保育士に興味があるものの、仕事が大変そうだと考える方も多いかもしれません。
たしかに、保育士の仕事は体力面でも精神面でもハードな仕事です。
業務中に大変なことに直面する場面も多いでしょう。
本記事では、保育士が感じる大変なことを厳選して紹介します。
記事の後半には年齢別に苦労するポイントも解説するので、これから保育士になろうと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
保育士の仕事で大変に感じるシーン
保育士はハードな仕事であるとよくいわれますが、どのようなときに大変と感じるのでしょうか。
以下では、保育士の仕事の大変なことや、つらいことを詳しくみていきましょう。
持ち帰り業務が多くてつらい
大変なことの一つに、保育士の仕事は持ち帰り業務の多さが挙げられます。
最近では、保育士の労働環境を改善すべく行動を起こす園もありますが、まだまだ環境整備ができていない園もあるでしょう。
保育指導計画やイベントの計画案、小物作成など、本来であれば現場でやるべき業務を持ち帰って対応しなければならないケースもあります。
持ち帰り仕事を減らすためには、午睡などの隙間時間をうまく活用してください。
それでも仕事が追いつかなくて困っている場合は、先輩や上司に相談しながら負担を少しでも減らしていくよう工夫しましょう。
事務仕事が多い
保育園には事務員を雇用しているところと、そうでない園が存在します。
事務員がいない場合は、保育士が代わりに事務作業を担当するケースもあるでしょう。
保育料や延長保育料の引き落としの確認や備品の発注、イベント費用の計算や管理など、事務作業は多岐にわたります。
パソコンなどを使わずに紙ベースでデータ管理を実施している園の場合は、保育士の負担がより大きくなってしまうかもしれません。
就職する際は、事務作業の有無やデータ管理の方法も確認すると良いでしょう。
休日が取りにくい
最近では、さまざまな働き方に対応するために、年中無休で預かりを実施している園や遅い時間帯まで延長保育を実施する園もあります。
勤務先の園によっては、土日祝日に関係なく勤務しなければならないケースもあるでしょう。
さらに、勤務先の園が人員不足の場合は、なかなか休みが取りにくいことも考えられます。
有休や病欠が取りにくい場合、働きづらさを感じることもあるかもしれません。
給与が安い
令和5年賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年収は約423.6万円です。
国税庁が発表する令和4年分民間給与実態統計調査の全職種の平均年収458万円と比較して約30万円の差があることがわかります。
ただし、これは全国平均した給与データのため、勤務地や就業形態によって収入に差があることも理解しておきましょう。
一般的に、公務員保育士は民間保育士よりも給与が高いといわれています。
また、都心や都会になればなるほど平均給与が高くなる傾向があるため、就職先を決定する際は勤務地のエリアも一つの目安にしてください。
保育士同士の人間関係に苦労することも多い
一般的に保育施設は女性が多い職場です。
派閥やグループが生まれてしまうこともあり、人間関係に悩む人もいるでしょう。
複数人で担任を持つ場合をはじめ、小規模の保育施設の場合は、一緒に働く同僚との相性がとても大切です。
折り合いの悪い場合は、職場の雰囲気になじめずつらい思いをすることもあるかもしれません。
良い雰囲気で仕事をするためにも、同僚や上司と気持ちの良いコミュニケーションを図り、話をよく聞く姿勢を忘れないよう意識していきましょう。
保育士は、コミュニケーション能力の高い人が向いているといえます。
保護者対応が大変な場合がある
同僚や上司との関係構築はもちろん大切ですが、同じくらい大切なのが保護者との関係づくりです。
保護者のなかには、子どもを心配する気持ちから、さまざまな要望や意見を伝えてくる方もいるでしょう。
▽保護者からの要望例
- 連絡帳の内容をもっと詳しく書いてほしい
- 友達同士のケンカがあったら逐一報告してほしい
- ケガをしたらきちんと伝えてほしい
保育士の業務以外にも、保護者からのクレームや細かい要望に対応しなければならないケースもあります。
保護者対応に悩んだ場合は、早い段階で上司に相談し、一緒に解決策を考えてもらうようにしてください。
保護者と良い関係性を築ければ、保護者から感謝されたり、育児の相談をされたりするような、頼れる存在にもなれます。
保育士のやりがいについて知りたい方は以下の記事をチェックしてください。
ある程度体力がないと続かない
保育士は常に頭も体もフル回転で業務にあたるため、ある程度体力に自信がないと務まらないでしょう。
子どもたちの相手はもちろん、園内の清掃や力仕事など、保育士の仕事は体力が問われます。
若いうちは何とか気力で乗り切れても、年齢を重ねるとつらく感じてしまうときも出てくるかもしれません。
休憩時間が確保できる仕事と異なり、保育士は変則的に対応する必要のある仕事のため、しっかりと休憩する時間が取れない職業といわれています。
休憩時間が取りにくい園もあるかもしれませんが、働きやすい環境を整えるためにも改善していきたい問題の一つです。
責任感に押しつぶされそうになってしまう
保護者から大切な子どもを預かることは、とても大きな責任をともないます。
保育士は、子どもの安全や健康状態を常に気にかけていく必要があります。
交通事故や不審者など、さまざまな危険から子どもたちを守っていかなければなりません。
