
生活支援員(ソーシャルワーカー)について、「興味はあるけど平均的な給料はどの程度なのか?」「給料を上げる方法があるのか?」と気になる方も多いでしょう。
働く職場によって違いはありますが、自身の持つ資格によって手当てが付く場合もあります。
今回は、生活支援員の給料を雇用形態別に紹介しつつ、夜勤手当や資格手当の水準、実際に給料を上げるための具体的な方法を解説するので、参考にしてみてください。
目次
生活支援員の平均月給・年収は?
生活支援員を含む生活相談員・生活支援員の平均的な給料は、介護従事者のなかでは介護福祉士より高く、看護師より安い傾向があります。
職種 | 平均月給 |
---|---|
生活相談員・生活支援員 | 225,953円 |
介護福祉士 | 196,900円 |
看護師 | 246,467円 |
参考:賃金事情等総合調査 賃金事情調査14 介護従事者の一人当たりの基本給及び職務関連手当(職種別) | 統計表・グラフ表示
【雇用形態別】生活支援員の給料
生活相談員・支援相談員の1ヵ月あたりの平均給料は、2021年の政府の統計で225,953円です。
加えて、同年の1ヵ月あたりの平均職務関連手当は36,172円、平均資格手当は9,391円という統計結果でした。
年収で換算すると、給料は2,711,436円、職務関連手当は434,064円、資格手当は112,692円という数値になっており、さまざまな手当で給料が構成されていることがわかります。
ここからさらに、生活支援員のなかでも「常勤の場合」と「パート・アルバイトなど非常勤の場合」に分けた給料も紹介していきます。
常勤の場合
常勤の生活支援員の1ヵ月あたりの平均給料は、平成29年9月の統計で323,288円です。
年収に換算すると、3,879,456円です。
平成28年9月の統計では1ヵ月あたりの平均給料が306,624円のため、前年に比べて増加しています。
※処遇改善加算の届出をしている事業所等における障害福祉サービス等従事者を対象とした統計です。
※平均給料は、基本給+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)により算出しています。
パート・アルバイトなど非常勤の場合
パート・アルバイトなど非常勤の生活支援員の1ヵ月あたりの平均給料は、平成29年9月の統計で195,327円です。
年収に換算すると2,343,924円で、常勤の場合に比べて年間1,535,532円の差があります。
なお、平成28年9月の統計では、1ヵ月あたりの平均給料は非常勤の生活支援員で189,130円のため、常勤の場合と同じく前年に比べて増加しています。
※データの統計対象者、平均給料の算出方法は常勤の場合と同じです。
生活支援員の給料の内訳・手当
生活支援員の給料には、さまざまな手当が含まれています。
主な手当は、勤務時間外で働いたことに対する残業手当や、夜勤の場合の夜勤手当、特定の資格を所有する方への資格手当などです。
また、福祉・介護職員処遇改善加算の対象となる事業所で、対象職種として勤務する方は、処遇改善手当も受けられます。
それぞれの手当てに応じて支給される金額は勤務する職場によっても異なりますが、一般的な金額相場を以下で紹介していきます。
時間外・残業手当
勤務時間外で働いた場合の「残業手当」は、「1時間あたりの賃金×1.25(割増率)×残業時間」によって算出してください。
※1時間あたりの賃金は、通勤手当や住宅手当などを含めずに「1ヵ月あたりの給料÷所定労働時間÷所定労働日数」で計算できます。
なお、介護労働者の仕事において、1ヵ月あたりの時間外労働は平均で8.2時間、正規職員では平均10.2時間です。
※全国労働組合総連合による調査結果
夜勤手当
入所施設で勤務する生活支援員は、勤務体制がシフト制であり、夜勤業務が発生します。
職場によっても異なりますが、一般的には夕方16時頃から翌朝10時頃の間で長時間のシフトが組まれることが多いです。
※施設によっては、長時間の夜勤業務を「準夜勤」と「本夜勤」に分けているところもあります。
介護職員の夜勤の平均手当は、2交替夜勤の場合は5,976円、3交替の場合は準夜が3,630円、深夜が4,325円です。
資格手当
