
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修を受ける必要があります。
しかし、実習内容やどれくらいの期間と費用が必要なのか、不安を感じる方も少なくないでしょう。
この記事では、これからケアマネジャーをめざす方々に向けて、介護支援専門員実務研修の内容・日程を解説します。
また、研修終了後にすべきことや、実習の厳しさについてもお伝えするので、ぜひ最後までお読みください。
目次
ケアマネジャーの実習とは?
一般的に「ケアマネジャーの実習」とは、介護支援専門員実務研修受講試験の合格者が受ける「介護支援専門員実務研修」を指します。
この実務研修を修了しないと、ケアマネジャーとして勤務することができません。
実務研修は「専門知識・技能を有するケアマネジャーを養成し、他職種との連携力を強化すること」が目的です。
介護サービス計画(以下、ケアプラン)の作成やモニタリングなど、ケアマネジメントの分野で必要な専門知識や技術を学んでいきます。
ケアマネジャー実務研修の内容・日程
ケアマネジャー実務研修、すなわち介護支援専門員実務研修は、計87時間を約15日間にわたって行います。
都道府県によって細かいプログラムや日程に違いがある場合はありますが、研修の内容や流れは共通です。
以下より、ケアマネジャー実務研修の具体的な内容・日程を解説します。
前期課程
前期課程では、主にケアマネジメントを行う際に必要となる考え方や、専門的知識・技術の習得をめざします。
前期課程のカリキュラム日程は、約5〜8日間です。
前期課程では、まず介護保険サービスの意義や目的、基本理念を学びます。
続いて、介護サービスの申し込みや相談、契約についての知識を身につけます。
その後、利用者の状況を正確に評価し、必要なサービスを見極める方法を学ぶ流れです。
さらに、前期課程では実際にケアプランの原案作成を行います。
利用者さんの生活目標達成や課題解決には、どのサービスを提供すべきか判断するスキルが必要です。
プラン作成のほかにも、生活課題を見つけるための「アセスメント」や、ケアプランの見直しが必要かどうか判断する「モニタリング」も学びます。
実習
前期課程の受講後1ヵ月以内に、指定された居宅介護支援事業所にて実習を行います。
実習にかかる期間は1~7日です。
実習では、アセスメントシートの記入やケアプランの立案など、主にケアマネジメントのスキルを学びます。
具体的には、実際に勤務しているケアマネジャーと一緒に利用者さんの自宅を訪問したり、サービス担当者会議に同席したりするでしょう。
また、実習を通して介護現場の仕事の流れやチームマネジメントも学んでいきます。
後期課程
後期課程のカリキュラムは約5〜7日かけて実施される場合が多くなっています。
後期課程は前期課程と比べて、グループワーク演習が多くなるでしょう。
実習で気付いた点や問題点についてグループで話し合いながら、じっくり考えを巡らせ、理解を一層深めます。
後期課程では、認知症や脳血管疾患、心疾患など、要介護認定の原因となる疾患別に配慮すべき点をふまえ、ケアマネジメントを展開する方法を修得します。
実務研修の最後にはテストが行われる場合もありますが、講義をしっかり聞いていれば回答できる内容であるため、あまり身構える必要はありません。
ケアマネジャー実務研修にかかる費用
ケアマネジャーの実務研修にかかる費用は、5〜6万円が相場です。
参考として令和2年度の厚生労働省の調査によると、受講者負担平均額は57,017円でした。
また、実務研修の費用は都道府県によって異なります。
同調査によると、費用が最も高額だったのが山形県の79,950円で、最も低額だったのが島根県の20,800円でした。
実際の実務研修の費用は、都道府県のホームページを見たり、担当窓口に直接問い合わせたりしてチェックしましょう。
ケアマネジャー実務研修が終わったあとにすべきこと
ケアマネジャーとして働くには、実務研修が終わったあとに、都道府県に登録手続きをしなければなりません。
また、ケアマネジャー資格の有効期限は5年と定められているため、定期的に更新研修を受講することも必要です。
都道府県に登録申請しケアマネジャーとして働く
実務研修が終わったあとは、修了証明書と必要書類を準備し、研修修了後3ヵ月以内に各都道府県の指示にしたがって登録手続きを行いましょう。
都道府県に介護支援専門員登録を申請すると、都道府県知事より介護支援専門員証が交付され、晴れてケアマネジャーとして働けます。
また、転職や引越しなど、何らかの事情で研修を受けた都道府県とは異なる場所で仕事をする場合もあるでしょう。
その場合、研修を受けた都道府県の担当部署に連絡を入れ、異動に関する手続きを行ってください。
更新研修を受講する
ケアマネジャーは資格取得後も、5年ごとに資格更新のための研修を受けなければなりません。
研修には、業務を継続するために定期的に受講する更新研修と、スキルアップのために受ける主任介護支援専門員研修があります。
ケアマネジャー取得後の研修は以下のとおりです。
- 更新研修
- 専門研修課程Ⅰ
- 専門研修課程Ⅱ
- 再研修
- 主任介護支援専門員研修
- 主任介護支援専門員更新研修
上記のうち、更新研修は5年ごとに受講する必要があります。
また、5年以上ケアマネジャーの実務に就かなかった場合は、再研修の受講が必須です。
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)の研修を受けるには「実務経験を5年以上積み、更新研修をすべて修了すること」が条件となっています。
ケアマネジャー実務研修はつらい?
ケアマネジャー実務研修は約90時間にわたって行われるため、「つらい」と感じる方も一定数います。
「介護支援専門員の資質向上に資する研修等のあり方に関する調査研究」によると、「演習の時間が長すぎる」と感じている受講者が約半数いることが判明しました。
実務研修の一部はオンラインでも受講可能なため、時間の確保が難しい場合はオンライン研修の受講を検討しましょう。
オンライン研修は、移動時間や交通費の削減になるうえに、講義動画を何度も見直せるメリットがあります。
ケアマネジャーになるには実務研修が必須
ケアマネジャーになるには、実務研修が欠かせません。
実務研修では「専門知識と技能を身につけ、他職種との連携力を高めること」を目的としており、約15日間の集中的なプログラムで実施されます。
研修の費用は5〜6万円が一般的な相場となっています。
研修を終えたあとは都道府県へ登録を申請し、5年に一度は更新研修の受講が必要です。
忙しくて実務研修を受ける時間が取りづらい方は、オンライン研修の受講も検討してみましょう。