公認心理師の資格を取得する際の受験区分として、以前はGルートがありました。
すでに現場で心理職として活躍している人に対して、そのスキルと経験への評価により受験資格を与える方式です。
Gルートも知っておくことで、公認心理師資格を取得する際にどのようなスキルや経験が求められるのかがわかり、参考になるかもしれません。
この記事では、公認心理師のGルートの要件や制度が終了した時期を紹介します。
合わせて、Gルートが審査落ちしやすかった理由も紹介します。
目次
公認心理師のGルートとは

公認心理師のGルートとは、どのようなものだったのでしょうか。
ここでは、内容を紹介します。
Gルートの概要
Gルートは、8つある公認心理師試験の受験区分のうち、8つ目の受験区分です。
公認心理師法が2017年9月15日に施行されたことにより、5年間限定の経過措置として設けられました。
すでに心理職として現場で働いている人が、あらためて大学・大学院で学びなおして受験資格を得ることは、現実的ではありません。
そのため、特例としてそのような方々が受検資格を取得できるようにしたものが、Gル―トの受験区分です。
しかし実際には、十分な心理支援の実務経験を積んでいなかったり、大学で心理学を学んでいなかったりした人でも受験できるという問題がありました。
その後の調査で、実務経験と現任者講習を経ただけでは心理専門職としての質を充分に担保できないという意見や、短期間のボランティア等を実務経験とみなす例があるなど、判断基準が曖昧だという意見が多く出され、 検討されるべき点として挙げられました。

Gルートの経過措置は終了済
Gルートは、すでに終了しています。
公認心理師法が施行された2017年9月15日から、5年間限定の受験区分であったからです。
そのため、2022年7月17日に行われた、5回目の資格試験がGルートによる最後の資格試験となりました。
Gルートは、心理支援分野での5年以上の実務経験を積み、講習会を受講することで要件を満たせるものでした。
公認心理師のGルートの要件
Gルートには、どのような要件があったのでしょうか。
ここでは、Gルートの要件を紹介します。
実務経験
Gルートの要件の一つとして、心理支援の実務経験があります。
Gルートで受験するには、週1日以上、通算5年以上の実務経験が必要です。
単に実務経験が5年以上あれば良いわけではありません。
過去に5年以上の実務経験があったとしても、心理支援業務に従事していない期間が、法施行日である2017年9月15日より前に5年を経過している場合は、受験資格を得ることはできません。
つまり、2012年9月16日から2017年9月15日の期間のいずれかで、心理支援業務に従事していたことが求められます。
例えば、2012年8月までの4年間、心理支援の実務経験があり、2020年9月から1年間あらためて心理支援の実務についた場合、通算5年以上となりますが、心理支援業務に従事していない休止期間が5年を超えるため、受験資格は認められません。
講習会の受講
講習会の受講も、Gルートの要件です。
Gルートでの受験を希望する場合、上記で紹介した5年以上の実務経験を満たしたうえで、現任者講習会を受講する必要があります。
現任者講習会は、一般社団法人播磨講師協会や一般財団法人日本総合研究所など、厚生労働省に指定された団体で実施されていました。
受講費は6~7万円と高額でしたが、抽選に受かれば誰でも受講できる仕組みです。
しかし、受講=Gルートの受験資格があるわけではないため混乱を招きやすく、注意が必要でした。
内容は30時間程度で、公認心理師の職務上の責任に関することや、保険医療や福祉など公認心理師が活躍するとされる分野の法規や制度、医学に関する知識となっています。

公認心理師国家試験でGルートが審査落ちしやすい理由

Gルートが審査落ちしやすかったのには、どのような理由があるのでしょうか。
ここでは、理由を紹介します。
証明書類の不備
審査落ちしやすかった理由として、心理支援業務に従事していたことを証明する書類の不備があります。
受験の際に必要となる実務経験証明書の不備で、審査落ちするケースです。
Gルートの証明書類は、法人や個人事業主など、どの立場で心理支援業務に携わっていたかによって書き方や必要書類が異なり、やや複雑なものでした。
また、税務署に開業届を出しているか、会社が実在していたか、規定している心理支援業務に従事していたかなども、書類から判断されます。
心理支援業務に従事していたかどうかについては、施設の代表者による証明の他、客観的な証拠が必要なため、会社の登記簿謄本の提出を求められる場合もありました。
実務経験の不足
実務経験不足も、審査落ちしやすい理由の一つです。
なぜなら、単に5年以上の実務経験があれば良いわけではないからです。
例えば、公認心理師法が施行された2017年9月15日より前に実務経験が5年以上あっても、5年を超える休止期間があると受験資格が与えられません。。
どれほど長く実務経験を積んでいたとしても、それを経験したのが2012年9月16日から2017年9月15日の期間にあたらない場合は、特例措置としての受験資格を満たす経験としてはみなされません。
また、申請した実務経験が、受験資格である心理支援業務に該当するかについて判定するのは一般社団法人心理研修センターです。
自身の実務経験が該当するかどうかについて申請前に個別に確認することはできなかったため、自分では心理支援業務だと思っていても、心理支援業務に該当しないと判定され、「受験資格無し」と通知が届くケースもありました。
書類の文言の不備
Gルートが審査落ちしやすかった理由として、書類の文言の不備もあります。
なぜなら、受験の際に提出する書類に記載されている内容に、特定の文言が含まれていないと、審査落ちになることがあるからです。
例えば、登記簿謄本の事業概要で「経営する」という文言が含まれていることで、過去には審査落ちが発生しました。
また、「心理」や「メンタル」など、会社として心理支援業務を行っていることがわかる文言が含まれていないことで審査が通らなかったケースもあります。
過去の経過措置だった公認心理師Gルートについても理解しておこう
公認心理師試験の受検区分の一つに、Gルートがありました。
Gルートは、2017年9月15日の公認心理師法施行にともなう、5年間だけの経過措置です。
2022年7月17日に行われた第5回の資格試験で、Gルートでの受験は終了しています。
しかし、Gルートの概要も知っておくと、公認心理師の資格を取る際の参考になるかもしれません。
この記事を参考にして、公認心理師のGルートについて理解しておいてください。
								