
臨床心理士に興味を持ってさまざまなことを調べている際に、「臨床心理士はやめたほうが良い」と主張する情報にたどり着いて、悲しい思いをしたことはありませんか?
今回は、「臨床心理士はやめたほうが良い」と言われてしまう理由と、臨床心理士になることのメリットの両方の視点から、臨床心理士という職業を解説します。
目次
臨床心理士はやめたほうが良いと言われる理由とは?
「臨床心理士はやめたほうが良い」と言われてしまう理由は、主に以下の3つです。
- ストレスが多い
- 仕事が大変なのに給料が低い
- 勤務時間外も専門知識の勉強が必要
精神的なストレスが多い
臨床心理士は、心理学に関する専門的な知識と技術を用いて人の心の問題を解決していく職業です。
臨床心理士あるあるなのですが、人の心に深く触れる仕事であるがゆえ、自身もストレスを抱えがちな傾向にあります。
時には、虐待やハラスメントなど胸が痛むような辛く悲しいできごとを打ち明けられ、自分自身の心まで傷ついて辛い思いをすることもあります。
相手は「何とかして問題を解決に導いてほしい」「助けてほしい」の一心で臨床心理士のもとを訪れるため、期待する援助が受けられないと、怒りや不満といったマイナスの感情を臨床心理士にぶつけてくることもあるかもしれません。
仕事が大変なのに給料が低い
仕事内容の割に給料が低いことも、「臨床心理士はやめたほうが良い」と言われてしまう理由の一つです。
臨床心理士の年収はおよそ340万円です。
ボーナスを除外して月収に換算すると20~25万円程度といったところでしょうか。
2020年に国税庁が発表した日本人の平均年収は467万円ですので、臨床心理士の年収は平均を下回ります。
日々人の心に向き合うことが求められるストレスが大きい職種である割には、低賃金であるといえるでしょう。
勤務時間外も専門知識の勉強が必要
臨床心理士は5年毎に免許の更新が必要となるため、その都度試験勉強をしなければなりません。
心理学は医学などと同じく日々アップデートされていくので、臨床心理士は常に最新の知識を習得するための勉強も続ける必要があります。
勤務中はクライアントの相談を真剣に受け止め寄り添いながら、勤務時間外には勉強しなければならないとなると、休息できる時間も削られてしまいます。
精神的疲労が大きい臨床心理士にとって、休息を取りづらい状況は大変厳しいものになります。
将来性がないと言われている
心理職の資格には、臨床心理士の他に公認心理師があります。
臨床心理士が1988年にはじまった民間資格であるのに対し、公認心理師は2017年に誕生した国家資格です。
公認心理師は、心理学に関する専門的知識および技術をもって、要支援者の心理状態の観察や分析、助言、指導を行います。
また、心の健康に関する知識を普及するための情報提供や教育も担います。
人の心の問題を扱うという点で、臨床心理士と公認心理師の業務は共通した部分がある職業です。
しかし、公認心理師は国家資格であることから、心の問題を抱える人が増加傾向にあるといわれるこの世の中において、今後さらに注目が集まることが予測されます。
対照的に、臨床心理士へのニーズが低下してしまう可能性もあります。
臨床心理士は魅力も多い
臨床心理士の仕事で困難な面を取り上げましたが、もちろんマイナス面だけでなく魅力もあります。
臨床心理士の魅力は以下のとおりです。
- 精神的な問題を抱えた人の支えになれる
- 悪化した関係を修復する手助けができる
- 幅広い領域で活躍できる
精神的な問題を抱えた人の支えになれる
精神的な問題を抱えて心が弱っていた人が、臨床心理士の介入により立ち直る姿を見られたときは、充実感や達成感、やりがいを感じることでしょう。
クライエントから「先生のおかげで元気になれました」と言われたときには、不思議と臨床心理士の側も元気がもらえるものです。
悪化した関係を修復する手助けができる
臨床心理士の対象は個人に限らず、学校や会社などの組織で活躍することもあります。
組織内で悪化してしまった人間関係にも介入できるのです。
臨床心理士としての自身の介入により組織の悪化していた人間関係を修復できれば、これも大きなやりがいにつながります。
幅広い領域で活躍できる
幅広い領域で活躍できることも、臨床心理士の魅力の一つです。
医療の分野では精神科や心療内科はもちろんのこと、がんなどの慢性疾患を患った患者さんやご家族と関わることもあります。
スクールカウンセラーとして学校に所属したり、児童相談所や女性相談センター、療育施設など地域に密着した施設でも活躍できます。
臨床心理士に向いている人についての記事もあるので、ぜひご覧ください。
最終的な判断は自分自身で決めよう
職業はどのような職種であってもメリットとデメリットの両面を持ち合わせています。
職業を決定するうえで大切なのは、世間の声ではなく「自分自身がやりたいことかどうか」という点です。
臨床心理士に興味がある人は、その仕事内容や収入などを総合的によく理解したうえで、自分自身で判断し、今後の道を決定していきましょう。