生活支援員は、資格を取得することで自己研鑽や業務の質の向上を評価され、資格手当を得ることができます。
<主な資格の例>
- 介護職員初任者研修の資格手当
介護職としての基本的な知識・技術を習得する資格で、手当の金額は約2,000~5,000円です。 - 介護福祉士の資格手当
介護職として唯一の国家資格で、手当の金額は約10,000~15,000円です。 - 社会福祉士の資格手当
相談援助職の国家資格で、手当の金額は約0~15,000円と、支給がないこともあります。
生活支援員が給料を上げる方法
ここまで生活支援員の一般的な給料に関する情報を記載してきましたが、生活支援員が給料を上げるための方法についても、あらためて見ていきましょう。
生活支援員が給料を上げる方法は、大きく分けて以下の4つがあります。
- 福祉関連の資格を取得して資格手当を受け取る
- 役職に就くことで役職手当を受け取る
- 夜勤業務を行って夜勤手当を受け取る
- さらに給料が高い職場に転職する
一つずつ、解説していきます。
福祉関係の資格を取得する
福祉関係の資格を取得することで、勤務先によっては資格手当を出してくれる場合があります。
生活支援員には、以下の資格がおすすめです。
社会福祉士:福祉サービスを利用する方の相談に乗ったり、行政手続きをスムーズに行うことを目的とした資格。
精神保健福祉士:精神科病院や医療施設などで、就職に必要な訓練の援助や相談などを行うことを目的とした資格。
介護福祉士:高齢者や障がい者が自立した生活を送れるように、生活の援助および指導を行うことを目的とした資格。
なお、職場によって資格手当の金額は異なるため、どの程度の金額を受け取れるかは事前に確認しておくことをおすすめします。
役職に就く
生活支援員として経験を積んで管理職へ昇進することで、役職手当が付き給料を上げることが可能です。
実際に、2022年9月におけるサービス管理責任者の1ヵ月あたりの平均給与は、同月の福祉・介護職員に比べて8万円程度高いです。
管理職になるためには自分一人の業務だけではなく、広い視野を持って同じ職場の職員の手助けもできるようにならなければなりませんが、相応の手当ても収入に反映されます。
夜勤を行う
前述のとおり、入所施設で勤務する生活支援員は、夜勤業務を行うことで夜勤手当を受け取ることが可能です。
時間帯によって手当ての金額が変わり、3交替制の場合は準夜よりも深夜のほうが金額が高くなる傾向があります。
ただし、夜勤のシフトが多くなりすぎると生活リズムが崩れ、体調を崩したり休息を十分に取れなくなったりしてしまうこともあるため、夜勤の回数は無理のない範囲で調整するように気をつけましょう。
転職する
生活支援員として勤務するなかでも、「自身のキャリアを上げられない」「なかなか給料が上がらない」といった場合には、転職を視野に入れるのも一つの方法です。
特に役職のポストが固定されていてなかなか空きそうにない場合には、役職に就くことによる役職手当を受け取ることも難しいため、別の職場で働くことを検討して良いかもしれません。
職場によっては、手当だけでなく毎月の給料も今より高い可能性があるため、勤務条件をしっかり確認しながら転職先を探していきましょう。
「福祉・介護職員処遇改善加算」によって生活支援員の賃上げが実現
厚生労働省は、福祉・介護職員の処遇改善を図るため、「福祉・介護職員処遇改善加算」を平成29年4月に新設しています。
加算の種類は(Ⅰ)〜(Ⅴ)までありますが、加算Ⅰを取得することで介護職員一人あたり37,000円相当の加算を受け取れる仕組みです。
現在は、介護・福祉事業者のうち83.3%が加算を取得しており、加算を取得している事業者の令和2年9月と令和3年9月の介護職員の給料を比較すると、12,880円の増加となっており、実際に賃上げが実施されていることがわかります。
生活支援員はキャリアアップによって給料を増やせる
加算が新設されたことによって、生活支援員の給料は増加傾向にあります。
生活支援員として働きながら他の介護職の資格を取得したり、役職に就くなどのキャリアアップによって給料を増やすことができるため、給料を上げたいと感じている方は、自身がどのようなキャリアを歩みたいかを考え、実行していくことが大切です。