ケガや病気をさせてはいけない責任の重圧や、不安な気持ちに負けそうになることもあるでしょう。
悲しい事故を発生させないためにも、過去にあった事故の事例やデータをもとに職員間でマニュアルを作成するなどの対策をとってください。
不安なことやわからないことがあった場合は、先輩の保育士や管理職の上司などに相談して改善策などを一緒に考えてみましょう。
子どもたちの成長に合わせた知識が必要
保育施設には、さまざまな年齢の子どもたちがいます。
子どもたちの成長発達に合わせた接し方や保育の仕方が求められるため、豊富な知識や経験が求められます。
知的好奇心が豊かな子どもの疑問や質問にもしっかりと答えられるように、日々の勉強が求められるでしょう。
園の保育方針と合わない
外遊びをたくさんさせてあげたい、音楽や工作などのカリキュラムを充実させたいなど、保育士としての経験を積んでいけばいくほど、保育する際に大切にしたいものや思いが大きくなっていく場合もあるでしょう。
経験を積めば、働き始めて間もない頃や新人のときにはなかった違和感を覚えることもあるかもしれません。
働いている園のカラーや保育方針が合わないと感じたら、自身の価値観とマッチする園への転職を検討してみるのも良い方法の一つです。
保育士が苦労しやすいポイントをクラスの年齢別に紹介
保育園で対応する子どもの年齢によって、苦労するポイントや大変なことは大きく異なります。
以下には、保育士が苦労しやすいポイントを年齢別に紹介します。
0歳児~1歳児のクラス
0歳児・1歳児クラスは、保育士にとって大変なクラスともいわれています。
▽0〜1歳児クラスで気をつけるべきポイント
- 子どもの成長段階に合わせた保育を行う
- 安全な保育環境を整える
- スキンシップを大切にする
0歳から1歳児の保育は、つきっきりの状態で個別に対応しなければならないケースが多いため、大変に感じることも多くあるでしょう。
それぞれの子どもに合わせた保育を考え、対応する必要があります。
月齢ごとや子どもに正しい対応を取るためには、成長過程をきちんと理解していかなくてはなりません。
さまざまなものに興味を持ち、常に目を離すことができない年齢のため、他の年齢のクラス以上にアンテナをしっかりと張って保育にあたります。
誤飲や転落などの悲しい事故を防ぐためにも、子どもの手が届くところに危ないものを置かず、余計なものはなくすよう意識してください。
0歳から1歳の子どもは、大人とのスキンシップを通して愛着関係を築く大切な時期です。
愛情を持って接するように心がけましょう。
2歳児~3歳児のクラス
2歳から3歳の子どもは、言葉も話せるようになるため、自分の意志や気持ちを伝えたり、会話ができるようになったりする時期です。
遊び方や身につけるものに対してこだわりを持つ子や、いわゆるイヤイヤ期に入り対応が難しくなる子など、0歳〜1歳児にはなかった大変さが出てきます。
▽2〜3歳児クラスで気をつけるべきポイント
- イヤイヤやかんしゃくを起こしたら個別に対応する
- 友達との揉めごとがあったときは、言葉で解決できるようにサポートする
- 集団行動のルールや決まりごとを教えていく
- 危険な遊びや行動が見られた場合は、だめな理由をきちんと伝える
心が大きく揺れ動く時期で、かんしゃくを起こした場合は個別に対応していきます。
子どもの気持ちに寄り添えば、子どもは次第に落ち着きを取り戻せるでしょう。
2〜3歳児は決まりごとやルールを守ることの大切さを伝えていく時期でもあります。
友達とケンカや揉めごとがあった場合は、言葉で解決するように働きかけていきます。
また、危険なことをしていた場合は、やってはいけない理由をきちんと伝えたうえで約束を守る大切さも教えましょう。
4歳児~5歳児のクラス
保育園でもお兄さん・お姉さんの4〜5歳の子どもたちは、とにかく好奇心旺盛な特徴があります。
▽4〜5歳児クラスで気をつけるべきポイント
- 子どもたちの話を平等に聞く姿勢を持つ
- ケンカが増えるため、仲裁の仕方や仲良くするうえでのルールを伝える
- ケガが増える年齢のため、安全に運動や遊びを楽しむためのルールを伝える
- 小学校を意識した生活のルールを伝える
- 行事ごとの難易度も上がるため、子どもたちのモチベーションを高める声かけをする
会話を楽しむ時期である4〜5歳児は、先生に話を聞いてもらいたくてたまらない子もたくさんいるでしょう。
一度に大勢の子どもから話しかけられる機会も多くなりますが、平等に話を聞く姿勢を持つようにしてください。
また、ケンカやケガが増える年齢でもあり、安心して過ごすためのルールや決まりごとを伝えることも大切です。
さらに、年齢を重ねるにつれて、発表会や運動会などの出し物のレベルも高くなります。
準備や子どもたちへの指導の仕方を工夫しなければならない場面も増えるため、負担が大きく感じることもあるかもしれませんが、その分やりがいを感じられる場面もたくさんあるでしょう。
保育士は大変なことも多いがやりがいも大きい仕事
保育士の仕事で、大変なことや苦労するポイントを詳しく紹介しました。
責任が大きく、大変なこともたくさんある保育士の仕事ですが、その分やりがいを感じられる職業といえます。
年齢別に苦労するポイントは異なるものの、それぞれのクラス特有の楽しさがあります。
保育士として日々保育に関するたくさんのことを学びながら、子どもとともに成長していきましょう。
保育士資格の取得方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。