分の傾向に合わせて対策を講じ、介護福祉士とは違う資格を取得するという道もあります。
本記事で解説した内容を参考に、自分に合った働き方を見つけましょう。